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中国のユニコーン企業を手放しで礼賛することの違和感

最近、中国のユニコーン企業が話題になっていますね。

そんな流れに一石を投じるべく、あえて否定的な意見をここに書きたいと思います。

確かに、近いようで遠い中国という国に住んでいない限り、現地での情報と日本に伝わっている情報にギャップがあるのは仕方ないことですよね。

ここに書くことはあくまで中国在住の私個人的な意見であり、もちろんすべてが正しい見解とは限りません。

ただ、一方的な意見が大多数を占める中で、あえて否定的な見解を投じることは議論の活性化に一役買うことになるはずです。

そうなることを期待してつらつらと書いていきたいと思います。

Luckin coffeeってほんとに凄いの?

最近、中国のユニコーン企業、Luckin coffeeの話題を目にすることが多くなりました。

中国の企業は、豊富な資金を用いて短期間に多数の店舗を展開したり、有名人を使った大規模なプロモーションを行うことは珍しくありません。

Luckin coffeeも「张震」や「汤唯」といった有名人を使ってプロモーションを大々的に展開しています。

(左が汤唯、右が张震)

また、Luckin coffeeはアプリを通してしか購入できないという部分が注目されていますね。

これがLuckin coffeeコーヒーの実際のアプリの画面です。

シンプルで使いやすいUIになってますね。(ちなみにメニューも豊富です。)

中国企業で専用アプリを通してのみサービス提供をしているサービスは珍しくありません。

例えば、以前こちらでも取り上げたアリババが提供する宅配スーパーは、現金の受付は一切しておらず専用アプリが必要です。

宅配はもちろん、実店舗でも生鮮食品を購入することもできますが、実店舗でも専用アプリが必要です。

(レジの前で中年のおばちゃんがアプリをインストールしておらず、会計の列が詰まっている光景をよく見かけます。)

つまり、Luckin coffeeでのアプリを通した販売体系は珍しいものでも何でもないのです。

Luckin coffeeのコーヒーって美味しくないよね?

そして、私がここで特に強調したいのは、肝心のコーヒーが美味しくない

まずくはないんです。普通です。

中国では最近、日本と同じようなサードウェーブコーヒーが到来しつつあります。

こだわりの豆を挽いて丁寧に淹れたコーヒーを提供するお洒落なカフェが増えているんですね。

正直、Luckin coffeeのクオリテイはセカンドウェーブコーヒーの筆頭、スタバとそんなに変わりません。

であれば、「スタバという空間でコーヒーを飲みながら読書や仕事をする体験」の方がよほどコーヒーを楽しめます。

そういった意味で、Luckin coffeeは、例えば、オフィスへの宅配という需要はあるかもしれませんね。

しかしここでも一つ問題があって、中国人ってお茶が好きなんですよね。

マイボトルでお茶を飲むんです。

日本でも見たことありませんか?

中国人旅行客が空港に設置されている給湯器を使って、持参しているボトルにお湯を入れてお茶を飲んでいる光景。

ビックカメラの免税エリアでもタイガーの魔法瓶が所狭しと売ってますよね。あれです。

もちろんこれからコーヒーを飲む中国人がもっと増えれば様子は変わるかもしれませんが、お茶という中国人に深く根付いた文化がそう簡単にガラッと変わる気はしません。

こうした中国におけるコーヒー全体のトレンドと中国文化の分析なしに、Luckin coffeeのビジネスモデルを礼賛するのは早計でしょう。

片方の意見が多数を占めるときこそ疑ってかかる。

中国経済の失速が連日報じられる中で、キャッシュレスやLuckin coffeeのような日本よりも一歩先を行くスマートフォンやスマートフォンをアプリを通じた中国のサービスが話題になることは決して悪いことではありません。

しかし、それらを一方的に褒め称えたり、または不必要に危険性を煽るような風潮には違和感を覚えます。

果たしてLuckin coffeeがこの先どうなるかは分かりませんが、一方的な情報に惑わせれることなく引き続きウォッチしていきましょう。



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