紫色から始まる②
ナム子にかける言葉が見つからなくて、黙ったままアイスコーヒーを飲んでいると、入口からジミンが入ってくるのが見えた。
ユンジ「ナム子、ジミンが来たわ。泣き止んで」
ナム子がハッとしたように顔を上げて、ハンカチで顔を拭き、鏡を覗き込んだ。
席を探すジミンが私達を見つけて、ニコニコ笑顔で近付いてくる。
ナム子「お願いだから、さっきの話はしないで」
目が赤いままのナム子。
ジミン「ここ座っても良い?」
ナム子「なんで同席しようとすんのよ。他の席空いてるでしょ」
ジミン「1人じゃ寂しいもん」
ナム子「女子か」
ジミン「あっ、ナゲット頂きっ!」
ナム子「あっ、ちょっ、最後にとっといたのに!」
わいわいと話す2人は、とても仲が良さそうで。
ジミンとナム子、お似合いなのにな……。
ジミン「ナム子目赤くない? どしたの?」
ナム子「ん……目薬点した」
ジミン「ふーん……何の話してたの?」
ナム子「内緒」
ユンジ「真面目な恋のお話」
ジミン「え、したいしたい!」
ナム子が『止めて』と言う顔で私を見ている。
それでも構わずに話を続けた。
ユンジ「この話に混ざりたかったら、まずは自分から話してもらわないと」
ナム子「!」
ジミン「えー! ……分かった……わぁ、恥ずかしいな」
ナム子「ジ、ジミンが好きな人の話するの初めて聞く」
ジミン「こんな話しないだろ普通、兄弟とは」
ナム子「そうね、兄弟だもんね」
ナム子の笑顔がだんだん強張っていく。
ユンジ「どんな子なの、ジミンの好きな人って」
ナム子、辛いだろうけど、探ってあげるからちょっと耐えてね。
ジミン「俺の好きな人は……華奢で色白でクールで。でも時たま見せる笑顔がとっても可愛いくて、そのギャップに惹かれるんだ。おしゃれでセンスも良いし」
ユンジ「同じ学校? 同じクラス?」
ジミン「同じ……クラス」
ナム子「うちのクラスに、いるの?」
ジミン「いる。うわぁ照れる! 恥ずかしい!」