ただいいものを作ればいい世の中じゃない
「〇〇という賞をとりたい」
というお客さんからの要望がある案件で、今日はハッと気付きがあった。本件はまだ計画段階で、やっとレイアウトが7割決まった程度なのだが、PMと呼ばれるこのプロジェクト全体をマネジメントする立場の人が、その賞に提出するための雛形を用意して話していた。
僕はその時に少し驚いた。
通常だと施主に作ったものを引き渡してから、雛形を埋めて提出するのだが、計画途中にどうやって雛形にある項目を埋めていくか話すのは、うちの会社で同じことをした人を見たことがなかった。
これは正に「賞を勝ち取るデザイン」にするために必要な打合せである。
全然詳しくはないが、フィギュアスケートも新体操も、ただ綺麗に舞えばいい訳ではない。評価基準があり、それに合わせた演技が必要となる。
僕がいつもやるコンペも、ただ良い空間を作れば受注に繋がる訳ではなく、「コンペに勝つデザイン」にする必要がある。
たとえば他社に提案されたら、それきっかけで敗因になりそうな重要な要素は、後からでも肉付けしてしまうとか。
勝つには、賞をとるには、評価基準の把握と、それを着実に満たす作業が必要だ。
コンペでは何となくわかっていたけど、確かに賞を取るにもその考えが必要であった。このような当たり前のことは自分だけだとなかなか気付けない。
本当はこのあたりで終えた方がまとまりはよいのだが、忘れたくないことが今日の朝あったので、それを書いておきたい。
僕は立体駐輪場を定期利用していて、いつも3Fに自転車を止めている。
両手でハンドルを持って、押して登っていくのだが、今日前を歩く女性がハンドルを両手で持たず、左手でハンドルを持ち、右手はサドルの後ろ側に手をかけていたのだ。
真似してみると、これはかなり楽。
いやいや当たり前だろと思う人がいるかもしれないが、意外にやってみると、視線が進行方向に向いているとサドルは視界に入らないため、気づかない人は気づかないと思う。
自転車が体の右側にあるのを想像して欲しいのだが、両手でハンドルを持つと、右手が体から離れて力が入らず、入れようと思うと、腕だけの力になってしまうのだ。
しかしその右手がサドルに移動すると、右腕だけではなく、右足の踏み込む力が無駄なく右腕に伝わり、登りやすくなる。
そんな当たり前のようなことも、自分一人だと気付かない。周りを見て知ることはほんとに多い。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?