オトナプリキュア9話感想…カタい殻を破って、つぼみが開いたその先に
昨日、オトナプリキュア9話「フタリノキズナ」が放送されましたね。
いよいよ終盤に入り、今回のメインはS☆S組、咲と舞です。
婚約し、実家のパン屋も繁盛していて人生順調そのものに見える咲。しかし自分の力量が店の評判にそぐわっていないという思いからフランスへ渡ってのパン修行を望みます。ですがそれは周囲の人達の期待には沿わないワガママだと、本人が自覚しているのでした。そんな中、シャドウの襲来、その時にパン屋繁盛のキッカケにもなった動画チャンネルの二人が、遂に咲、舞の前に姿を現す。それは、どんな困難も二人で乗り越えて来た咲、舞にかつての光が再び差す兆候だった…。
隠れた名作、と言われがちだけど隠れてはいない
「ふたりはプリキュア Splash Star」、2年ものの作品に挟まれて(初代&Max Heart、5&5GoGo)いるためか影の薄い作品になっていて、フォーマットが悪く言えば「初代の焼き直し」に見える部分もあるため正当な評価を受けていない不遇の作品、と言われることが往々にしてあります。
ですがプリキュアファンである方達からすれば決して「焼き直し」ではない、と語気を強められる事が多いように、浅い視聴者である私から観てもとても良い作品でした。
敵の手先として咲、舞の学校に入り込んだ満と薫が、二人の心の光に触れ生まれ変わっていくストーリー。単純に和解するのではなく、一年をかけて大変な紆余曲折があります。正直中盤で退場があった時は「ここで満、薫の物語は終わりか」と感じるポイントもあった程です。ですが、そこで終わらずに、咲、舞の強い絆が元・敵の二人とも繋がって大団円を迎えるのです。ある意味満薫こそが、Splash Starの「裏」主人公と言っても差し支えないでしょう。是非実際に観ていただきたい所ですが、最終回の満、薫の「顔」に滅茶苦茶感動したものです。そこには作品の輝きに直結する尊さがあったのです。
私はプリキュアを全て観ている訳ではありませんが(残り5作品?ほど)、S☆Sは指折りの傑作に数えて良い、と太鼓判を押します。
この9話が、「作品の本題」だった可能性
ですが実際世間的には埋もれがちなS☆Sなので、この度オトナプリキュアへの登場で再評価の機運を盛り上げん、という制作側の意図があるのかな、と感じました。あくまでメインが5勢というのがあり、メインビジュアルに咲、舞はいましたが諸々の事情で変身までするか否かは不透明だったのですが、S☆Sも決してサイドキャラに収まってはいませんよ、とアピールしているかのようでしたね。
Splash Star好きな皆さんへ、令和のブルーム、イーグレットをお見せしよう!
実は5勢を看板にしながら、隠れ主人公でした、と言う程のインパクトを見せてくれたのが今回の4人だった気がします。
ここまで9話をかけて、主要人物全員が認知しファンにもなっていたダークナイトライト。ここでかつての縁も含めまた、新たな仲間として加わるわけです。咲のお父さんが小町に修行に行く、というくだりも自然なクロスで、「良質な劇場版」のような進展が今回も繰り広げられた、な印象ですね。
難しい中での、力強い選択肢
今回、晴れて変身となったS☆Sの二人ですが、やはり物議を醸しているのが妖精の件ですね。ご周知の通りチョッピの声を新しく収録することが叶いません。妖精の力で変身していたのがS☆Sですから、今回咲舞は変身しないのではないか、とも言われていました。
妖精は変身アイテムの中に姿が写るのみで、特に劇中で言及もされていませんでした。これについて「一言欲しかった」「ただのアイテム化は寂しい」といった声が挙がっているようです。
これについての個人的な見解ですが、「正解の無い」問題だから、様々な意見が出る事はやむを得ない、と思います。
そもそもこの番組自体が、是か否かという論から始まっているようなものですし、ここまで各回の展開、描写についてもバリエーションはいくらでも考えられました。その中の選択肢がどう受け止められるかは、毎回が賭けのような作品だと感じています。
①チョッピに代役を立てて、咲舞は変身する
②妖精不在で、咲舞は変身する
③変身しない
まず今回も選択肢が様々にあり、すぐ考え付くのがこの三つですがおそらく、最も喜ばれる形を…と考えた上での決定だったのではと思います。現状だとTVでの設定を覆した格好になっていますが、これは残り3話、タイムフラワーの謎と共に説明がされるのではないでしょうか。
制作側の立場で考えれば5勢の現在の境遇や変身も、どれをとっても選択の連続であり、どのルートを選ぼうと必ず賛否両論が出る訳です。この中で作品が伝えようとするものを意識しながら、S☆S、5双方のファンに納得されるものを…という取り組みがこの番組だと思います。これはかつてない「プリキュアの続編」であるがゆえのハードルの高さで、悲喜こもごもの感想は出ていながらも概ね好評であることに、スタッフの手腕を実感させられています。
正解はないのですが、だからこそ「これで行こう!」という力強さは感じ取れる。それが今回の舞ちゃんの姿にも通ずる気がしています。
それこそが「キボウノチカラ」なのかもしれません。
私も別作品では「これは無い!」と言っていたりするので説得力に乏しいですが、「これは違う」と思われても、それを覚悟で時間を先に薦めているこのオトナプリキュアを、最後まで見届けようじゃありませんか。
…と、否定的な見方をしている方達に伝えたく、あります。
いよいよ佳境、の匂いが漂う第10話。
6話辺りの頃は「1クールで足りるのか?」と思っていましたが満、薫との合流で一気にまとまりそうな雰囲気も出てきましたね。東映アニメーション、流石の構成力です。
とりあえず、のぞみちゃんの身体は心配ですね…。
過去回の感想記事です。
あと3回で終わりかと思うと、少し寂しいですね。
そう思える程、今作を満喫しています。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?