建築現場は昔とは違います
「きつい、きたない、きけん」の3K労働と呼ばれ、若い方に敬遠されがちな労働環境の一つに建築業界もしっかり認定されているのだと思います。
他社の建築現場を眺めていても、
現場の多くを占めるのが高齢者&外国人ですので、
データはどうかは知りませんが、私の感覚的には日本の若者が間違いなく、確実に、大量に離れているという認識です。
この先、日本で建築工事を依頼しようと思っても、昔のようには行かなくなるのは確実で、後は、「それがいつから顕著に表れるか」と言うことだけだと思います。
しかし、実際の建築現場は皆さんの考える、想像する、ものと果たして同じでしょうか?
良い意味でも、悪い意味でも変化は確実にあると思いますので、そんなお話しをしてみたいと思います。
■何が変わった?今の建築現場
1 時間が少し改善
好景気、建築バブルなどによって日の出る前から深夜まで一分一秒でも惜しんで突貫工事を実施していた(私の勝手な想像)高度経済成長の時代のように、建築現場で労働者が体力の限界まで体を動かしていたのはずいぶん昔の話しです。
現代の建築現場では、労働時間が定められ(正確に何時から何時とはなかなかいきませんが)、安全や健康への配慮が進んでおります。
中には、週休2日、3日、などを取り入れている企業もあります。
昔より、働きやすい現場環境、労働環境が整っている現場も増えています。
2 変わっていない現場もありますが
一方で、
都内など現場が集中する地域と地方での建築現場不足、職人不足などによって、都内の業者が県外に、県外の業者が都内に移動して作業するというミスマッチが続いています。
そうした、遠距離移動を伴う現場で働く方々においては、長時間の移動が必要となるなど、環境が変わっていない場面も多々あります。
また、ローコスト住宅に限らず、相変わらず、
極端な人件費・施工費の削減、抑制により、工事単価が著しく下げられている現場では、長時間労働により、1日でも早く現場を終わらせ、数をこなすことで何とか継続するという状況も続いております。
3 昔のように修行期間が長くない
最近は、入社即デビュー、と言うのも珍しくないと思います。
他社現場をのぞくと、明らかに日本語も話せないような外国人でも電動工具を持って作業している様子が見られます。
明らかに、日本の建築様式や安全への配慮などは学んでいそうも無く、ただ、作業手順や工具の扱い方だけを教わったらすぐに現場に出ているという印象を受けました。
それほどのスピードデビューが可能なのかもしれません。
ほぼ修行ゼロでデビューです。
昔なら、大工職人としてデビューするには数年~10年くらいは掛かったのではないでしょうか?
すぐに現場で腕を振るいたい方にとっては朗報ではないでしょか?
ただ、現場で起こったことの責任も取らねばならないのと、
基本を学ばずに作業をしていても、成長が遅い、または、成長がほぼ無い、可能性があることが懸念されますが、
とにかく、腕に自信さえあれば、すぐにお金を稼ぐことが出来るかもしれません。
4 昔のように厳しく怒られない
最近の建築現場は昔に比べてとても静かです。
電動工具、エアー工具を使っていますので、作業音としては大きいかもしれませんが、職人同士のコミュニケーション(怒号!?)は随分減ったと思います。
何となく職人さんって荒っぽい印象が未だにあると思いますが、現代ではそんな元気な職人は希少な存在です。
〇〇ハラやコンプライアンス、人権、と言う言葉を何かと身近に聞くようになり、上司や先輩が部下や後輩を指導する事が難しく、いや、不可能になりつつあります。
実際に、一昔前の建築現場では、大きな声で厳しい言葉が飛び交っている現場など珍しくありませんでした。
それは、ただ現場の職人たちの気性が荒いというのが理由ではなく、現場の安全、現場の品質、職人の成長を考えた上での厳しさもあったと考えらえますが、今は、それが出来なくなってきたということになります。
5 一人で出来る
昔は職人と言えど、親方の元で修業し、一人前になったら独立して、また、自分の下の職人を育てて、と言うことが繰り返されてきましたが、現代では、修業がありませんし、人を育てる余裕もありませんので、基本的には、一人で自由に飛び込んでいただけます。
動画サイトなどの功罪はありますが、
職人っぽい人ははいくらでも量産可能な環境が整っています。
しかし、職人は激減する一方なので、早く、AIやロボットが活躍してくれないかと期待しています。
建築現場は、昔より色んな意味で厳しくは無くなったような気がしていますが、それはおそらく、20年以上この環境にいるから感じているだけなのかもしれません。
少しでも、若い方々に建築に関心を持っていただき、次代を担っていただければ幸いです。