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子育てのテーマ
レイチェル・カーソンのセンス・オブ・ワンダーを読んだ。
今までなんとなく、子どもたちには自然にたくさん触れてほしいとか、虫や小動物を怖がらずに仲良くやってほしいとか、そういうことをぼんやり思いながら子育てをしてきた。
その理由までは深く考えず、僕がそうやって育ってきたから、というだけだった。
けれどセンス・オブ・ワンダーを読んで、なるほど、これだ、と思った。僕がぼんやりと考えていた自然との触れ合いの目的が、この本に明確に言語化されていた。
知識や知恵を身につける前に、いろいろな情報で頭の中がごちゃごちゃしてしまう前に、空っぽの純粋な心で、自然の不思議さ、偉大さ、美しさ、そして怖さにふれることで、センス・オブ・ワンダーを身につけてほしい。
以前、千葉で暮らしていた時に、大掛かりな道路工事を見たことがあった。アスファルトがベロンと捲られて、その下から土が顔をのぞかせていた。
それを見て僕は、なんだ、アスファルトで覆い隠していただけで、すぐ下は土なんだ、と思った。当たり前のことだけど、見える景色のほとんどが人工物の都会で暮らすうちに、この世界は人間が作り上げたものだと思ってしまっていたのかも知れない。
けれど、全然そんなことなかった。アスファルトをちょっとめくれば、そこから下は果てしない大地が続いていた。幼い頃飽きるほど走り回ったグラウンドの地面と、何ら変わりはなかったのだった。
人が作り上げたものは、それはそれで素晴らしいものだと思うのだけれど、そればかりを見ていると、自然を忘れてしまいそうになる。自然の中に生活していること。自然からあらゆる恵みを受けとっていること。そして人は、自然に対して本当に無力であること。
幼い頃から自然とたくさん触れ合うことで、肌感覚としてそういったことを覚えていってほしい。そして、自分はちっぽけで、けれども素晴らしい奇跡を積み重ねた上に生きているということを忘れないでいてほしい。
これから子供と一緒に時間を過ごす際の、僕のテーマが決まった。
センス・オブ・ワンダー
僕自身も、センス・オブ・ワンダーを思い出して、あるいは身につけていきたいと思う。