「年齢には勝てない」という表現について。
知人が「白髪が生えてきてショックだ」と言うので、「まぁ、年齢には勝てないよ」と答えた。
そう答えた後すぐ、
「年齢には『勝てない』」って、
なんだこの表現は、なんか違うんじゃないかと思い直した。
そもそも、「年齢に勝つ」とはどういう状態なのか。その逆、「年齢に負ける」とは、具体的にどういう状態のことをさすのか。
実によくわからんことである。
私と年齢との間に、勝ち負けなぞ、はなから存在しない。
年齢とともに老いるのは自然なことである。そこに、勝つも負けるもない。
80歳だけど若々しい人、
その人は「年齢に勝っている」のか。
20歳だけど見た目が老けている人、
その人は「年齢に負けている」のか。
やはり、なんだか変である。
とはいえ、どういったことで、
「年齢には勝てない」という言葉が一般的に使われているのか。相手にすんなり伝わる表現として流通しているのか。
この言葉はおそらく、
「いつまでも若くありつづけたい」という気持ちの裏返しであろう。
できれば、若くありたいのだ。皆、ほとんどがそう。
しかし、現実はそうはいかない。必ず老いる。どれだけ抗っても、老いていく。
そんなとき、私たちは、
「年齢には勝てない」と言う。
この言葉でもって、「仕方ない」と納得させ、最終、私たちは諦念に至る。
勝つことも負けることもないのだから、「年齢には勝てない」と表現すれば、違和感をともなう。
「年齢だし仕方ない」と、私自身に言い聞かせたいのが、正直な本音であろう。
そんなことを思った今日でした。