あなたが主人公の物語(vol.4)
*いつも通りの日常*
「あなたって本当に面倒くさがりなのね。どうしてこんな仕事してるのよ?」
少なくともアンタと毎日顔を付き合わせたくて、この仕事を選んだわけじゃない
わたしだって仕方ないの、だからもう少し穏やかにやりましょうよ、仕事の時くらいしか会わないんだから
「ずいぶんと久しぶりじゃないか。今日はどうする?」
コーヒー、うんと濃くしたの、ちょうだいね
職場と、家と、それからカフェ
その3つが、私の居場所のすべて
そう考えると、けっこう大事にしなきゃいけないこの時間
久しぶりに来ると、肩の力が抜けるのをちゃんと感じる
コーヒーの濃さが、頭の中のアンタを洗い流していくようで、気持ちいい
「おかえりー。ゆっくりできた?ご飯もうすぐできるから、座って待っててね。」
おかげさまで、どうもありがとう
ときには頭に来るけれど、
あなたがくれるこの日々に、
私とあなたは生きている
そうして私は、夜とあなたに包まれていって
心地よい温もりが、私の身体を巡ったら、
こんな夜には似合わない、
アンタがときどき顔を出す
どうか果てしなく遠い、
私達の見えないところまで、
アンタの気が済むまで帰ってこないでね
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