映画「東京公園」•奇跡は日常にあふれている
ドリパス企画でtohoシネマズ梅田で「東京公園」を観ることが出来ました。
今まで小さな画面で観てきた映像が大きなスクリーンで観れたこと。
春馬くんの声が、より良い音響で聴けたこと。
嬉しかったです。
大きな画面で見た感想は、若い!です。
だってそうよね21歳。
東京公園ストーリー
一戸建てのちょっと古い平家に一人暮らしの春馬くん演じる光司は、なぜか幽霊になっている染谷将太くん演じるヒロと同居中。
ヒロは亡くなっていて、光司にしか姿が見えず
家からも動けない様子。
なのでずっとDVD鑑賞をしている。
光司とヒロの会話はふつうに成立していて
姿も見えるし、光司は、この環境に慣れて
いるのかふたりは普通に同居している感じ。
そしてなぜ光司にだけ、ヒロの姿が見えているのか、なぜヒロがこの家に留まっているのか、
ふたりにもわからない感じ。
ヒロには恋人だった榮倉奈々ちゃん演じる
富永がいるのだけど
光司と富永は、小学校時代からの幼馴染のよう。
富永は、光司のお家にいる幽霊のヒロに会うために、見えた時の心の準備か、ゾンビ映画ばかり見ていて、姿が見えないヒロに会いに
しょっちゅう光司宅にやって来ている様子。
この妙な3人の関係性も不思議。
そしてそんな関係をさておきながら
光司に会いに来ているのか、ヒロに会いに来ているのか富永は、いろんな食べ物を抱えて電車に乗ってやってくる。
電車に乗っているシーンは、無いのだけれど
会話の中でそんな話も出てきて。
ひとりで食べても美味しくないからとお鍋に入ったままのおでんを抱えてやってきて、
こたつに入ってふたりでまったり食事をしている。
このふたりが家の中で、幽霊のヒロのそばで話しながらいろんなものを食べる。
富永には、ヒロが見えていないから
光司が言葉を伝えたり、見えないのでいる方向を教えてあげたりしている。
ある意味シュールな設定なのに
光司と富永の関係性がふたりのキャラクターなのか、すごく自然に日常生活に見えてしまう。
光司は、ゲイであるマスターが経営する
カフェでアルバイトをしている。
そのバイト姿がとても似合っていて
マスターとの会話も面白い。
そのカフェには、しょっちゅう富永も現れて
小西真奈美さんが演じる光司の義理の姉の美咲もやってくる。
美咲は、光司より9つ年上で綺麗で魅力的な女性。
でも密かに義理の弟である光司が好きみたい。
そして富永は、そんな美咲の気持ちに気がついている。
こんな人間関係を軸にカメラマン志望の大学生でもある光司は、いつも東京のいろんな公園で人物を被写体にして写真を撮っている。
その公園で光司のカメラマンだった幼い時に
亡くなった母そっくりの女性を撮ったことから
別の夫婦の人間関係にも巻き込まれていく
というストーリー。
そしてわたしが思うこと
設定は、不思議なことだらけなんだけど
ものすごくどこか日常的な映画で
大きな事件が起きるわけでもなく
古い平家に住む日常風景やなにかを美味しそうに食べてるシーンが多い。
いろんな公園でのんびりしながらカメラで写真を撮っている春馬くんの姿や
アルバイトをしている姿や
喋っている会話が
自分の将来に対する漠然とした不安を話していたり、すごく自然体な素の春馬くんを感じさせてくれる映画だと思う。
もしかして俳優という仕事を選んでいなかったら
春馬くんの大学生活は、こんな感じだったのではないだろうかと思わせてくれるような。
この映画は、会話の中でストーリーが展開していく。
映画の中の大きな事件と言えば、富永に言われた
「美咲さんは光司のことがきっと好きだよ。」
という言葉で漠然と意識していた美咲と正面から向き合うことを決めた光司が美咲を撮影させて欲しいと部屋を訪ねる。そこで起きた互いの気持ちを見つめ合うキスシーンだろうか。
カメラのファインダー越しのふたりの視線が絡んでキスしてしまうふたりが、どうしようもないほど美しくてセクシー。実はこのシーン、キスすることは台本には無くてふたりに展開を任せたとか。
光司にとっても初恋だったふたりの想いは、
互いの存在が幼い時から特別だったことを確認したのに、なぜか姉弟の関係でいることで決着する。美咲は、富永のほうが光司には似合っているって思ったのかな。
あんなにドキドキするシーンだったのに
姉弟に戻れるのかとつい思ったりして。
気持ちにけじめをつけたのか、美咲は仕事もやめて東京を離れ、両親がリタイヤ生活を送る島に行くことに決めた。
光司の元には、突然に大量の荷物を抱えた富永が押し掛けて来て、この家に住まわせてくれという。
ひとりで生きていくのは淋しいと、自分には光司しかいないと訴えた富永の気持ちを受け入れて
「いいよ、ここにいろよ」と
ふたりで暮らしていくことを決めた光司。
そんなふたりに、ケジメなんだなとつぶやいて
姿が消えたヒロ。
泣けないと言っていたヒロが消えた後には
落ちてきた涙がふたりには届いた。
あたりまえに見える日常生活は実は
全然日常なんかじゃない
ある意味、奇跡の連続なんだと思わせられる。
量販店で、生活用品を選んでいる
光司と富永の姿があって
そこには光司のおかげで
絆を取り戻した公園で出会った夫婦の姿も。
互いの存在を見かけて遠くで会釈をして別れていく。
ラストシーンの富永と光司のふたりの姿が、
量販店の人混みに紛れて遠ざかっていく。
そんなふたりをどこまでも見ていたいなと
ずっと姿を追ってしまう。
ふと春馬くんにも、春馬くんの生活お構いなしに
押し掛けてくる富永のようなひとがいたら
よかったのに。
日常生活を切り取ったようなスクリーンを
いつまでも余韻のように追ってしまう
あたたかい映画をどうも有難うございます。
青山監督に向けて思わず心の中で呟いた。
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