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記憶力があった方が、いいとか悪いとか

奥さんは記憶力がある。
ぼくは記憶力がわるい。


記憶力が関係しているのかは定かでないが、何か悩みに衝突した時に、ぼくと奥さんで対応方法が異なる。


ぼく自身、悩みに衝突した時は、その場限りのことが多い。
悪口を言われて、長いことひきづった経験は例外として、悩んでも仕方がないことは「まぁ、いっか」と考えるのをやめてしまう。
そしていつしか、時間の経過とともに、忘れてしまう。

一方で奥さんは考え尽くす。
悩みの原因を突き止め、解決ができるまで、頭にストックしているように思う。
右京さんの横にいたら、間違いなく頼りになる相棒になる。
ただ解決へと向かうためには、声に出して誰かに伝える必要がある場合がある。
それを受け止める時には、聞き手の腕が試される。いや、試されるのは耳か。

奥さんは、子供が生まれる前は、かなり忙しい会社に勤め、色々と悩まされていた。
仕事から帰って、奥さんの話を聞くことが多かったのだが、仕事で疲れていると「そんなこと考えたって、仕方ないじゃん」と言ってしまうことがあった。よくない。

ぼく自身どうすればいいか、考えていた。
一生懸命に聞くと、普段は受け流している内容を真正面からぶつかることになる。
そうするとぼく自身も怒りが沸々と湧いてしまう。
だから奥さんには申し訳ないけど、話を半分聞き流すしかなかった。
中途半端に聞いて、受け流すことがこの時の答えだった。
申し訳なかったんだけど、そうするしかなかった。


妊娠を皮切りに、仕事をやめることができた。
奥さんは日々楽しそうにしている。
「子どもがわたしを救ってくれた」と言っていたが、ぼく自身もそう思った。
頭がパンクするぐらい悩まされる環境から離れるためには、誰かの手が必要なのかもしれない。

この日記で最初に書こうと思ったのは、記憶力がいい方がいいのか、悪い方がいいのかということだったが、どっちでもいっか。
どっちがいいかなんて、考えても仕方がない。

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