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元ABS秋田放送アナウンサー、元参議院議員の松浦大悟です。セクシュアリティはゲイ。よろ…

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元ABS秋田放送アナウンサー、元参議院議員の松浦大悟です。セクシュアリティはゲイ。よろしくお願いします。誰もが生きやすい社会を!

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  • なんとなく夕暮れ

    私の日常など。

最近の記事

LGBTにおける歴史戦2

次に見ていきたい事象は、ペドフィリアについてである。Xにおいて「#ペドフィリア差別に反対します」というハッシュタグがトレンド入りし、激しい議論の応酬があったことを記憶している人もいると思う。『イン・クィア・タイム−アジアン・クィア作家短編集』の帯文を書いた小説家の王谷晶氏がペドフィリア差別発言をしたとして、この本の翻訳者の村上さつき氏たちが出版社に抗議したのがきっかけだった。 王谷氏の発言の趣旨は、「LGBTQのQにはペドフィリアが含まれる」とのデマが広がっているというもの

    • LGBTにおける歴史戦

      読者の皆さんは、歴史改竄というと極右におけるでっち上げを想像するかもしれない。だが近年、リベラル勢力による歴史の書き換えが目立つようになっている。そしてそれは、わが国のLGBT史においても着々と進行しているのだ。ゲイである筆者から見たいくつかの事例を報告したい。 先日、若者に人気の男女混合パフォーマンスグループAAA(トリプル・エー)の與真司郎氏がゲイだとカミングアウトし、大きな反響が巻き起こった。ニューヨーク・タイムズがインタビュー記事を掲載するなど、「保守的な社会である

      • 左派LGBT 活動家はなぜ嘘をつくのか

        LGBTの中には左派もいれば保守派もいる。これは考えてみれば当たり前の話で、筆者たちLGBTはセクシュアリティ以外は異性愛者と同じだからである。ところがマスコミは、なぜか左派LGBT活動家の偏った主張しか伝えない。そして、そこには多くの嘘が含まれている。いくつか事例を挙げてみよう。 たとえば2014年、名古屋市で同性パートナーを殺されたゲイ男性が犯罪被害者給付金を申請したところ、愛知県公安委員会が認めなかったため提訴した事件があった。しかし裁判所は1審(2020年)でも2審

        • 「LGBT理解増進法」の何が「問題」なのか

          元国会議員の松浦大悟氏が3月3日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。LGBT理解増進法について語った。 LGBT理解増進法 「LGBT理解増進法」は、自民党の性的指向・性自認に関する特命委員会が法制化を進めている法案で、正式名称は「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」。差別禁止ありきではなく、あくまでもLGBTに関する基礎知識を全国津々浦々に広めることで国民全体の理解を促すボトムアップ、底上げ型の法案になっている。 新行)L

        LGBTにおける歴史戦2

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        • なんとなく夕暮れ
          4本

        記事

          再燃!! LGBT理解増進法の何が問題なのか?

          先日、週刊新潮の記者から「LGBT問題が政局になりつつある。松浦さんは、ゲイ当事者としてどう思うか」との電話取材があった。すかさず筆者は、日頃から自分が感じていたことを答えた。「荒井勝喜秘書官の暴言は論外という他ないが、これは官邸の危機管理能力の問題ではないか」。 永田町には左派LGBT活動家のような記者が複数いて、過去同じようなことが繰り返されている。 例えば「自分はLGBTだ」と言いながら取材をしていた朝日新聞の女性記者は杉田水脈議員を執拗に追いかけ回すことで名を成し

          再燃!! LGBT理解増進法の何が問題なのか?

          東京都の同性パートナーシップ制度の「穴」

          昨年12月7日、小池百合子都知事は東京都議会本会議において、同性パートナーシップ制度を始めることを告知した。2022年度中に導入するという。 すでに大阪府や茨城県など5つの府県で同様の制度が実施されており、「これに東京都が加われば同性婚の議論が進まない国会にプレッシャーをかけられる」とLGBT活動家は意気込む。 だがそこに落とし穴はないのか。 ゲイを公言している政治家である筆者には、すぐさまいくつかの懸念材料が脳裏に浮かんだ。順を追って説明したい。 1. 男性も「産む

          東京都の同性パートナーシップ制度の「穴」

          LGBT法案の修正は本当に大団円なのか?

