多様性の時代のペット事情に住宅はどう対応するのか
「ペットと言えば、犬か猫」と言う時代もありました。
現代では、多種多様な動物たちと一緒に暮らしている方がいらっしゃいますよね。
最近、ようやく、犬や猫たちの暮らしやすさを考えた家づくりも定着してきたと思ったら、それ以外の動物たちも増えてきて、住宅はこの先もますます進化が求められますね!
■ペットのタイプ別・家づくり
1 魚類
魚類と言っても、
池のような広さで暮らす鯉のような大きな魚もいれば、
水槽で暮らす熱帯魚など、
多種多様なので、一概には言えませんが、
共通するのは【水】が必要であるということです。
建築にとって、水は天敵にもなり得るものですので、
基本的には、浸入を防ぐように家は作られています。
そこに、水を持ち込むということになりますので、水の入れ替えや水槽の清掃のしやすさが特に重要で、他にも水槽に必要な電源の設置、などが大事ではないかと考えます。
水をこぼした際の心配が少ないのは屋外への配置ですが、これだけ厳しい気候になると、難しいかもしれません。
また、水槽は水が入るとかなりの重量となりますので、基本的には下階に置くのが望ましいです。
2 爬虫類
爬虫類も多種多様なので、一概には言えませんが、
最も注意したいのは、「熱の管理」と「絶対に逃がさない」
ことだと思います。
爬虫類は変温動物ですので、周囲の温度で体温が左右されます。
そのため、室温の管理が必須となりますので、冷暖房・照明・換気など、電気関係を中心に計画しておくのが望ましいと思います。
また、これは爬虫類に限ったことではありませんが、
ご自身にとって、いくら可愛いペットだとしても、それはあくまでも買い主さんだけが持つ感想です。
体長の大小、凶暴性の有無、人間への慣れ、
などいくら危険性が低い動物だったとしても、
それはその動物に興味を持った方々しか知り得ません。
一緒に暮らすことになった時に十分に理解されているとは思いますが、
長く一緒に暮らしているうちに薄れてしまうこともあるようですので、
改めて、
そして、敢えて、強く言わせてもらうと、
周りの方々にとっては怖いと感じる可能性があるということを再度認識し、狭いゲージなどでは可哀そうなのかもしれませんが、
確実に、毎日を安心して暮らせるようにしてあげてください。
3 大型
昔は、小型犬を屋内で飼う方もいらっしゃいましたが、大型犬は屋外がほとんどだったと思います。
最近では、体長に限らず、屋内で一緒に暮らすご家庭が増えていますが、実際には、まだ、多くの住宅が大型タイプに対応していません。
小型犬用のペットドア(市販品)はありますが、大型犬は通れません。
襖や障子のような和室以外でも、建具やガラス、内装材などは大型犬のパワーではあっという間に破壊されます。
つまり、人間のために造った住宅では、対応が難しいということです。
室内で一緒に暮らす場合には、主に、強度面に配慮しておくのが良いと思います。
■ペット共生住宅の考え方
「ペットのために家を建てたい」
なんて、20年前に聞いたら、きっと私は驚いたと思いますが、
現代では、そんなこともあるだろうと納得してしまうと思います。
しかし、大前提として、
人も暮らしやすいということが大事だと考えています。
ペットのこと以外でも、
風水、デザイン、流行り、こだわり、など住宅を大きく左右する要素はありますが、暮らしやすさを度返しした家づくりは、私の経験上、失敗の可能性を著しく上げてしまいます。
まずは、人間がしっかり心地良く暮らせることを考え、
一緒に暮らすペットたちの居場所を考えるのが良いと私は考えます。
その居場所は、建築の知識と言うよりも、生物の知識が必要となるので、私たちよりも買い主さんたちの方が詳しいでしょうし、良いアイディアもあるかもしれません。
そして、私が考える一番のポイントは、
ペット向けと言うていでガチガチに家を造り込み過ぎないこと
です。
ペットたちだって、性格がありますし、年齢などによって体調も行動も変わるかもしれませんので、そうした変化にも対応出来るような余白、余裕を持った家づくりが望ましいのではないでしょうか。
■最後までお読みいただきありがとうございます
ペットたちだって買い主さんが毎日快適に笑顔で過ごせることの望んでいるはずです。