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家づくりの甘い考え

日用品だって、衣類だって、飲食だって、
お値段が安いに越したことはありませんよね。

しかも、物価高の歯止めが効かない上に賃金が上がっていかない日本の情勢においては猶更です。

しかし、
こんなに物価も人件費も上がっているのに、なぜ安く出来るのか?
と言うことは常に意識しておくべきだと思います。


■安くする仕組みを考える

1 仕入れを安くする

一般的には、仕入れ価格によって販売価格は変動します。
安く仕入れられれば、販売価格も下げられますし、
高く仕入れることになれば、販売価格も上がっていきます。

ここの所は相次ぐ値上げラッシュにより、
この価格転嫁が出来ずに、経営難、廃業に追い込まれてる店舗、企業が様々な業界において増加しています。

物価が上がっているのですから、販売価格が上がるのは自然のことです。

それを上げない努力については、色々な方法があるのでしょうが、最も簡単なのは、仕入先と商談(圧力?)することです。

消費者が家電量販店などで値引き交渉をするような対等に近い駆け引きならまだ健全ですが、対等ではない関係の中で、取引規模などを盾に値下げ、値引きを強要するような事はどこの業界でも蔓延っていますが、
質の低下はもちろん、中小企業の経済状況の悪化を招き、業界全体の更なる低迷を促進していきます。

他の方法としては、いわゆる「ステルス値下げ」です。
コストを落としているのが分からないように、分かりづらいように、質や量を変えて対応することです。

これは今あちこちで見られますよね。

2 安い人を使う

材料費と対を成すのが人件費ですが、
これも下げられればコスト削減に大いにつながります。

しかし、人件費を下げれば、自然とそこで働く人は離れていきます。
それでも長年のお付き合いで続ける人もいるかもしれませんが、
一般的には、
出来る人、技術のある人、信頼できる人、から姿を消していきます。

そして、いなくなった人々の分を補充するために集められる人は、そのコストに見合う技術、知識、信頼がある人になってしまいます。

これも今あちこちで見られますよね。

3 結果はお値段通りになる

このご時世で価格転嫁をしないというのは、
ただ、自らの首を絞め続けることですので、「息が続くまで」と言う限定的なものとなってしまいます。

テレビ番組などで面白おかしく取り上げられるような、正常な商売ではなく、ほぼボランティアのような状態です。

一方で、価格転嫁をせずに自らの首も絞める必要のない立場の方々の所では、質が下がることになります。

結果としては、お値段通りかお値段の割に質が・・・、
と言う状態になってしまうのですが、気が付きづらいというのがポイントだと思います。

■いつから、安くて良いものばかりだと考えるようになってしまったのでしょうか

1 「安い=何かある」を理解していない人が増えている

相場よりもお安い不動産があったとしたら、安くなる理由が必ずあると考えると思います。

その方程式でいけば、
安い商品、安い工事、安いサービス・・・、には、
安くなる理由があるはずです。

それらの理由は、一般的にはネガティブな事が多いのですが、
いつからか、
「企業努力」のような、ネガティブ要素ナシで何とかなっているような発想が蔓延しているような気がします。

それはないですよね。

2 過程は全く見ていない

日本では、野菜や果物などが曲がっていたり、ちょっとキズがあるだけで商品にならないそうです。

作っていく過程は全く一緒なのに、収穫する際の状態だけで評価しているということです。

きっと、味や栄養などは変わらないと思います。
我が家では、農家の方々からそのようなお野菜をいただくことがありますが、採れたての野菜は、むしろ、市販のものよりも美味しいと感じます。

一方で住宅においては、
同業者から見れば信じられないような低価格で量産された住宅と、
建築士と職人などの技術者が造った住宅が同じ土俵で比較されます。

造っていく過程が全く異なるのに、出来上がってしまえば見た目の差が分かりづらいからかもしれません。

きっと、住んでみるまで、補修が必要な時期になってみるまで分からないと思います。

過程を見る機会は少ないのかもしれませんが、
過程を無視するのは質を無視するのとほぼ同じことだと私は考えています。

3 得しているかは後で分かる

イニシャルコスト
ランニングコスト
良く耳にする言葉ですので、皆さんもご存じだと思いますが、
初めに掛かるお金と後から掛かるお金、と言うことです。

だいたいは、イニシャルコストに飛びついてしまうのですが、後でその選択が正しかったかどうかの答え合わせをご自分ですることになります。

家づくりはなかなか経験を積めることではないので、お選びになるのは難しいのかもしれませんが、先人たちのお話しや経験者の経験談などを聞くなどして、少しでも情報を補填しておくと、自分の選択に納得しやすくなるのではないでしょうか。

■最後までお読みいただきありがとうございます