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【SFL2024】出番のなかったキャラと、思い違いをしている人達について
先日、ストリートファイターリーググランドファイナルの観戦記録を書きました。
この観戦前、観戦後の記録の中、あえて触れなかった話があるのですが…
それは、戦った両チームに出番の無い選手がいたことです。
この事について、試合後ネット上で飛び交う意見を目の当たりにしての所感を書きたいと思います。
基本的には、仕方のないこと
今回のSFLを観てきた人にとっては周知の事実ですがGFを戦った2チームにはそれぞれYHC-餅選手、鶏めし選手というダルシムの二大巨頭がいました。ですがダルシムというキャラの特性上、歩く、もしくはジャンプ以外の方法で間合いが潰せるキャラに対しては厳しい戦いになりやすく基本スペックとして火力、防御力に乏しいキャラであるためダメージレースでどうしても不利になります。ゆえに、最上級のスキルを持つ同士の場では勝ち星の計算に入れづらいという宿命を背負っているんですね。
それでも、リーグ戦のさなかで「魅せた」場面はありました。
特に、下の試合など見るにエド戦にはいけるんじゃないかという気がしてしまうのですが、レシャーエドに立ち向かうのは厳しいとの判断だったのでしょうね。
グランドファイナルの合計10マッチにおいて出番の無かった両ダルシム、その実力は誰もが認めているところですが愚直に勝利を求めた結果、控え席を温めることになったわけです。
これについて、
「せっかく練習してきた選手が可哀想だから、必ず出られるルールに変更して欲しい」
という意見、それに対して、
「そうすると、チーム編成の時点でダルシム使いが選ばれなくなるだけ」
という反応があり、難しいねという結論に落ち着いています。
ダルシムというキャラの特異性ゆえに起こるこういう結果と議論、どちらの意見ももっともであり、私も現地観戦した身として
「一試合くらい、ダルシムミラーとか起こらないかな」
などと期待する気持ちがあったりしました。
ですが、「映え」を意識、また「沸かせる」ためにダルシムが出て、それで試合を落とそうものなら、真剣勝負としての温度は下がることになります。世知辛い話ですが、ここは「勝てば官軍、負ければ賊軍」な場面です。
一試合ごとに大きな声援、拍手が起こるのはチーム、選手が真摯であればこそなので、「一試合くらい…」な思考は不純物になってしまうんですね。
結論を言うと、
「ダルシムを擁するチームが決勝に勝ち残った時点で、実質残り三人での勝負になる」
ことは想像できた事態なので、その通りの内容になっただけのことです。
これについて異論の入る余地がないことは、このゲームの競技シーンを観てきた人間なら理解ができると思います。
またグランドファイナルまで来た選手達が、あらゆる可能性を想定して準備しているのは当然であってダルシムが機能する可能性はほぼ無かった、プロスポーツの紛れのなさを体現した結果だったといえます。
ライト層の「勘違い」に物申したい
なにがあっても勝ちたい、真剣勝負の場であり半年の戦いの集大成であるからこそ、残念ながら出る幕のないプレイヤーが存在した。
その選手のプレイを観たい人には残念だったかもしれませんが、プロシーンの厳しさが解る結果でもあったと思います。当日の熱狂はその厳しさが生んだものでもありました。
ゆえに現地で見届けた人間として、SNS上で見られたある意見に憤りを感じたことも記しておきたいと思います。
これは、当日にXで見られた投稿ですが…
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「戦略よりも優先すべきことがあるんじゃないか」
それは一体、なんでしょう。
具体的に言わず、真剣勝負を戦ったチームが観客に対して不実であったかのようなこの表現に、思わず「ハァ?」と言いたくなりました。
スト6は現在、大人気タイトルでありプレイヤー層も幅広くなっています。コア層ライト層が入り乱れての盛り上がりですから、eスポーツ、競技シーンへの捉え方も十人十色であることを否定はしません。
ですがこの投稿は、頂上を争うプロシーンの否定です。勝ち負け度外視で、温情で出番が与えられるような大会だったら、そもそもここまでの盛り上がり、興行としての成長はなかったでしょう。
もしダルシム使いが、大舞台で活躍したいのであれば活躍できるものを持ってくれば良いのです。それが無いか、足りなかったのが今大会なのでしょう。戦術に組み込まざるを得ない存在になれなかっただけのことです。
「ダルシムも見たかったな、仕方ないけど」
ここまでなら意見として真っ当ですが、
「大切なのは勝ち負けじゃない」
まで行くとこれはもう、競技の根本を履き違えた妄言です。
栄冠を勝ち取る事に人生を捧げているプロ選手、アスリートの価値がわからない人間に、その姿勢や大会のルールを語って欲しくはないですね。
遊びでやっているのと、同じ目線で見てはいけない世界があります。
…という、頂上決戦を直に見届けた人間の、プロゲーミングへの思いでした。
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案外しっかりしていて、外すのにハサミを要しました