推しの子第20話感想…夢の中の優しさが復讐者の牙を研ぐ
アニメ推しの子、最新第20話を観ました。
第二十話「夢」あらすじ
過去を思い出しながら、痛々しくも迫真の感情演技を見せるアクア。悔しさ、悲しさ、そして救えていたらという叶うはずもない夢……すべてを利用して、アクアは演じきる──!(公式サイトより引用)
2.5次元舞台編の締めくくりと共に、大きく話が動いたところで引きとなった、明らかなターニングポイントの回でしたね。
「東京ブレイド」の疑似体験
この二期でずっとやってきた舞台編がようやく終わりを迎えました。巷では「長い」と言われることもあったようですが、長かったからこそアクアへの感情移入度が上がった人も多いのではないでしょうか、アクアに限らずですが。一般に舞台をやるとなると稽古から公演まで、三ヶ月ほどはその座組に関わることになります。公演は長くても一週間で終わりますが、スタッフや演者にとっては一つの季節を過ごす感覚なんですね。
このアニメでもここまで9話、二ヶ月間一つの舞台の話を観てきています。それこそ演者側、観客側両方の視点で観たものですから、実在しない「東京ブレイド」という漫画の内容がおおよそ理解できてしまうレベルだったと思います。一つの作品とともに季節を過ごす、そんな感覚が我々にもありました。
だからこそ、今回カーテンコールの場面には感動させられました。このアニメはアニメの中で舞台を描くことにひたすら真面目だったな、と改めて感じさせられたんですね。
常に鳴っている拍手が、お辞儀の瞬間により大きくなるところなど、ちゃんとリアルに描かれていましたね。
余談になりますが、私も舞台リコリコのカーテンコールで「花の塔」をBGMに出演者がお辞儀をしていくところが今でもBlu-rayを見返すほどに、好きな場面です。
そうこうしていると、この東京ブレイド含めた2.5次元舞台編が実際に舞台化されるという発表がありました。
作中で舞台をやるお話を舞台で再現する…頭がこんがらがりそうですが、アクアの人生を含め「演じる」ことにフォーカスしたヒューマンドラマなので演劇向きの素材なのは間違いないと思っていました。興味ありますが、果たしてどんな舞台になるのでしょうか。これとは別に実写化もあるようですし、それらが同じタイミングで来るというのはすさまじい波状攻撃ですね。大丈夫なのか?お客が混乱しないか?と思わなくもないですが。
舞台版のアビ子先生役、田上さんは幽白、リコリコで観たお馴染みの方ですが、名前を見るまでわからないほど別人なキャラを演られていたので役者の凄さを感じさせてくれた方でもあります。…ちょっとアビ子先生を、観に行きたい気持ちがあります。
残酷な「本題」へ
常々、「舞台編面白いから、本筋が進んでなくてもいいじゃないか」というスタンスを述べてきましたが今週のラストでこの舞台編での繋がりが一気に本筋を進めそうな展開が待っていました。この「最後に爆弾」が、実に推しの子らしいところですね。
何より、アクアが死に物狂いの演技を見せた背景にある記憶と、あかね演じる鞘姫のオーバーラップがあまりにも残酷でした。鞘姫の容態について
「もう遅い。出血が多すぎる」
この台詞は酷い、と思いましたね。アクアにとって心の傷を抉るものに他ならないからです。
この東京ブレイドの舞台、横道に逸れているようで何より本題を進めていたんだな、と思い知らされる20話でした。これまで母親の最期についてアクアがどういう感情を持っていたかはあまり描かれていませんでした。そこを真っ向から描写し、あくまでも「舞台の上での作り話」を被せることで全てを吐き出させる見せ方。これによりアクアの怨恨はより明確になり、この先の展開は視聴者の共鳴をこれまで以上に強くするのではないでしょうか。
推しの子、原作はもうすぐ完結すると噂されており最新話では驚愕の展開もあったようですが、終わったら最初から一気読みしようかな~などと考えています。また周囲のリアクションを見ても、アクア、ルビー、かな、あかね、MEMちょといったメインキャラ達が本当に愛されているなぁと感じる作品です。それゆえに、背後に黒いものが貼り付いているような雰囲気があるのが気がかりで目が離せない作品なんですね。
「頼む、みんな幸せになってくれ」…これが視聴者、読者の総意ではないでしょうか。
来週は総集編?だそうですが、もうあと一ヶ月で終わりか…な気持ちが強いですね。あっという間の、夏を彩った作品でした。
今週はアイの回想も含め最終回だと謳っても良いくらいのテンションでしたから、そんな感想も出てきてしまいます。
ここまでの感想記事です。