デジタル名刺『プレーリーカード』をリリースしました / リリースまでにやった30のこと
簡単にプロフィール交換できるICカード「プレーリーカード」をリリースしました。アプリ不要で、初対面の場で活躍します。
リリース前の時点でユーザー数が急増加しています。グラフは実際のユーザー数です。
朝日新聞さまにもプレーリーカードの取り組みを掲載いただきました。
プレーリーカードとは
スマホをかざすだけで簡単にプロフィールが交換できるICカードです。
自分たちの間では『交流系ICカード』『名刺のDX』とも呼んでいます。
『初対面』に最適化されたプロフィールページ
各種SNS や Sansan, Eight なども連携できます。
好きな画像でICカードを作れる
ロゴや写真などの好きな画像で、ICカードを作れます。
ICカードの見た目も非常に高品質です。
誰がプレーリーカードを使っているか
個人のお客様
冒頭グラフのとおり、日に日に利用者は増えています。
様々な属性の方にご利用いただいています。
法人のお客様
法人導入実績も多数あります。例えば『渋谷スクランブルスクエア株式会社』様や、会員数17,000人のオンラインコミュニティ『バーチャルランチクラブ』様などにも導入いただいております。
なぜプレーリーカードを作ったか
キッカケ
最初のキッカケは、NFC技術の存在を知るところからでした。NFCは交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済に内蔵されている技術で、アプリ不要・スマホ端末をかざすだけで通信ができるというのが最大の特徴です。
ある日、うちのシェアハウスに遊びに来た男の子が「インスタ交換しましょう」と言って、謎のカードを差し出してきました。
「なにそれ?」
「いいからスマホかざしてみて」
(スマホをかざす → インスタのアカウントが表示される)
「えっなにこれ!?アプリも要らないの!?」
「便利でしょ」
これがNFCを知った瞬間でした。
ですが、、、。その男の子が持っているNFCカードは、どこかの会社がデザインしたもので、自分好みの見た目ではありませんでした。
せっかく持ち歩くもので自分を表す大事なものなのだから、もっと自分好みのデザインにしたい。
これがプレーリーカードの一番最初の作るキッカケになります。
思い
プレーリーカードを作ることで「はじめまして」の体験をデザインできるのでは、と考えました。紙の名刺は165年の文化があるそうです。紙の名刺だと、個性や活動などの アイデンティティ を表現できない。今こそ初対面の習慣が変わるべき だと考えています。
運営者
北千住にあるクリエイターズシェアハウス「アサヒ荘」住民の2人が株式会社の共同代表として運営しています。
@daicche: リクルートにてプロダクトマネージャー、ギフティにてプロダクトマネージャー兼エンジニア兼採用、メルカリにて新規事業企画を担当。その後独立。
@akaoto_saka: 株式会社ロフトワークでアート事業を中心にクリエイティブディレクターを務める。京都美術工芸大学・京都建築大学校でWスクールを行い、伝統工芸・アート・建築を学ぶ。卒業後個人事業主として独立。
サポートメンバー
Hayato Sakai : READYFORで、経営管理部の所管、上場準備プロジェクトマネージャー、新規事業開発サポートを務める。プレーリーカードでは経営管理・事業計画など。コアメンバーとして不可欠な存在です🙋♀️
@oga_sho さん : リクルート・Google を経て2023年1月まで YOUTRUST で PR / 広報 + 人事責任者 を担当。2月からは 大学院生×フリーランスPR/HR 。プレーリーカードでは主にPRを担当。共同代表の2人がとても助けられていて、@oga_sho さんにお仕事をお願いできて本当によかったです! 😭
Taiga Fukushima さん:デザインファーム ADDReC の代表。主に法人へのプレーリーカード導入の企画・設計などをサポートいただいています。頭が良すぎて何言ってるかよくわからないときがあります。笑
その他にもプレーリーカードはたくさんの方々に支えられています!