          LGBT法案についての与野党協議を行っていた超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は、野党からの強い要望で基本理念に「差別は許されない」という文言を入れる修正を行ったと発表した。理不尽な差別を認めてはならないのは当然のことだが、筆者が心配するのは、しばしば「何をもって差別とするのか」という議論さえも差別だと断定するリベラルメディアの姿勢にお墨付きを与えてしまうのではないかという点だ。 そのことを痛切に感じたのは、2018年に起こった『新潮45』廃刊騒動においてだっ

          LGBT法案の修正は本当に大団円なのか?

          BuzzFeedが誤魔化すLGBT問題の三論点

          先日アゴラに掲載された筆者のエッセイにBuzzFeedが反論してきた。筆者が応答する義理は何もないのだが、せっかくなのでこれを奇貨とし、改めて既存マスコミが伝えないLGBT問題を深掘りしてみたい。 BuzzFeedの記事には三つの誤魔化しがある。ひとつは「トランスジェンダーとは誰のことか」という論争についてだ。以下の図を見てほしい。 トランスジェンダーというと、世間では生殖腺を除去して男性/女性に性別移行した性同一性障害の人というイメージが定着しているがそうではない。トラ

          BuzzFeedが誤魔化すLGBT問題の三論点

          LGBT天皇が誕生する日

          LGBT活動家が最も口をつぐむのが同性婚と天皇の問題についてだ。「天皇陛下と何か関係があるの?」とお思いの方もいるだろうが、少し耳を傾けてもらいたい。 もし日本において同性婚が導入されれば、「国民には同性婚を認めているのに、皇室には認めないのか」という意見が必ず出てくる。皇族に同性愛者がいたとして、日本国民が彼らにだけ同性婚を許さないのだとしたら、それこそ国際的スキャンダルになるからだ。 2018年、イギリスではエリザベス女王の従弟、アイバー・マウントバッテン卿がゲイ男性

          LGBT天皇が誕生する日

          ノンケはLGBTに本当は関心がない

          いま国会で、実質的な性別の定義変更につながる議論が始まろうとしている。 《4月13日、LGBT議員連盟事務局長である公明党の谷合正明議員は、役員会を開いたことをツイッターで報告した。自民党案のLGBT理解増進法、野党案のLGBT差別解消法、そして性同一性障害特例法の見直しについて、今後の議論の進め方を確認したという。また、特例法の見直しには、年齢要件、非婚要件、未成年の子なし要件、手術要件、ICDに沿った名称のあり方といった論点があることを明かした。》 これだけを聞いても

          ノンケはLGBTに本当は関心がない

          『新潮45』2018年10月号特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」に寄稿。当事者の立場から杉田議員を擁護せず認識不足を指摘し、LGBTのおかれている現状を説明。杉田議員との対話を呼びかけた。全文公開!

          私は杉田水脈議員への過度なバッシングに疑問を感じています。言葉の断片だけとらえて糾弾してもLGBTへの理解は深まらないと思うからです。2014年に兵庫県議がゲイ差別発言を行ったとき、本人に事実確認をせずに他の地域の当事者議員が兵庫県庁などで抗議活動を行ったことがあります。マスコミがそれをそのまま伝えたため、その県議のもとには全国から非難の声が殺到しました。その後、地元の当事者団体が面会を申し込んでも、県議は心を閉ざしてしまい、一切会ってもらえなかったといいます。そして次の選挙

          『新潮45』2018年10月号特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」に寄稿。当事者の立場から杉田議員を擁護せず認識不足を指摘し、LGBTのおかれている現状を説明。杉田議員との対話を呼びかけた。全文公開!