推しの子第16話感想…遂に舞台に上がる美しき強者たち
推しの子最新話「開幕」の感想を書きます。
第十六話「開幕」あらすじ
自分には才能はないと言いながら役者を続けるのはなぜか──初めて本心を明かしたアクアに、あかねが返した言葉とは? そして、あかねが求める『カレシの責務』とは──? (公式サイトより引用)
なんというか、王道のラブコメ路線にいきつつこの俳優陣のバチバチ具合がいい感じに熱を放っていた第16話でしたね。
やはり只者ではない、黒川あかね
序盤のヤマとして、アクアが初めて自分の目的を他人に語りました。「だったらどうする」というボカし方をしていましたが、結構衝撃的です。
しかしアクア以上に、あかねちゃんが驚きの返しをします。
これが本気なのか、女優としてアクアに合わせてみせただけなのか。両方の解釈ができますが、やはり前者ではないかと思わせます。何せかつて紛れもない生命の危機を救われているので、根が真面目なあかねちゃんはアクアに自分の命を差し出す覚悟で愛している…というのは説得力があるんですよね。ですがアクアは復讐に第三者を巻き込むことなど絶対に避けようとするでしょう。ルビーさえ遠ざけるはずですから、ここにあかねとの気持ちのズレが生じます。この二人の関係、どうなっていくんでしょうね。
あまりにも美味しい、有馬かな
いよいよ本番が迫ってきた稽古シーンでは、かなちゃんvsあかねちゃんという「アクア愛」をめぐる女優二人の激突がありました。恋でも仕事でもライバルな二人です。
こうして見ると、有馬かなというキャラはベテランゆえに強キャラ感も出しつつ、芸能界の浮き沈みも経験しているのでイジられキャラにもなるという稀有な存在ですね。でも、実力がありながら…という人は実際の芸能界にもたくさんいるでしょうし、実はかなちゃんはオーソドックスな芸能人、とも言えるかもしれません。いずれにしても、全方位に面白味を持つ素晴らしいキャラだと思います。
そりゃあこれだけ美男美女が集まっていれば…
この2.5次元舞台編では留守番になっている感のルビー&MEMちょにも今回出番がありましたが、ルビーは兄好きが過ぎて闇堕ちの兆候が見えました。実は原作組からこの辺は少し小耳に挟んでいたのですが、面白くなりそうな要素です。
個人的な話ですが私も妹を持つ兄ですので、妹にここまで想われるアクア、羨ましいなぁ…とか思ってしまいました(笑)。いえ、こちらも別に兄妹仲は悪くはありませんが。
この作品の登場人物、みなキレイな顔をしているのでそれはもう、恋心が乱れ飛んでもおかしくないでしょう…と思うわけですが、こんなキャラたちの中にあって「一番星」の存在感を持つアイのキャラデザインは、凄いですね。もう5回目ですが、オープニングのラストで観劇しているアイを見るとまだ、ゾクッとしてしまいます。
役者の本懐、演技の本質とは
前回のタイトルでもあった感情演技に、監督の指導を受けて臨むアクア。過去の記憶を遡ると心身に影響が出てしまうのをいかに克服するか…というテーマになっていたようですが、アクアはそれすらも利用して舞台上で魅せてやろう…と肚を決め舞台に上がる…今回の引きはこうでした。
私も芝居をかじっていた人間なのでわかりますが、演技の本質とは「役を生きる」ことであり、「台詞を完璧に覚えて、本番では忘れることが必要」と聞いたことがあります。アクアは自身の心の傷すらも使って役者に振り切ろうとしています。二期に入ってからここまで、目立たなかったアクアがようやく主人公オーラを放ち始めましたね。
この、役を生きるために、自分を痛めつけることも厭わないという姿勢に役者魂を感じますし、思い出したのは三國連太郎さんのこのエピソードです。
老け役のために歯を抜いた、というんですね。…10本も。
この領域にくると、もはや上手い下手では図れないように思えてくる演技の世界の凄まじさに震えてしまいますね。
この推しの子は、芸能界の重い部分を包み隠さず描いていますが決して大袈裟ではなく、リアルにあった、ありえる話ばかりなんですね。というかむしろ現実のほうがシビアで、少しソフトに描いている作品だとも思います。
「大勢の人を楽しませる」ことがどれだけ大変で、関わる人達が身と心を削っているか…それを伝えてくれる作品です。
毎回、引きが秀逸な作品ですが「開幕」というタイトルとリンクしていた今回もまた、見事なものでした。
いよいよ舞台が始まる次回以降、楽しみですね!
MEMちょ、ちゃんと教えてあげなよ…(笑)
ここまでの感想記事です。