リアルなら気にならないのに

塾講師をしている。


この状況なので、すべてオンライン授業だが、

時折、嵐のようにネットがつながらなくなったり、

パソコンが重くなったりする。


そういうときは、瞬きもせず、半笑いのまま固まった


私の画像が、黒く塗りつぶされ、忽然と消える様を、


生徒たちは見る。


それならまだ事態がわかりやすくていいが、


私の声がとぎれとぎれで何をいっているか

よくわからないし、声も歪んで気持ちわるい、

例のあの感じになるのも、お互いになかなかのストレスだろう。


リモートワークの功罪はいろいろと議論されているし、


別にそれを議論したいわけでもないが、


私が言いたいのは、


「人の動きが止まったり、


声がとぎれとぎれになることを、


織り込み済みでコミュニケーションを


とっている」という


新しい人間の姿がここにある、ということだ。


だって、想定しますか、対面のリアルなコミュニケーションで、


それを。


「あいつ、話してるとたまにぶつぶつ途切れるんだよなあ」

とか

「あいつ、急に瞬きしなくなって動きとめるから怖いんだよ」

とか、対面のコミュニケーションではまったく恐れてこなかったことが

ネット上では起こる。

普段はありえるとも思っていないから、

対面コミュニケーションでもしそれが起こったら、


救急車をよばなくちゃいけないんだろうかと、

うろたえてしまうに違いない。


ネット上でしか起こりえないコミュニケーション障害が、

現実に持ち込まれないことを祈るばかりだ。

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