一心鮨 光洋@阪神百貨店食祭テラスへ
12月2日まで阪神百貨店へ出展されてる、宮崎の一心鮨 光洋へ行ってきた。結論から言うと大変勉強になったし、得られるもの、考えさせられるものがたくさんあった。
お任せ十貫が始まる前には、その期待感を膨らませる意味でもドラピエのブリュットナチュールが供された。冷たすぎない良い温度帯で果実味が開く。さあ、鮨食べるぞ〜!
まずはサワラの漬けにヴォドピーヴェッツのヴィトフスカ2016年、それもマグナムボトルだ。ギュッと詰まった旨みを外から抱きしめるようなヴィトフスカ。鮨とワインが同じ方向を向いた寄り添うペアリング。
アオリイカにもヴィトフスカ。ねっとりとした粘性が楽しく噛むほどに甘い。やや硬めの醸し系で引き締める感覚。
中盤手前で中トロ。実に優美で快楽にまみれた美味しさ。シチリアはカラブレッタのロッソ リトルA 2014、またもマグナムボトル。火山性土壌のネレッロマスカレーゼがマグロの脂肪によく馴染む。
中トロの次に赤身が来たがこの順番がまた面白かった。より抑制が効いていて鉄っぽさ、噛んでいくうちに旨みが出てきて、やっぱりネレッロマスカレーゼがドンピシャ。ジグザグに刺さって交錯するようなイメージのペアリングか。
たまらなかったのが鯵にあわせたスペインはアンダルシア地方の白。シェリーではないけど極めてシェリーに近い酸化熟成タイプ。酒質に厚みがあり伸びやかで、シェリーほど強くはないので青背魚の繊細さを損なうことなく伴走してくれる。鯖の棒鮨にもがっぷり四つ。自然と笑みがこぼれる日本人には嬉しいペアリング。
白、赤、白ときて今度はまた赤。プリップリな車海老にスペインはこれまたアンダルシアのカベルネ系ブレンド。ツメの甘みに干し葡萄的な赤ワインがよく合う。聞くとアルコール度数17.5だったけど実にまろやかでふくよか。素朴な温かみがあり鮨を優しく包んでくれる。
驚いたのはバフンウニにもこの赤を合わせたこと。あまり想像ができなかったけど、食べあわせてみるとどちらも静かに、穏やかに寄り添う感じ。余韻にほんのりウニが香って満足感が高い。
ラストは穴子で決まりでしょう。ほろほろと繊細な穴子でややワインが強かったけど、やっぱりツメと赤ワインが好相性。下ごしらえなどにいろんな工夫が垣間見えた気がする。
テンポよく提供されて1時間弱で大団円。好奇心をくすぐる味覚のラボラトリーみたいな印象で、あらためて「鮨とワイン」を考えるうえでとても有益な知見を得られた。宮崎の本店もぜひ訪れてみたい。
鮨とワイン、面白いな〜。また仮説をたてて検証していかねば。。楽しみ楽しみ!