駐車スペースは初めに決める or 後で決める?
家の新築をしようと考えると、
敷地面積いっぱいか面積制限いっぱいに家を計画することが多いと思います。
そうなると、残りの敷地でアプローチ、駐車場、庭を考えねばなりませんが、他の2つと異なり、駐車場だけは決まった大きさ以上のスペースは確保しなければ全く意味が無くなってしまいますので、後決めの場合にはご注意ください。
■駐車場はどこにしますか
1 自動車は大きさが決まっているが・・・
現在所有している自動車のサイズを基にしたピッタリサイズの駐車場をお見掛けすることがあります。
その中でも芸術的な駐車技術が必要になりそうな駐車場もございますが、お車はいずれ買い替える時が来ることをくれぐれもお忘れないようにしてください。
次回も全く同じサイズのお車を選ぶことになります。
2 将来拡げる余裕は無い
家の増築は法規制によって制限されていますが、駐車場には法的な制限はありませんので、後で拡げられそうな感覚があるかもしれません。
しかし、駐車場は道路からしかアクセス出来ませんので、敷地条件によっては、全く増やせない可能性もあります。
拡げられる可能性があるとすれば、
初めから、広げる可能性を考慮した建物の配置をしておくことが望ましいです。
3 ビルトインガレージって憧れますか?
「ビルトインガレージ付きの家」
と聞くと、家づくりに携わる前だったら何となく都会的で憧れのワードでしたが、住宅設計に携わるようになってみると、
ビルトインガレージって、
一般的には、止むに止まれずに造られていることが多いことにすぐに気がつきます。
要は、敷地内に駐車スペースの確保が難しく、建物の一部を駐車スペースとして設けたのがビルトインガレージと言う印象に変わりました。
中には、大切な車を家の中に保管するためにわざわざビルトインガレージにする方もいらっしゃいますが、かなり贅沢な造りの車庫となります。
ビルトインガレージを配置すると、
1階のスペースの多くが取られますので、
居住スペースは2階以上に設けるようになります。
2階以上に生活スペースを設けるメリットとしては、水害、地震などの災害の際に水没や建物倒壊による被害が軽減される可能性があることです。
デメリットは、階段の上り下りが必ず必要になることと、給排水設備の配管距離が延びることです。
■施工業者目線の駐車場
1 駐車場が無いことが建築業界の職人不足を悪化させている
都内の工事現場で作業する職人さんたちとの会話でよく出る話は、
「駐車場の取り合いが大変だ」
という話です。
駐車場が無い現場が多いというか、戸建ての現場はほとんどが無いようです。
そのため、
朝4~5時頃に自宅を出発してコインパーキングを確保することもあるそうです。
そして、8時半~9時ごろ、現場が始まるまでは待機することになるのだと思います。
こんなことをしているから職人不足が進んでいくことになるのですが、
やっている本人たちは必死ですので、
周りから、特に若い方々からどう見られているかはあまり気にしていないですし、改善しようとも思っていないのだと思います。
出来れば、そんな話しは私たち関係者以外にはしないでほしいものです。
2 どこにでもパーキングがある訳ではない
上記のように駐車する場所があればまだ良いですが、
近くに駐車することが出来ない現場があったという話も時々伺います。
あまりに現場と駐車場が遠いため、
作業車に自転車を積んでいって、駐車場から現場まで自転車で行っている、
という本当か冗談か分からないような話しもありました。
職人が減っていくこの業界の中で、
そうした現場にいつまで対応出来るのか不安でしかたがありません。
住宅には、法規制を破って建ててしまった住宅が存在していますが、それらは再建築が出来ないことが良くありますので、その場合には業者もお断りせざるを得ません。
一方で、駐車場が確保できない現場と言うのは法律的には全く問題ないものの、作業環境が整わないとして、業者側から敬遠されてしまう時代が来るかもしれません。
3 駐車スペースが作業スペースにもなる
リフォーム工事で1部屋ずつ工事を進めていく場合にも、
施工する部屋の他に、材料を切ったり、工具などを置く為のスペースが必要になります。
施工する部屋で全て賄おうとすると、手間も時間も増え、更に、品質低下も招く可能性があります。
住みながらの工事でなければ、施工する部屋以外の部屋をそのスペースに充てられますが、室内に確保できなければ、お庭や駐車場をそのスペースに充てざるを得ません。
天候に左右されるので、あまり良いスペースとは言えませんが、屋外では埃や汚れなどをそれほど気にしなくて良いというメリットもあります。
車を停める以外でも使わせていただいています。
4 カーポートは注意
駐車場があってもカーポートの屋根が建物にピッタリと設置されている場合は、足場の設置が難しくなります。
カーポートのポリカ屋根を外せば足場は経ちますが、
既存のポリカは取外して再取付けが出来ない、または、破損しやすくなる可能性があり、交換が生じるケースが多々あります。
ただ、足場が必要ない工事の場合には、屋根付きの作業スペースとして重宝させていただいていますので、設置がどうこうというのではなく、可能なら、足場のことも考慮して設置出来れば理想的です。