推しの子二期1話感想…生命を演じる舞台の続き
7月の新番組、やはり一期を観ていたので外せない…と、「推しの子」12話を観ました。
とりあえずこの夏はこれを観ていく予定です。
第十二話【東京ブレイド】あらすじ
『東京ブレイド』の舞台稽古が始まった。演技すらもアイの死の真相を追う手段として利用するアクア。だが劇団ララライの看板役者・姫川の存在が出演陣を強く刺激して──!?(公式サイトより引用)
原作は未読なので、初めてのストーリーとして関心強く追えています。
思えば昨年、一期の視聴を終えた時から二期を楽しみにしていたものです。
「アニソン」してきたところに感じる心意気
まず気になっていたのはオープニングです。何せ一期OPが超絶大ヒットしたものですから、二期の主題歌アーティストには甚大なプレッシャーがかかるだろうな~と、少し心配もしていたのですが。
変にYOASOBIを意識するような曲ではなく、前回とは違う新主題歌ですよ、他のアニメと同じように二期主題歌を持ってきましたよ、という曲が出てきて安心しましたね。
また映像を観るに、今作は1クールかけてこの舞台の話をガッツリやるのかな、という気がしています。「演じる」ということにフォーカスした作品ですので、そこの掘り下げに期待出来そうです。
何より、アイを追いかけるアクアとルビーがビルから足を踏み外し落ちる…が、「飛び降りて」いるようにも見える。落ちる最中で「役」へと変わる…この描写に作品の肝があるように見えて、格好良いオープニングになっていますね。
そしてエンディングがこちら。
もう一期とルビーの存在感がまるで違うことを示していますよね。一期の段階では主人公アクアにとっての「障害」な一面もあったルビーですが、彼女もまた転生者であり位置付けとしては兄と同じ、主人公になってもおかしくない訳です。チラッと先バレを小耳に挟むと、ルビーのこの先にはただならぬ展開があるようなので、そこも含めて楽しみです…アニメがどう見せてくるのか。
彼女は前世があまりにも不憫で短い生涯を終えていますから、報われて欲しいキャラなんですよね。
熱量が増し、闇が深くなる作品
今回は2.5次元の舞台の稽古、から始まりますがもうすでに良い意味でドス黒い展開になっています。芸能の仕事なので自分が活躍したい、注目されたい、という気持ちをどの登場人物も持っているがゆえに、羨望や嫉妬が蠢くベトベト(表現が悪い)な二期一話でした。目的が別にあるのでそこに興味のないアクアが傍観者として、少しホッとできる位置にいる感じですね。
まさに先日、その2.5次元舞台を観て来た身としてはその凄さがよく解っています。観劇中は、ステージを観ている感覚が消えているんですね。作品の世界にそのまま自分がいるような気がしてくる。
今回の12話でも語られていましたが、舞台に立つ人間は皆芝居が好きでたまらない人間であり、その熱量が世界を作っています。そして、できる役者は周囲にそれを伝播させることが出来ます。それが視聴者にも伝わってきたのが今回のストーリーです。アバンで長く舞台の冒頭を見せたり、実際の雰囲気を見せることに拘っていますね。
一方で、「皆で良いものを作っている」だけで終わらないのがこの作品で、タイミング的に偶然だと思いますが、今まさに現実でも事件になった「原作改変問題」に切り込んできましたね。推しの子自体実写化が進行中なので、あまりにも、あまりにもな要素だなと思って観ていました(笑)。
フィクションに必要なものは正解ではなく、狂気
あかねが自分の役に対し原作との違和感を感じ、脚本家が舞台化に際してのやむを得ない変更だったと説明する場面がありました。そこで終われば、あかねがプロ意識で自分の役割を全うしよう、ともなったのでしょうがここで陣中見舞いにきた原作者から「全てダメ」という痛烈なダメ出しが入ったところで今回は終了しました。インパクトがありましたし、相変わらず引きが上手い作品だな、と溜め息が出たものです。
一期でネットの誹謗中傷を扱ったり、この作品は現代の社会問題を直球で描いてきます。思えば一話から、ファンの暴走による殺害で始まっているのでこの「推しの子」は芸事の世界の狂気がずっとはらんでいる作品なんですね。一期の中傷は協力で切り抜けるなど、綺麗な解決を描きつつも物語全体にはずっと黒いオーラがつきまとっている印象です。
「現実はこうはいかない」、映画、漫画、ドラマに対して昔からずっと言われることですが、それはそれとして、フィクションを描く人間がそれと向き合う姿勢を失くしてはいけない…と訴えられている気がします。
今回の舞台の話がどうなるのか、私は全く知らないままでこの先を楽しんでいこうと思います。
ピリッとした物語に、いくらかの刺激ももらいながら。