本当は紹介したい素敵な方がたくさんいるのですが、それはまた後日に。
リリースまでにやった30のこと
ここからは、新規事業を作ろうとしている人や、物理プロダクトを初めて作る人などに参考にしてもらえると嬉しいです。
過去にはボードゲームの作り方も公開していて、15,000人の方に見ていただきました。
読みやすさを優先するため正確な時系列ではありません。ご了承ください。
①コンセプト・ブランドイメージ・ターゲット言語化
自分たちの創業のキッカケも含め、どのようなコンセプト・ブランドイメージでどのような方にお届けするのか、を言語化しました。
初期コンセプト:
ブランドイメージ:
初期は『高級感・信頼感』としていましたが、より一般的で個人にも愛されるサービスになることをイメージし、今は『ポップ・おしゃれ・信頼感』としています。ポップさと信頼感のバランスが難しくてやりがいがあります。
また、ターゲット属性の決め方として、なぜそのターゲットなのか の言語化を大事にしました。なぜその人たちはプレーリーカードを使うのか。なぜ自分たちはそのターゲットにプレーリーカードを使ってほしいのか。
メインターゲット:
メインターゲットになる根拠:
なぜその人たちにプレーリーカードを届けたいのか:
②タグタイプとカードタイプの検証
タグの形の小さいNFCデバイスも存在します。タグタイプの方が小さくてスマートフォンにも貼れるので、一見よさそうです。しかし、電子回路が小さいため、カードタイプに比べると 読み取り範囲が狭く、電波強度が非常に弱い ので、名刺の代わりとしての品質要件を満たしませんでした。
③ P/L 作成・事業モデル検討
④ サービス名を決める
悩んだポイント:
「カード」という名前を入れるのか
短くした方がよいのでは
英語表記にするか
ユーザーにへのヒアリングも重ねた結果、一番愛着が湧く「プレーリーカード」にしました。由来は、プレーリードッグが動物の習性として挨拶のときに「鼻と鼻をタッチする」のですが、その行為が「スマホとカードをタッチする」のと似ていることから名前を付けています。
⑤ カスタマージャーニー整理
プレーリーカードの認知から検討・購入・利用、さらにその先の行動について整理をしました。着想から大体2ヶ月目くらい。
全体の体験を俯瞰して見ることで、「何を作らなければならないか」の全貌が見えてきます。
プレーリーカードの体験を構成するもの一覧
プレーリーカード本体 ( ICカード )
ECサイト
配送パッケージ
プロフィールページ
プロフィールページを簡単に作れる設定画面
簡単にオリジナルデザインが作れる画像制作ツール
プレーリーカード本体
⑥ カード本体プロトタイピング
物理的な商品を小ロットで生産することはとても大変です。まずは、小ロットから安価に製造できる場所を見つけて、自分たちで直接手を動かしながら初期のプロトタイプを作りました。
⑦ まずは自分たちで使ってみる
いわゆるドッグフーディングというやつです。
自分たちでプレーリーカードを使う体験が非常に重要でした。名刺の代わりとして機能するレベルの体験を作るためには、まずは自分たち自身が使ってみて、「ここは絶対に直さないといけない」ところを何度も改善していきます。
⑧ カード本体の品質改善
カードの品質も初期からかなり改善しています。
初期に自分たちが手作業で製造の一部を行っていたこともあり、製造会社への委託の際もスムーズに話を進めることができました。
プロフィールページ
⑨ プロフィールページのプロトタイピング
初期は指定したURLに飛べるだけの状態でした。
⑩ プロフィールページの改善
今では、プロフィールページを簡単に作れるようにしています。お客様の声をたくさん聞いて、初対面の場に最適化したプロフィールページを構築しています。
ECサイト
⑪ ECサイトのプロトタイピング
最初の着想から1.5ヶ月。まずは「人がお金や時間を使ってまで欲しいと思うのか」を検証する必要があると思い、ECサイトを作りました。この思想は、自分のメンターのひとりでもある @tomoya_konishi さんが勧めてくれた本👇の影響が大きいです。
食品や化粧品と違って、プレーリーカードは既存の概念に当てはめることが難しい商品なので、商品紹介動画のプロトタイプも作りました。
ECサイトの構築には Shopify を使っています。立ち上げが早い上に、カスタマイズがゴリゴリできるのでとても便利です。
⑫ ECサイトの改善
モバイルでのアクセスが多いことを受け、ファーストビューでの動画はモバイルにも対応した縦型動画に変更。トンマナも、ブランドイメージの変更に伴ってポップな見た目に変化させています。
カード公式デザイン
⑬ カード公式デザインのプロトタイピング
初期のブランドイメージである『高級感・信頼感』に合わせて、グラデーションで高級感を出そうとしました。
⑭ カード公式デザインの改善
ブランドイメージの変更(『高級感・信頼感』→『ポップ・おしゃれ・信頼感』)に伴い、お客様のご要望も聞いた上で、様々なパターンの公式デザインを用意しました。
カードデザインツール
⑮ カードデザインツールのプロトタイピング
プレーリーカードは 個性を自由に表現できる ことを大事にしています。アイデアの着想から1ヶ月の時点で、「カードのデザインを簡単に作れる」ツールのプロトタイプを作りました。
MVP ( 顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト ) として、当時は以下の 最小機能にしました。最小限を目指したのでツール制作も3時間ほどで完成しています。
スマホで作れる
片面のデザインしか作れない
アップした画像は真ん中にしか配置できない
アップした画像のサイズを調整できる
背景色を選べる
制作した画像は、一回ダウンロードしてECサイトで別途アップロード
