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本紹介#11 Deep Looking ロジャーマクドナルド著

とてもいい本だったのでたくさんの人に読んでほしいなと感じました。

簡単な本の内容としては、物事(特にアートを通じてという例が多く挙げられています)を深い観察(deep looking)をする事によって、日常感じてない意識に繋がったり凝り固まった常識から抜け出せたりする。そういった感覚を養う、呼び覚まそう。といった内容で、それはアートを見る時だけでなく、現代の日常にも役に立つのだと。

本書ではアートを具体例に挙げて説明をされていき、それも非常に興味深い。
今回は私が感じたこと、特にこのディープルッキングが日常にもすごく使える考え方であり、私が日頃思っている事にもつながるという事を書こうと思う。

私は日頃思う疑問の中に”なぜ同じものを見てもこんなに違った風景に見えているのか”というものがある。
それこそが見るという行為の深さなのではないかということだ。

本書で具体的に示されているディープルッキングとは

観察、すなわち ”見る”と”待つ”

と書かれている。それに付随して、知識で理解しようとするのではなく、感覚を研ぎ澄まし肉体的感覚を使うと。この表現が私はすごくしっくりときた。
おそらく日常的にはこの観察ができる人はセンスがいいとか言われるのだと思うが、こういう事をしっかりと整理した言語で説明し、具体的な方法として示されているのは貴重だと思う。

表層的なイメージを簡単に消費するのではない見方をする、しようと試みることの大切さをとても強く感じた。

私のイメージでは、音楽を聴く、自然に身を置くアクテビティをする、写真を見る、などはこのディープルッキングがとても生かされると思う。
そして、同じ行為をしていてもこの観察の深さこそがその人の深さであったり、その分野へ造詣が深いというのだと感じる。

さらにこの観察が深くなると、いわゆる”ゾーン”の状態に達したり非日常的な意識に繋がりクリエイティブに至るのだと。私の好きな著書に為末さんの熟達論でもこのゾーンに至ることへ記述されているのだが、プロセスに差はあるもののやはり似た点が多く”頭を忘れる、自己がなくなる感覚”というところは同じように論じていてとても興味深いと感じた。

現実の物質や情報にとらわれてしまったり、注意をそれらばかりに取られるのではなく。物事を”見る”と”待つ”を用いて自分の意識や内面で捉えててみる。そういうふうに生活できたら、些細なことで大きな発見があったり喜びに出会えると思える。すごく感情豊かな人になれる、と感じたので皆様ぜひ手にっとってほしい。


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