木の温もりを感じるのに本物である必要があるのか
時々、大工界隈で聞かれるのが、
「この前、新建材を無垢材と間違われたよ!」
と言う話しです。
要するには、
「本物の無垢材ではない紛い物を本物扱いされて困ったよ」
と言う事なんですが、
それだけ最近のプリント技術が進歩してきたというだけではなく、
最近は本物を見抜けない人が増えてきた、
という愚痴めいた内容若干含まれているような気がします。
本物を理解していただいた方が良いのは良いですが・・・
無垢材とは、生育している木を伐採し、丸太を製材、乾燥、加工、仕上げ、
などしたもので、どこから見ても正真正銘の「木」です。
一方、それ以外の物と言うと、
集成材、合板、新建材、など、木を張り合わせたものや木に似せて仕上げたものなど、最近は多種多様な商品が販売されています。
むしろ、こちらの方が主流となっていますので、
皆さまの目に入るのも、圧倒的に無垢材以外だと思います。
弊社では、無垢材推しの住宅をご提案することが多いですが、
お客様のご要望などによっては、
無垢材以外の製品を使ったご提案も行っています。
それは、無垢材にもそれ以外にも、それぞれ異なる特徴があり、
お客様のご要望やライフスタイルによって、
使い分けた方が良いと考えているからです。
私自身、無垢材は好きでし、自宅にもたくさん使用しましたが、
無垢材なら全て良い!
とまでは心酔していませんので、
特徴を良く理解していただけるよう、丁寧な説明を心掛けています。
本物を見る機会が無い
そもそも、ある程度の築年数が経っているご実家での暮らしを経験しているでもなければ、本物(無垢材)を見たり、触れたり、する機会はほとんどないに等しいので、無垢材を見分けられる訳がないですよね。
私は大工の家に生まれたので、
小さいころから慣れ親しんでおりますが、
当時から友だちの家はすでに新建材をふんだんに使用されていましたので、
同級生などはきっと今でも見分けがつかないのではないかと思います。
寺社仏閣建築などがお好きな方は、
自然と本物に触れることがあるかもしれませんが、
なにぶん、
住宅とは規模も素材のグレードもあまりに異なるので、
比較対象にはならないかもしれません。
本物かどうか見た目では区別しづらい
実際に最近の技術でデザインされた玄関ドアなどは、
遠目で見ると、本物と区別がつきません。
近づけばさすがにわかりますが、
この先、もっと進歩していくと思います。
ですから、無垢材であるかどうかについては、
見た目だけで言ったら、どちらでも効果は変わらなくなっていくのかもしれません。
その内、プロでも分からないとかなりそう
今は大工さんたちもプロ気取りで、
「本物を分かってない!」
などと言ってられるかもしれませんが、
今は無垢材を扱っている業者も激減しておりますので、
近い将来には、
プロでも知った風で語らざるを得ない事態になるかもしれませんね。
本物である必要性とは
無垢材と工業製品は見た目以外の性能には確固たる違いが存在しますが、
それが住宅に必須の事項であるとは言えません。
技術者によって、無垢材を進める方もいるでしょうし、
逆もいらっしゃいます。
むしろ、技術者たちが自分のオリジナリティを出すために、
無垢材を推している面は強いと思います。
ちなみに、弊社も5代続く工務店と言うことを分かりやすくお伝えするために、「大工と無垢材」の組み合わせを推しています!
大工と木の組み合わせ、分かりやすいですよね!!
ただ、自分たちが得意なものを組み合わせただけなんですが、
何もアピールしなければ、有象無象の一つのままになってしまいますので、
積極的に無垢材を推している面もありますが、
実際には、その良さを実感しているからこその〝推し〟でもあります。
本物には本物だけの持つ魅力が溢れています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。