⑯ カードデザインツールの改善
お客様が実際にカードデザインを作っている様子を真横で見させていただく機会を何度も作り、改善ポイントを探りました。
ヒアリングを行う上で、『インスタのストーリーを作るくらいデザインを簡単に作れる』ことが大事だと気付かされます。
改善ポイント
文字を自由に入れられる
画面上のパーツを直感的に移動する
画像や文字の位置を自由に動かせる / ピンチズームで大きさ変更
作った画像をそのままカートに追加して購入できる
もしよければ、触ってみてください。デザインは無料で作成できます👌
購入されるのか検証(初期)
⑰ 友人に勧めてみる
まずは声をかけやすい友人から連絡してみて、購入するか様子を見ます。
20人に声をかけて、そのうち9人が購入しました。
想定よりも購入してくれたな、という印象だったのですが、とはいえ「友人」という関係性があるから購入してくれたという可能性もあります。
⑱ 『面識のない人』 に勧めてみる
道端や出先などで、はじめましての人に声をかけてみて、雑談をしつつもプレーリーカードのデモをしてみました。
その結果、デモの反応が非常によく、初対面の人でも買う人がいることがわかり、自分たちの中で大きな自信に繋がります。中には、1度にカードを3枚も購入してくれるお客様もいました。この時点では「カードデザインツール」の機能が不十分だったので、その場でお客様から画像を送ってもらって、屋外で MacBook を開き、お客様のご要望を横で聞きながら figma でカードデザインを制作する、ということも行いました。
また、ニーズ検証のために展示会への出展も行いました。
5枚くらい売れたら充分かな、と思っていたところ、25枚も販売できたので、こちらも検証としては良い数字が取れたと思います。
配送パッケージ
⑲ 配送パッケージのプロトタイピング
様々な形の封筒・メッセージカードを試しました。最初は封筒を購入し、家庭用プリンターでロゴを印刷しながら、プロトタイプを作りました。
⑳ 配送パッケージの改善
初期プロトタイプの封筒には問題がありました。
封筒の紙が薄いので、
配送時に折れてしまう
安っぽさがある
ポスト投函なので、雨の日に濡れてしまう
これらの課題を解決するため、封筒は分厚くて紙質のよいものに。封筒はOPP袋に入れるようにしました。
封筒は合計30種類くらい試したかと思います。たくさんの種類の封筒を販売している某所には5回通いました。
㉑ プロフィールページ表示速度改善
プレーリーカードは「初対面での自己紹介」という人生における大事な瞬間をデザインしています。
この体験をより良いものにすべく、プロフィールの表示速度には改善を重ね、常に速いスピードでプロフィールページが表示されるようにしています。
技術的な工夫も、また別の機会に紹介したいです。
マーケティング / PR
㉒ インスタ
プレーリーカードのお客様のデザインを紹介しています。
(掲載時は個別に許諾を頂いております。)
プレーリーカード公式アカウント: @prairie_card
㉓ 活動場所としての共創施設
プレーリーカードは、渋谷QWS という審査制の共創施設に入居しています。
QWSにはスタートアップから大企業・地方自治体などの様々な組織が入居しています。ありがたいことに入居者の方にプレーリーカードに興味を持っていただいたり、組織としてプレーリーカードを導入していただいたりなどしています。
交流することが好きな人がたくさん入居しているので、まさにプレーリーカードを活用してほしい人たちがそこにいます。
㉔ 法人のお客様からの導入 / お問い合わせ対応
様々な業態の企業様から問い合わせをいただいております。
最初は個別で案件の相談を受けることが多かったのですが、今は相談の数が増えてきたので、法人サイト・問い合わせフォームを設定しています。
プレーリーカード for BUSINESS 公式サイト
㉕ 朝日新聞さま取材対応
ご縁があり、3度の取材を経て朝日新聞の紙面とデジタル版の両面に掲載していただきました。
㉖ ピッチコンテストへの出場 / 最優秀賞を頂く
渋谷QWSで行われたピッチコンテストに出場し、17チームの中で最優秀賞とNTTデータ賞のダブル受賞をいただきました。
㉗ プレスリリースを書く
PR・広報に詳しい方々に相談させていただきました。レビューしていただいた方々、本当にありがとうございます🙇♀️
一生分の名刺をこの一枚に。スマホをかざすだけのデジタル名刺「プレーリーカード」正式サービス開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000063728.html
㉘ プレーリーカードユーザー限定・招待制の meetup
プレーリーカードではユーザー限定の meetup も行っています。
第0回は30名ほどのプレーリーカードユーザーが集まりました。
㉙ プレーリーカードユーザー限定・招待制のリリース記念パーティ
そしてリリース日当日の2月7日、リリース記念パーティを行います!
前回のmeetupの2倍の60人が集まります。
招待制で既に定員もいっぱいです。が、メディア関係者に限り参加できるようにしているので、もしご興味のあるメディア関係者の方がいれば、こちらからご登録ください https://forms.gle/mn5tgL9BX9W7m7xMA
㉚ リリースのnoteを書く
頑張って書きました。特に物理プロダクトを新しく事業として立ち上げる知見はなかなか世に出回らないので、この記事が誰かの役に立てば嬉しいです。
最後に
最後まで読んでくださってありがとうございます!
プレーリーカードは、人と人の繋がりをデザインし、新しい文化を作っていきます。応援よろしくお願いいたします!🙇♀️
応援したい!と思った方は、SNSでこの記事や 公式サイト を共有してもらえると嬉しいです!