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伊坂幸太郎さんと仙台とアイネクライネナハトムジーク

伊坂幸太郎さんのエッセイ「仙台ぐらし」を読んでいる。
仙台で暮らしている作家の伊坂さんの2005年からの雑誌や仙台にまつわるいろいろなところで書かれていたものを文庫化されたもので、それまで読んだ小説のイメージだった伊坂さんが、魅力的な親しみやすい方だったのだとエッセイを読んでずいぶん印象が変わった。

そして仙台の街がエッセイのあちらこちらに出て来るので、思わず地名をグーグルマップで確認したりして楽しみながら読んでいるところなのだ。

なぜかというと仙台は伊坂さんの唯一の恋愛小説と言われている「アイネクライネナハトムジーク」の舞台になっている街で実際に2018年4月から一か月かけて仙台でオールロケして撮影し映画化されて春馬くんが主演している。

以前、この街に春馬くんのお誕生日花火を観るために訪れたことがある。
お誕生日花火は、ファンが彼のお誕生日にクラファンして上げる打ち上げ花火のことだ。

映画の中にも出てきた佐藤と紗季が出会ったペデストリアンデッキで、私も打ち上げ花火の春花メンバーさんと会ったものだから、いろんな意味でとっても思い出が深い街になった。

実際に自分の足で歩いた仙台は、春馬くんもロケで歩いたのだと気持ちが深くなった。
仙台の街は、ほどよく都会でほどよく田舎でとても暮らしやすそうだった。大学で仙台に来た伊坂さんは卒業してもそのままこの街に居着いて現在も暮らしておられるようなのはわかるような気がする。

この「仙台ぐらし」にないけれど、「アイネクライネナハトムジーク」を書くきっかけになったことについて書かれている。

伊坂さんはミュージシャンの斎藤和義さんのファンで、彼の書く曲に刺激されて本業作家さんになる決心をされたそうだ。

後に斉藤和義さんからアルバムの曲の歌詞を頼まれて、歌詞は書けないけれど小説なら。ということで普段は書かない初めての恋愛小説を歌詞の代わりに書かれたのが、この「アイネクライネナハトムジーク」らしい。

映画の中で紗季が佐藤と出会った時に紗季の手の甲に「シャンプー」と書かれていたのが目に止まり、ふたりは出会ったのだけれど、伊坂さんが小説を書きに行くスタバでスタッフさんが手の甲にシャンプーと書かれていたことが実際にあってアイネクライネのなかで書かれたらしい。

伊坂さんは映画を観ての感想で、

キャストの皆さんの演技がみんな本当に素晴らしくて、佐藤役の三浦さんなんて魅力が爆発していました!


伊坂さんと斎藤さんの対談より


と書いてくださっていたけれど、春馬くんはこのことを知っていたのかしら?

きっと映画の試写でご一緒したりして、
伊坂さんにも会ったのだろうなと思ったりした。

斉藤和義さんはこのアイネの楽曲として
「ベリーベリーストロング アイネクライネナハトムジーク」を書かれているそうだけど、この言葉は佐藤の親友役の矢本悠馬さんのセリフの言葉として、映画の中でも使われていたよね。
織田が妊娠した由美とのことを佐藤に打ち明けるシーンで「これでオレと由美の関係はベリーベリーストロングになった」と。

こうつながっていたのね。と、とても嬉しくなった。

映画の中でも斉藤和義さんのキャラクターであるミュージシャンは、ペデストリアンデッキで街頭ミュージシャンとしていろんなシーンで登場して「小さな夜」を歌ってくれている。

この曲を聴くといつも佐藤と紗季。
多部ちゃんと春馬くんがあの仙台の街のあのマンションでささやかなテーブルを囲みながらふたりで肉じゃがを食べているシーンが蘇ってくる。

アイネクライネナハトムジークの映画は、映画を作った監督の今泉さんや原作者の伊坂さんやミュージシャンの斎藤和義さんの大切な想いが詰まっているんだなと少し知れた。

映画の佐藤は、どこかすこし抜けてて、
平凡で優しくて少しずれてて、春馬くんがイメージしたというペンギンのようにあるときはゆっくりと、
あるときは海水の中で泳いでいるペンギンのように俊敏でほっこりさせてくれる。
それは仙台の街並みと重なってわたしの中でずっと残り続けていくだろう。

それにしても伊坂幸太郎さんは、映画「チルドレン」の原作者でもあって長編小説の書き手である伊坂さんの数少ない貴重な短編小説でも映画化された「チルドレン」に10代だった春馬くんが出ていたのはすごいと思う。

佐藤とは真逆なタイプの鋭敏な聡い男の子の役どころだったよね。白いニットキャップを被って雪の中に立つ男の子はとても印象的だった。

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ろーず
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