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多様性の時代って何でもありではないのでしょうか
「多様性」とは、ネットで意味を調べると、
集団の中に幅広く特性の異なる人がいること
だそうです。
現代は「多様性の時代」と言われていますが、
多様性の時代の割に、何かに括りたがり、それを外れた物をすぐに否定しているような気がしています。
家も多様性であっていいのではないでしょうか。
■家はこうあるべきに縛られる
1 令和7年4月からは家は雁字搦めにされる
数ヵ月後の話しですが、建築基準法と建築物省エネ法が改正されます。
改正の内容を簡単に説明すると、
改正では、従来認められていた特例が廃止され、構造計算が必要となり、また、省エネルギー性能の基準が引き上げられます。
要するには、住宅の最低水準を大幅に引き上げることになり、
これまで、そのレベルの性能及び構造計算を標準として来ていない全ての建設会社が建てる住宅において、(大幅な)コストアップ になるということです。
2 家を建てられる人が更に限られてくる
最近の物価増に加え、実質賃金の減少、によって家を新築する軒数は年々下がり続けていますが、上記を機に、それは一気に加速するものと業界では戦々恐々としています。
すでに都内ではマンション価格の暴騰により、
都内の多くのマンションが居住用ではなく、投資用になってしまいました。
そのため、ほとんどが売却済みのはずなのに住人数が少ない廃墟のようなマンションが見られるようです。
都内を諦め、東京都近郊に住まい(持ち家)を求める方が増えていると考えられますが、それももう終わりを迎えるかもしれません。
3月着工までは改正前の基準が適用されますが、すでに今からでは3月着工は絶望的なので、すでに終わったのかもしれません。
3 家の多様性とは
外観にこだわりたい人、
インテリアにこだわりたい人、
設備機器にこだわりたい人、
素材にこだわりたい人、
家の広さにこだわりたい人、
家になるべくコストを掛けたくない人、
などなど、
家を建てる時にはお客様それぞれの想いを形にして来れましたが、
ここまでコストが上がる要素が積みあがってくると、
選べる範囲がとても狭まってしまいます。
ローコスト住宅であっても、これまで以上のコスト削減を求められるようになる訳ですから、問屋や下請け業者が更に泣くか、品質を更に下げるか、難しい?選択をせまられることになると考えらます。
住宅は多様性はなくなり、
一定の性能を持っただけの住宅を手にするか、
または、
それ以上の費用を投じてこだわりをプラスするか、
に分かれる時代がすぐそこまで来ています。
4 これからの住宅事情にどう向き合っていけばいいか
「家は高いもの」
と言う認識は日本に暮らす誰しもが感じていることだと思います。
そのため、持ち家意識の低下と共に、
100円均一のようなローコスト住宅が普及してきたのですが、
これからの時代はローコストと呼ばれてきた住宅ですら「高い」と感じるようになるか、または、お値段通りの品質が更に顕著に見られるようになってしまうかもしれません。
しかし、
「国が決めたことだからしかたがない」
というのでは話が終わってしまいますので、
どのように自分の家への夢を実現していくかを考えたいですよね。
5 土地を考える
埼玉県内で見かけるのは、
建て替えよりも、新しい土地を購入して家を建てる、または建てられている住宅を購入する割合が多いと感じています。
つまり、土地代+建物代を支払っているということです。
しかも、埼玉県の土地の価格は低い方ではありませんので、全体の資金計画の半分以上を土地が占めることも珍しくありません。
埼玉県内では細切れのように分割した土地に似たような建売住宅がたくさん建っているのも、少しでも土地代、建物代を抑える工夫だと考えられます。
しかし、
これからは建物代が大幅に上がっていくのですから、
資金計画を見直すには、
住宅の質や面積などを下げてコストダウンを図るか、
土地のコストダウンを図るか、
を更に考えていかねばなりません。
土地のコストダウンとしては、
面積を狭めるか、地域を変えるか、などが一般的ですが、
もしも、初めから土地があれば、コストゼロとは言いませんが、大幅にコストダウンにつながります。
両親、祖父母などが所有する土地に建設する、実家を建て替える、
などは昔から家を新築する際の最有力候補でしたが、
現代では、利便性や家族関係などから、避けられてきた選択肢でもあるのかもしれませんので、
一概に、これにした方が良い、とは言えませんが、
候補の一つとして、計画段階で家族間で話し合っても良いのではないでしょうか?
6 資産を見直す
昔のように先祖代々の宅地、田畑、山林などを守り続けていくことが現実的に難しくなっているケースが増えていると思います。
しかし、そうした話題は家族間で話し合われることは少なく、結論が出ないうちに相続が発生し、管理されていない空き家や空き地が量産されているのが現在の日本の状況です。
これらは、ただ空いているだけではなく、管理されていない事で周辺にも悪影響を与える可能性もある負の資産とも考えられます。
負の資産にしないためには、活用方法などを検討しなければなりませんが、時間が掛かりますので、やはり、早めから話し合っておくのが望ましいです。
その中で、住まいについても同時に考えていくことで、土地の活用にもつながるかもしれません。
7 空き家を増やさない
資産や相続の話しとなると、何となく後回し、先延ばしにしたい気持ちが沸いてくるかもしれませんが、土地建物の将来のことを冷静に考えますと、使わねば空き家となり、その管理も生じてくることになります。
そして、現代の日本では空き家の問題が年々大きくなっています。
その解決策の一つは、既存の住宅の再利用(リフォーム、リノベーション)、住宅の建て替え、などです。
絶対にしなければならない訳ではありませんので、
可能性を探ってみても良いのではないかと思います。