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わんだふるぷりきゅあ!44話感想…いっしょにすごした幸せ
昨日、ニチアサ鑑賞後に「これは感想を書かないわけにはいかない」と強く思ったのは、わんぷり44話でした。
すでにネット上では大きめの反響を呼んでいるので、やはり刺さった方の多いエピソードだと思います。
第44話「たくさんの幸せ」
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いろはは、お鶴の飼い犬でもうすぐ18歳になるおばあちゃん犬のフクの誕生日パーティーを開こうと思い立ちます。お亀やお鹿を含めみんなでお鶴の家に集まり、パーティーの準備を進めます。
しかしパーティーの当日、フクは元気がなく、起き上がれなくなってしまいました。そこに、トラメとガオガオーンがあらわれます。強力なティラノサウルスのガオガオーンに苦戦するプリキュアたちでしたが、フクを病院に連れていこうとするお鶴を目にすると、トラメはガオガオーンに止まるように命令し、プリキュアたちはその間にガオガオーンを元の姿に戻すことができました。
お鶴の家に戻ってきたフクは、こむぎたちが見守る中、最後に立ち上がり、お鶴のひざ上で眠りました。お鶴はみんなに感謝を伝えますが、いろははずっとうつむいたままでした。(公式サイトより引用)
ペット、愛犬というよりは「大切な家族との別れ」を描いた、悲しみの中に美しさのある物語でしたね。わんぷりにおいては今までで最も、感情がグルグル回った回なのは間違いないと思います。
安らかな旅立ちの尊さ
一番よく見かけた感想は、「ついにペットの寿命問題に踏み込んできたか」というものです。確かにこの作品、こむぎ&ユキの年齢はどうなるんだ、という疑問は犬、猫である以上常に気になる要素でした。そもそもファンタジーなアニメなのでその辺は触れないでいても良い作品ではありますが、あえてここでその現実を描いてきた、というのは「有耶無耶にはしない」という宣言とも取れて、まず驚きだったのはあります。
さらには、老衰による命の終わりは避けられない、とファンタジー要素に線引きをしたのは割と画期的です。
私自身、観ていたその時は、「そこはシビアに描くんだな」と思ったものですが、よくよく考えるとそれがズレていたことに気付いたんですね。
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しかしだからといって状況が解っていない訳でもない、という深さがあります
では、達観しているのか?といえばそれも違っていて…
つまり、病気や怪我ではなく、天寿を全うする形で眠りにつくことは生命の自然な到達点であり、そこまで生きたことはとても素晴らしい、と伝えているのがこの44話ではないでしょうか。
関わった人達にとっては、いえ関わった全ての生き物にとっては悲しいお別れです。しかし全ての生命に必ず訪れる終わり、それを安らかに迎えられることは幸運であり、存在する場所が現世から残った人達の心の中に変わるだけ…そう捉えられる、美しいお話でしたね。
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台詞はないですが、飼い犬との別れを想像してしまい心に刺さったのでしょうね
今回のガオガオーンは、なんと予想外のティラノサウルスでした。アニマルタウン、怖いんですけど(笑)。これまでで最強の敵に苦戦するプリキュアですが…この解決法がまた、物語と実に上手くリンクしていました。
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フクちゃんを通じて想いが繋がりましたね
中盤で降る雨、手強い敵、そこに差し込む光明が敵のちょっとした心変わり。しかし、これこそこの作品のキャッチコピーである「みんななかよし」を体現している気もしますし、その価値を最大限に大きくしているこの展開には膝を打ちました。お年寄りや子供の命は、陣営を越えて護ろうとする。現実の戦場でも見られる人の美しさがここにはありました。
別れの苦しみとの、向き合い方
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静かに見守る…そんな雰囲気が全編にあったと思います
特に猫ペアは静かでしたが、それが良かった
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確かに、14歳が受け止めるには重すぎるリアルです
しかしそうは言っても、やはり残される人達は辛い…それがお別れです。それを不思議な力で回避したりせず真っ直ぐに描いたこの回が伝えようとしたことは、なんでしょうか。
…考えたのですが、これはもう、明確な答えはない、が答えだと思います。避けられない悲しみを、消したりごまかしたりは出来ない。それぞれに受け止めて、それでも生きていくしかないのかもしれません。この答えのない苦しさをちゃんと伝えること。わんぷりスタッフが44話に込めた思いは、実はタイトルである「たくさんの幸せ」にこそある気がしています。
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最後に伝えたいのは「ありがとう」。
きっと、お別れは悲しみだけじゃない、というメッセージがこの主人公・こむぎの
優しい表情に滲んでいる気がしたんですね
この回を観た後で、思い出したものが一つあります。
15年ほど前のドラマで、大泉洋さん主演の「赤鼻のセンセイ」という作品がありました。病気で学校に行けない子供達のために、病院内で授業をする「院内学級」を描いたものです。
中には難病の子もいて、治療のかいなく亡くなってしまう子もいました。学級が悲しみに暮れ、主人公の先生も子供達にかける言葉を失ってしまいます。「こんな時、どうしたらいいんですか」と先輩の教師に尋ねた時の回答が、とても印象に残っています。細かく覚えているわけではないのでおおまかに、ですが…
「この仕事をしているとこういう事に何度も出会う。いつまでも悲しんではいられないし、だからといって慣れてしまってもいけない。
いつまでもいつまでも、苦しむしかないんじゃないですか」
15年経っても覚えているので、間違いなく刺さった言葉だったんだと思います。
そうです、先立たれる悲しさはどうしようもない。もう、苦しむしかないんです。…しかし、そう考えると少し、楽になるかもしれません。
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「また会おうね」だったかもしれません
本来、家族だった飼い犬との別れという、とても胸を締め付けられる話なのに、最後は虹の橋が架かって終わります。
きっと、命を全うできたことは幸せなことだよ、というお話だったんですね。それをあえて説明せず、観る側に委ねていた情感的にも素晴らしい一編でした。
「わんぷり」のラストスパート
2月に、この番組が始まってすぐの時に感じていた「主人公が犬であるがゆえ」の感動的なエピソードがここに来たか、という感じですね。
いよいよ残り少なくなってきて、佳境に入ろうとしていますが「名作」の兆しが見えて来た…今週、そんな感覚になった方も多いのではないでしょうか。
人間と動物の共存、そう、「共に生きる」ことの価値。
基本的に敵を倒さないなど、異色作の趣きも強かったですが実は通じて、社会的なメッセージがあるのがこのプリキュアシリーズだと思っています。
たとえば前作ひろがるスカイ!プリキュアについては、あくまで私の個人的解釈ですがこちらの記事に綴っております。
今年のわんぷりも、完結後に感じたことは記そうと思っていますがそれがより、感動と共に浴びせられることを期待してしまう、そんな今回の、生命の物語でしたね。
……ここまで書けば、もう言うまでもないでしょうが…
泣きました、今回。