屋根に上らせただけなのに・・・
「スマホを落としただけなのに」
と言う映画がヒットしましたが、スマホは落としたら大変ですよね。
電話番号、メールアドレス、住所、クレジットカード情報、画像、動画、その他自分や他人の個人情報がたっぷりと詰まった情報の宝庫ですので、落としてしまったらすぐに対応しなければなりませんね。
では、屋根に他人を上がらせたらどうなるでしょうか?
■屋根に上がらせたらどうなる?
1 なぜ屋根に上がりたがるのか?
2階建て住宅の屋根は、地上から5m以上高い場所にありますので、上るには少なからず危険が伴います。
上らなくて良いならば、私たちも好んで上りたいとは思いませんし、上るならば、二人以上で安全を確保しながら上るなどすることにしています。
なぜ、自分から「屋根に上がらせてください」などと言うのか不思議でしかありませんが、きっと、大きな利益があるからなんでしょうね。
2 なぜ屋根に上がりたがる人を上がらせるのか?
見ず知らずの人間が突然訪問してきて
「無料で屋根に上って点検します」
と言ってくることがどれほど異常な事であるかは伝わっているでしょうか?
しかも、
すぐに屋根に上がれる道具や装備を持参し、
屋根に上がれる時間もあって、
屋根に上がる理由が実に曖昧である、
なんてことは天文学的な確率と言えるくらい低いはずなんですが、
それすら疑わないというのは、
スマホを落としても全く慌てない以上の能天気と言わざるを得ません。
3 屋根に上がる前後のストーリーはこうです
突然訪問
↓
お宅の屋根がおかしいので無料で点検します
↓
屋根に上がらせてしまう
↓
屋根の異常箇所の画像を見せられる
↓
すぐに修理が必要
↓
※ここからはいくつかのパターンがあります
4 なぜ屋根に上がらせた人の話を信用するのか?
上がらせた後はスマホやデジカメで画像を見せられます。
瓦が割れている所やずれている所などが多いようで、これを見せられると一気に不安が高まり、次のステップへ進みやすくなってしまいます。
しかし、冷静に考えてみてください。
地上から屋根の不具合の様子が分かるのか?
撮影した箇所は地上から見える場所なのか?
人為的に割られた、ずらされた可能性はないか?
だいたい、どれかには該当します。
酷い事例になると、
南側に道路がある住宅の北面の瓦(地上からは全く見えない)が割れてました(人間が割ったとしか思えない直線状の割れ)と言われたそうです。
その画像を私も見ましたが、
どうやっても地上から見えない場所でしたので、ドローンでも飛ばさない限りは屋根に上がる前には絶対に異常に気がつかないですし、瓦の割れはおそらく足で踏んで力を掛けて割った形跡がありました。
尚、画像を見せた後、一度、その業者は立ち去って、30分後に見積りを持ってきたそうです。
ちなみに、その業者の事務所は住所から考えるとどうやっても往復すると1時間以上は掛かるそうなので、そこでようやく怪しいと気が付き、私に相談してこられたと言う経緯です。
1.について・・・屋根は地上からはほとんど見えません。見えるとすると、瓦が大きくずれている場合などで、素人でも判別できるほどの異常がある場合に限ります。
2.について・・・プロと言っても、見えない箇所の異常まで予測することは困難です。しかも、屋根となると、築年数によっては乗るだけで割れてしまうこともありますので、異常を把握していない状況で無暗に屋根に上がることは無いと思います。
3.について・・・強引にでも屋根に上がったからには何らかの成果を欲しがると考えれば、怪しい輩たちは行動を起こします。
5 なぜ安くなると言われると飛びついてしまうのか?
屋根工事は高所作業ということもあって、足場の設置等を含め、比較的規模の大きな工事になります。
そのため、一般的には安くない費用が掛かります。
しかし、屋根に積極的に上がりたがる業者の出してくる見積りは思ったほど高くないことがあります。
これが3で書いたいくつかのパターンにつながるのですが、
見積りは安かったのに、あれこれ追加されて最終的には高額請求されることになった
見積りは安かったが、何の工事をしたのかよくわかずに終わってしまった
見積りは高かったが、保険を使えると言われて請求金額は抑えられた。
1.について・・・これは定番の手口ですが、工事を進めていくうちに、こっちもやっておかないと危ない、これをやらないとこれ以上作業できない、などあれこれ追加に追加に追加に、とどんどん膨れ上がっていき、当初の倍では効かないほどに請求金額が増えていきます。
2.について・・・これも良くありますが、屋根上と言う見えない場所ですので、何の作業をしているかが分かりづらいため、依頼通りの作業が行わていない、中には、全く作業していないこともあります。
3.について・・・保険は災害などによる被害に対しては適用されることがありますが、経年劣化に対しては適用されません。それなのに、さも利用できるように虚偽の申請を行い、保険金をだまし取っている事例もあります。
この場合、保険金詐欺の主犯は被保険者である住宅の所有者になりますので十分にご注意ください。保険のことは、ご自身の保険代理人の方にご相談ください。
6 屋根に上がらせた〝だけ〟ではない
「だけ」ではないですね。
私は常々、屋根に上がらせてしまったらアウト!
と言っています。
怪しい人間が屋根に上がった時点で、もはや手の打ちようが無く、関わることも難しくなります。
何か対処するとするならば、屋根を全面的に葺き替えるなどしかなくなってしまいます。
怪しい人間が何をしたかなど想像もつきませんので、その対処をするならば、全部を交換する以外のご提案は難しいです。
だから「だけ」ではないと私は考えています。
どうか、屋根に上がらせないでください。