オトナプリキュア8話感想…静かな本気、大好きな街のために
オトナプリキュア第8話「ワタシノマチ」が放送されました。
今回は秋元こまち・キュアミントがメインで、シャドウの正体を突き止めんと捜査を行い、その末に変身するという回でした。
小説家志望で、コンクール入選は果たしたもののまだプロとして芽は出ておらず、実家の和菓子屋を手伝っている彼女。細かな気配りが利く性格で近所づきあいは良好ですが、次に書きたいものが見つからずアイディアノートは白紙で…。
「大人」の時間を感じさせる第8話
今回、話の流れとしてはかなりオーソドックスなものでした。執筆に行き詰っているこまち、シャドウ事件を調べる中で街の「裏ボス」たる雪城(!)さなえさんの話を聞き、この街を守りたいという気持ちを新たに変身します。「この街の人達の話を書きたい」、そう言って晴れやかな表情を見せる未来の作家…これは、日曜朝のプリキュアでもお馴染みの、人生の先輩によって道が開ける物語です。
ですが、ニチアサプリキュアとは明らかに違うな、と感じた場面がありました。雪城邸での、「間」の取り方です。
このシーン、話に入るまでも、その途中もかなり長めに時間を取っています。いつも慌ただしくテンポ早めのニチアサではまず見られない「静」の時間がありました。
これがこまち回であるがゆえなのか、ご年配のさなえさんがいるからなのかはわかりませんが、CMの無いNHKの特徴ではないかと思いました。この場面を象徴として、この第8話は全体的に緩めの進行になっています。後半、ミントへの変身を含めた戦闘シーンがありますがそこもカット毎に分かれているかのような演出になっています。一回一回「溜め」ているかのような、悪く言えばぷつ切りな流れです。
個人的な推測ですが、この速度の展開にしたのはこまちさんに合わせているのではないか、と思いました。彼女は話し方もゆっくりで、TVの時は他メンバーの合間に喋るケースが多かったのでいざメインになった場合、敵の動きなどの流れに置いていかれそうになってしまいます。彼女中心の回であるからこそこれまでと少し違ったテンポになった、と考えれば合点がいきますし、「大人」を感じる空気感も出来てきます。
そして、良いなと思ったのがミント変身後のBGMです。
初期プリキュアではよく聞かれた曲ですが、これです。
この映画でも、ミントとレモネードが共闘する場面で流れていたのが一番印象に残っています。格好良い曲ですよね。おしとやかな性格ながら、いざという時の火力は高い戦士、良いものです。
解かれていく謎、「14歳」という呪縛
戦闘後、のぞみがタイムフラワーのカットに合わせ意識を失うという描写で今回は終わっています。やはり中学生の頃の身体に戻る変身に何らかの代償があるのでは、という不安を感じさせる引きでした。
私はこれで思い出したのがやはり、エヴァです。パイロットは「呪縛」といわれ身体が成長しなくなる、という設定がエヴァにはありましたがこれは何年もコンテンツを愛好し続けそれに囚われているファン達に向けたメタファーではないか、と解釈しています。
もっともこれを以てオトナプリキュアもそうだ、と紐付ける気は全くありません。あくまで連想された、というだけの話です。
しかしプリキュアも、エヴァと同じ主人公たちが14歳であるということ。庵野監督曰く「子供でも、大人でもない」年頃がこの14歳。見方によっては、人格形成が完了する歳でもあるのかな、と感じます。この時の心の持ちようを忘れずに生きていこう…と伝える一方で、体はついて来なくなる、これも現実だと言っているような重みがあるのが、「14歳」をキーワードにしているアニメキャラ達ではないでしょうか。
何はともあれ、「浄化・修復」を描いているのがプリキュアだと思っていますので、ベルの目的やこの先の解決も含め、しこりが残るようなものにはなって欲しくないですね。というか、のぞみ達にはこの変身による副作用も乗り越えていって欲しい、手と手を取り合って。
次回、まさに咲ちゃんと舞ちゃんが手を取り合いそうな感じで楽しみです。
舞ちゃんの表情に感じる力強さ、是非相棒を悩みの渦から引き揚げて欲しいですよね。
過去回の感想記事です。
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