大切にしていきたいHRT
学生時代、当時働いていた会社にエンジニアとして生きていくための技術、働き方をいつも丁寧に教えてくれるフリーランスの方がいた。(以降Lさんとする)
Lさんは後輩や部下でもないのにわざわざ多くの自分の時間を割いて沢山のことを教えてくれた。教育義務がない自分に対して何故そこまで時間を使ってくれるのか不思議に思い質問したところ、思わぬ言葉が返ってきた。
「教育義務があるとか無いとか関係ないよ!同じチームのメンバーが成長したら自分の仕事もしやすくなるでしょ?大地の成長速度が上がったらチーム全体の成果も上がるじゃん!
そこに役職とか立場とか関係ないと思うよ!!
牌を取り合うんじゃ無くて、みんなで取れる牌を増やしていこうよ!!
今はきっと自分から大地に伝えることが多いと思うけど、自分が知らないことを大地からも教わりたいから勉強してることとかあったら教えてね!!」
エンジニアとして成功している様に見えていたLさんは誰からでも学ぼうという謙虚な姿勢を持っていた。分からないことがあると「それってなんですか?教えてください!」と質問してくれるような物腰の柔らかさはとてもカッコよかった。
当時の自分は無意識に一緒に働く仲間をフリーランスの業務委託の方、正社員の方とラベル付けしてしまっていたんだと反省した。Lさんが言うように役割が異なるだけで、どんな役職でも一緒に働く仲間なのだと今振り返ると思う。
エンジニアの世界には良いチームを作るための考え方にHRTというものがある。これは Team Geekという著書の中で紹介されているもので、
謙虚、尊敬、信頼の頭文字を取ったものだ。
全ての人間関係の衝突はこのHRTの欠如が原因で起こるというのはまさにその通りだと思う。
プライベートでも仕事でも失敗してしまったと感じる時はHRTの何かしら(または全て)が抜けてしまっている。
自分が信じる正義を貫こうとするあまり相手に対して尊敬の気持ちがかけてしまったこと、分からないことを正直に分からないという謙虚さを持てなかったこと、思い返すことが苦しいような経験がたくさんある。
最近、改めてこのHRTを大切にしたいと思う出来事があった。その時に前述したLさんのことを思い出した。
私もLさんのようなエンジニア、人間になりたいと改めて強く感じた。
Lさんのように雇用形態、立場、役職関係なく一緒に働くメンバー全員を仲間として信頼し尊敬できる人でありたいと思う。
自分の分からないことは恥ずかしがることなく、質問できる謙虚さを持ちたい。周りの人間に対して損得勘定なく関わり、違いやそれぞれの良さを尊敬できる人間でありたいと強く思うようになった。
誰にでも率直に話すことができ、率直に話してもらえる人でありたいと思うようになった。
Lさんが退職されるタイミングでこれまでの感謝を伝えた。「自分の分からないことを誰からでも学ぼうとする姿勢、本当に尊敬していました。また僕がエンジニアとして成長したら一緒に働かせてください」と言うと「分からないことを人に聞くのは自分で勉強することが面倒くさいだけだよ笑、大地が思っているほど大層なことじゃない笑笑」
大衆居酒屋で餃子を食べながら少し照れるようにLさんは言った。
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