オトナプリキュア最終回感想…世界はいまきらめくよ わたしがそう決めたから
8月にこういう記事を書きました。
私は内容云々よりどうしても「これの意図は何か」という視点で、作り手の考えを探ろうとしてしまう癖があるのですがこのオトナプリキュアに関しては、単純にファン層を広げようとしているのだな、とその為に日曜朝のプリキュアには出来ないことをやりそうだな…という、割とオーソドックスな予想をしていました。
何より、さほど入れ込む訳でもなく「ながら見」的に観ているプリキュアに「何が出てくる?」と強めの関心を抱けたのが自分でも驚きでしたね。
そんな開始前の期待を思い返し、この記事を綴ります。
「今できることを、精一杯やろう」
昨日、最終回「キボウノチカラ」が放送され、完結を迎えました。
分類すれば「和解エンド」で、滅びの未来を変えていこうという着地点が描かれました。プリキュア勢はそれぞれの暮らしの中で前に進み、晴れやかな表情を見せるエピローグです、抱えていた悩みが完全に解決した訳ではない…それでもこの先の日々に光を見ている…そんなエンディングでした。
世の中を変える為に、秩序を壊す行動に出る…これはリアルにも見られる事象であり、根底には将来に対しての絶望があるのだと思います。今作でベルが起こしたシャドウ事件も、街を見守り続けてきた真心が、心無い人々によって傷つけられたゆえの防衛行動だったといえます。
その暗澹たる思いに対し、この作品が出したアンサーは「一人一人ができることをやっていこう」というものでした。すぐに成果が出るとは限らない、でもその思いが集まれば未来は変わっていく。「変わった」所までは描かれていませんが、そこに変わった未来は絵空事ではなく実現するものだ、というメッセージ性も感じます。先の回の感想記事にも何度か書きましたがオトナならではの苦味の中で、「いつものプリキュア」らしさを保たせた結末だったな、という感想です。
今回の「夢」は
毎週、観た後に他の人の感想を漁っていましたが12回、毎回反響の大きい要素がハッキリしていました。分かりやすいところで言えば2話のドリーム初変身、11話のブラック&ホワイト登場ですね。
で、今回はもちろん、のぞみとココのゴールイン、がそれでした。
これは他の方のコメントでしたが、のぞみに命の危機が訪れた事がココの気持ちを後押しした、という解釈がとても腑に落ちました。異世界・異種族という一緒になるには極めて高いハードルがありお互いの暮らしを尊重して大人になっても付かず離れずだった二人が歩み寄るには
「プリキュアとして戦う」という、「命懸け」のイベント
が必須だったのでしょう。のぞみだけが衰弱していってるのは何故?という疑問もありますが、タイムフラワーが「不幸な未来を変えるために咲いた花」であるというナッツの推測を基に考えれば、それも合点がいきます。病院で調べても原因がわからない、のぞみの危機がココに踏み出す勇気を与えた。結ばれるために越えなければいけない壁が、プリキュア再び、という出来事によって越えられたと捉えることが出来ます。
足りなかった時間
そんな訳で、夢原のぞみとココの物語としては美しく描き切った、といえるこの作品ですがやはり全12話のプリキュアというのは初めてで、メインキャラの多さも仇になり消化不良感が残る部分も多かったと思います。
先述したように各キャラのその後の仕事ぶりは描かれ良い方向に向かってはいますが、ある意味「オトナプリキュア」の本題でもあるのでそこはエピローグで流すのではなくキッチリエピソードとして描くべきだと思いますし、先週色々言われたように初代の二人、またルミナスはオマケのようで、本当の「初代推し」な人達にとっては物足りない作品だったのは確かでしょう。
特に私が個人的に「これはない」と思った粗が…
この場面ですね。留学に行く咲ちゃんを、何故舞ちゃんしか見送りに来ていないのでしょう。家族は?婚約者は?とツッコまざるを得ません。タイムフラワーが実は「のぞみを幸せにする為に咲いた花」だと逆転の解釈をするならば、これは咲ちゃんの留学を歓迎していた家族や婚約者の本音は違った、という恐怖の解釈すら成り立ってしまう恐ろしい場面です。せめてモブ的に舞ちゃんの後ろに姿が見えれば良かったのですが、これでは完全に
「この世界に味方は舞一人」
の絵面ではないでしょうか。やり取りも完全に恋人のそれですし、もうこの二人でくっつく以外の未来が見えませんね。確認していませんが、咲ちゃんの指輪が無くなっていたりしませんよ…ね?怖くて確認できません(汗)。
まぁこの二人、中の人も夫婦みたいなものですし、これでいいのか。
無理矢理こじつけて受け取るなら、シン・ウルトラマンの最後の変身のように全員に見送られてはいるけど最後は「相棒(バディ)」だけが側にいた、と見ればいいのでしょうか、ね。
プリキュアは映画が70分と短めなので、このオトナプリキュアを一本の映画として見れば尺たっぷりなのですがTVは1年、初代と5に至っては2年やっていますからどうしても描写不足の駆け足感がありましたね。次があるか否かはわかりませんが、この1クールでやれる事としては詰め込み過ぎだったのは否めません。満薫含めるとメインキャラは4人いるS☆Sについては、単独の番組にしても良かったのでは…と思う程、各々のドラマには可能性があったと思っています。
改めて、愛されていることを感じた三ヶ月間
番組としての弱点はありましたが、それでも毎回意外なものがあったり、見たかったものに応えてくれたり、またある程度予測し辛い展開でもあったりで楽しい三ヶ月間でした。
不満の声も相応に聞きましたが、それも元をたどればそれだけ原典の作品が愛されているがゆえだと言えますし、このオトナプリキュアへの期待値が高かったのだなぁと、今なら回顧できます。
皆、プリキュアが大好きなんですね。
重ねて、毎週楽しみだったこの三ヶ月という時間をくれたこの番組に感謝したいと思います、面白かったです。
次は魔法つかいプリキュアの続編が予定されているみたいですが、今作のシリーズ路線でいくのか、全く違う切り口で来るのか、それもまた楽しみな所ですね。「まほプリ」は履修済みですが、またモフルンに会えるのならそれだけでも幸せになれそうだな、って感じてしまってます(笑)。
放送前に書いた上の記事の反響が大きかったので、このオトナプリキュアはしっかり観て毎週記録していこうと考えていました。
なので毎週欠かさず記事にしていたんですね。それも今回で終わりかぁ…と少し寂しさも覚えますが、次はまほプリ2で頑張ります(笑)。
では、この三ヶ月の軌跡です。
いつも多くの方に読んでいただけて、励みになっていました。
拙文にお付き合いいただき、ありがとうございました!
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