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こんな夜更けにバナナかよを観て。

ひさしぶりに「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の映画を見た。もう6年前になるのだろうか。

春馬くんが出演する映画と聞いて映画を観る前に原作本を読んでしまっていた。
筋ジストロフィーであって自立生活が送りたいと一人暮らしをしながらたくさんのボランティアに一秒一秒を支られながら生き抜いた鹿野靖昭さん(大泉洋さん)の生涯の一部を映画化したものだ。


人は迷惑をかけあって生きていく

原作のなかでもボランティアと共に自分の人生に向き合い、たくさんのボランティアに囲まれて濃い人生を送っていらした。
鹿野さんは家族に障がい者がいるとその介護は、家族が負うものと思われていることが嫌で、ボランティアを募って100%の介護をしてもらいながら自立生活していた。
ボランティアは任意のスタッフで、その関係性はお互いさまの人間関係。感謝を持ちつつも鹿野さんの言葉を借りればその関係は対等だそうだ。確かに鹿野さんは一秒たりとも誰かにサポートをしてもらえないとひとりでは何ひとつ出来ない状況だったけれど、どんな状況に置かれてもいつもポジティブで最後まで諦めない。人は迷惑をかけあうもので自分の人生は自分のものという姿勢を貫き、置かれている環境の中で自分の夢をあきらめない。病気からは束縛されてカラダは不自由でもこころの自由は自分のもの。誰にも譲り渡す気持ちはないという、強い生き方を実践していた。
鹿野さんのそんな生き方に振り回されながらもみんなはその強い生き様に惹かれていったのではないのかと思う。

あの冬の寒い日に本屋さんで原作本を見つけて
なんだかとっても嬉しかったことを思い出す。

春馬くんの映像に触れると、映像のなかでひさしぶりに聞いた声に、わたしはやっぱり春馬くんが好きだと思ったし、ツーリストの撮影が終わってまもなくのバナナの撮影は「マコト」だった春馬くんが「田中くん」に変わっているのだから役者ってやっぱりすごいなとあらためて思ってしまうのだ。

田中くん

バナナの春馬くんの役どころは医者の卵で北大の医学生の田中くん。田中くんも鹿野さんのボランティアのひとりだ。
田中くんの彼女のみさきちゃんが高畑充希さんで、
自分とのデートをすっぽかしてボランティアに精を出す田中くんを訝しみ、鹿野さんのところに偵察に行ったことからみさきちゃんまで鹿野さんのボランティアに巻き込まれていってしまう。

田中くんの実家は大きな病院で、医者の跡取りだと期待されて育ったけれど、偉大なお父さんのプレッシャーが大きくて自分には自信が持てないでいるという繊細で微妙な役どころを演じている。

田中くは患者に寄り添う医者になりたくて、
鹿野さんのボランティアになったけれど、優しいけど、わがままで自由な鹿野さんには振り回されぱなしでいる。

春馬くんは田中くんのことを自分に似ているところがあるって言っていたけれど、自分に自信があるところとないところが自分のなかで混在しているところかなと思ってしまった。

田中くんはどこかシャイで一生懸命なんだけれど、不器用で恋人のみさきちゃんとも気持ちがすれ違ってしまい、お互いに頑固で二人共まだ互いが好きなのに関係の修復ができないままどんどん距離が開いてしまった。
それと共に田中くんは自分のなかの自信のなさがどんどん大きくなっていき、鹿野さんの逆境に置かれているなかの強さにも圧倒されて誰にも自分は寄り添えない。誰にも役に立てないと、どんどん自分の殻の中に閉じこもっていってしまい、鹿野さんのボランティアを辞めてしまっただけではなく、小さい頃からの目標だった医者になるという夢さえも捨てようと決心してしまうのだ。
鹿野さんの自宅は北海道にあるご本人の鹿野さんが実際にずっと暮らしていらしたご自宅。
北海道のケア住宅が空いていて、ロケ地として撮影された様子だった。

充希さんと春馬くん

高畑充希さんと春馬くんは撮影前からの友人同士で
春馬くんが充希さんと一緒にお仕事をしたくて、
充希さんが春馬くんのお隣の控室の友人を訪ねた時に、それを知った春馬くんが自分の控室から出てきて、充希さんに「三浦春馬です。ぜひあなたといつか一緒にお仕事したいです」とラブコールを送ったのが初めましてだったと、充希さんが春馬くんがいなくなった後に自分のエッセイで紹介してくれていたから、
この映画がふたりの最初で最後の共演になってしまったけれど、わたしが思う映画「東京公園」の光司と富永のようなふたりで飲んだり食事に行って悩み事を相談する仲だったらしいし、ふたりが愛してやまないミュージカルの話をラインの会話でもゆびが痛くなるほど語り合っていたというから、本当の仲良しだったんだと思う。
この映画のロケ中にもふたりで食べ物の美味しい北海道で回転寿司に行って美味しいお寿司をたらふく食べた写真もSNSで上がっていて、充希さんも仕事なんだか、遊びなんだかわからないくらいに楽しいロケだったと言っていたから充実した楽しい時間を過ごしていたのだろうと思う。

映画のラストシーンでみさきちゃんの夢だった小学校の先生になってクラスの児童からやっと結婚が決まった田中くんとみさきちゃんのふたりのお祝いに色紙をプレゼントされていたけど似顔絵にはウエディングドレスとタキシードスーツを着たそれぞれに実際のふたりの顔写真が貼りつけられていてお似合い過ぎて、これが本当だったらどんなに良かったかと、ついため息をついてしまう。もし春馬くんが今もここにいるなら、そんな未来が2人にはあったかもしれないって思う気持ちを止めることが出来ないでいる。

きっと富永と光司のように友達のような恋人のような
ミュージカルを生きるふたりが同志のような、そんな関係だったんじゃないのかな。

黄色いクルマ

ラストシーンのなかのもうひとつのエピソード。
みなさんは田中くんがお医者さまになり訪問診療のドクターになって往診した時に乗っていた黄色い小さい車を覚えておられますか?
あの車の実際の持ち主さんとSNSのなかでやりとりさせていただいたことが数年前にありました。
映画の監督さんの黄色の小さなクルマのイメージが有り、実際に探されて当時あのクルマに白羽の矢が当たり、当日あの撮影になったそうです。
黄色いクルマの持ち主さんはご夫婦であの撮影を映らないところから遠巻きに見ておられたそうです。

当日は実際にあの車が動いているシーンは春馬くんの運転で、撮影をする春馬くんに話しかけてはいけないと言われていたそうですが、黄色いクルマのオーナーさんだと知った春馬くんは、笑顔で自分から挨拶して少しお話もできたと言っておられました。さわやかでかっこよくてやっぱりオーラがすごかったそうです。
あのクルマのシーンを見るたびにそんな小さなエピソードのなかにもやっぱり春馬くんらしくて、ほっこりしてしまうのでした。
ラストの旅先でのカラオケシーンは、マジに楽しそうでしたね。重い命題のある映画では有りますが、観るたびにほっこりしてしまうのは映画の中から
出演者同士の仲の良さやスタッフとの関係の良さが伝わってくるからなのかもしれませんね。

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ろーず
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