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デスリク2 感想

はじめに

1に引き続き、デスリク2の感想です。

グロ描写について

デスエンドの数は1よりも大分目減りしましたが、その分煮詰まった、エグいものが多かったように感じられました。1では「まあゲームだからな」が薄っすらとあったものの、今回は現実が舞台(少なくとも初見の体感だと)なので、頃され方も生々しさが前面に来ていたように思えます。溺死とか、惨殺とか。
寮生やしいな等、主人公のまい達御一行以外にも死亡シーンがたっぷりと用意されているのもポイント。彼らは死んでもゲームオーバーにはならず、まい達が死を悲しむシーンが用意されているのも、その余韻にプレイヤーを浸らせてくれる工夫の一つかなと思いました。
エリザベスとマーシーの死亡シーンは、CGも含め今作有数の冥場面かと思われます。体格も数も圧倒されている絶望的な状況で、言い合いがお互いへの愛情の言葉に変わるシーンが儚く切なく美しい……
んで、しいなの死亡シーン。何ですかあれは。
R18でないゲームの描写としては最悪まであるんじゃないですかね。例によって切られた部分とか血が流れる様などの決定的な部分はCGに写っていませんが、テキストとボイスがそれを打ち消すレベル。筆者はもちろん人が切り刻まれる様子など実際に見たことはありませんが、ああこんな感じなのかなと想像させる、リアルとはまた別の”リアリティ”を味わえました。
あと血液風呂ってR18じゃなくてもやっていいんすね……(畏怖)

キャラクター

ストーリーの方で言いたいことが山ほどあるので、数名だけ簡潔に。

東山まい
本当に14か?
心身ともに良くも悪くもとても14には思えない。筆者が14の時はもっとアホだった。中学2年生という人生の中で一番アホな時期にあんな感じという事そのものが、彼女の異常性を端的に表しているのかもしれないと思いました。

ロッテン・ドールハート
レズアンドサイコレズ2。前作のアイツよりもまいのケツを狙っていることを隠さないので恐ろしい。境遇は普通に悲劇のヒロインなのに……

リリアナ・ピナータ
今作の良心。前二人に負けず劣らずの不遇な境遇ながら、決して明るさと強さを失わない姿勢には感服。そんな彼女ですら時に我を失ってしまうのが、この作品で起こった悲劇の酷さを物語っている……のかもしれない。
あと、ウデムシの写真を何枚も見ていたら、これそんなにキモくないよなと思えてきました。

ゲーム性

前作のシステムはべた褒めしましたが、概ねそこからの使いまわし再利用となっている今作にも、ほぼ同じ評価になります。ただ今作は、前作の評価を高める一因となっていたバトルジャックシステムがバッサリいかれているため、戦術としては択が減ったように感じてしまいます。無論設定的には無くて当然なのですが。
あとは汚染度が100になっても死なず、汚染床を踏むデメリットが激減しましたが、これはまあ良くも悪くもでしょうか。これに伴って全体のバランスが、出来るだけ床を避けていくものだった1とは違い、積極的に踏んでゆくものに変化しており、終盤の強敵にはむしろ床のバフや汚染度を如何に活用するかを考える、同じようで違うゲームになっていました。ただ、グリッジスタイルが非常に強く、デメリットも薄いため、若干単調なバランスになっていたかなと。
新システムのスーパーノックバグ&ブロウは、単調になりがちなRPGの操作に良いアクセントを加えられる、良いシステムだと思います。

ストーリー

まず、前作との繋がりが掴みづらかった。登場人物がほぼ一新されている上に、前作のサイバーかつ現代的な世界観にオカルトが浸食してくるストーリーラインから、オカルティックかつ古臭い世界観の裏側にSFが潜んでいることが明かされていくものへと変化しており、結果的には繋がりが明確になるとはいえ、それぞれ別のゲームとして発売しても違和感のないくらいに根本が別に思える訳です。
割と早い段階で前作主人公のしいなは出てきますが、ゲーム会社に居たくせにメイドに転職してるし、よく似た別人という考えを捨てることが難しかった。
恐らく制作側は、この二つのストーリーがどうやって繋がるのだろうと思いながらプレイしてほしいのではないかと思うのですが、ほとんど続編としての旨味を出さないまま、あくまでまい達の物語に終始するのは思い切りが良すぎる。
コンパイルハートさんには、2なのに1の前にプレイすることを公式が推奨している前例があるので、これもそうなのかなと思いましたが……さすがに二回同じ手は使いませんね。

で、キャラクターは死ぬ。新キャラも前作キャラも見境なくみんな死ぬ。寮生を必死に守っても、最終的にはみんな殺される。

Q.しいながメールを送るって言うからな、喜んでクレア/楓さんに送ってな、活躍するけど無残に殺されたときの筆者の気持ちを述べよ。
A.ワシが殺したようなもんやないかい!

この時は良かった、この時は……

この精神の削り方、性格悪いねえー。あんなもん大体好きなキャラ選ぶでしょ。
前作キャラで言うと、凛さんも酷かった。活躍らしい活躍と言えばシズに一泡吹かせたくらいで、二作連続二作目の拷問を食らいデスエンド。あとこれは直感なのですが、彼女の小学生スタイルは彼女が出てくる限り毎作やるでしょうね。
惨劇の犯人はワーズワース、もといジルエッタだったわけですが、孤児院が子供を囲い込んで悪事を働いているというのは、フィクションでも気分が悪くなりますね。実際には孤児を『作って』囲い込んでいたわけですが、後ろ盾のない弱者に対して自分たちの良いように利用するというのは古今東西を見渡してもよくある悪の手口ですから。はだしのゲンにもそんな話があったね、寺が戦災孤児を囲ってるやつ。
ミドラにアレコレされていたメイド長のシズは孤児院の出身とのことでしたが、幼少期の虐待が、大人になってもパワーバランスが変わらないまま継続される典型的なパターンで嫌悪感が凄かった。どんなグロ描写より嫌だった。

結末の話をさせて頂くと、闇落ちエンドは強烈でしたね。もう一回聞くけど、本当に14か?
メタフィクション的な作品でこちらに語り掛けてくること自体はよくある演出なのですが、

人の死をたくさん見て……楽しかった?→はい
……この、クズ→そうですね
色々なデスエンドを試しているうちに、私の死に様をみたいみたい、って求めてたんだよ?→その通りです
ヒトゴロシ……♪→うん
ヒ、ト、ゴ、ロ、シ……♪→全くもってその通り

何も反論できない。
そもそもフィクションとはいえ、人の死を見ても楽しいと思える心のねじ曲がったオタクしか買わないゲームなので、このセリフの正当性が一切揺らがない。
前作の感想で、ゲームは能動的に行うからメタフィクションと相性が最も良いメディアだと書きましたが、今回はそれを反射して攻撃されたような気分です。

続いてトゥルーエンド。(見かけ上は)平和な日常に二人とさなえ、寮生たちは戻ることが出来たわけですが、東山まいの服装。何でそこのセンスだけは中学生っぽいんですか?
それはともかく、「会えた!」を重ねてくるのは良かったですね。状況はだいぶ違いますが。ただ、ハッピーエンドには程遠い。
リリアナは孤独に戦う道を選び、まいの中の悪魔は消えていない。このゲームのモンスターは全て人間のなれの果てであり、結果的に殺人と、ジルエッタの策略に意図せずとも加担してしまった彼女達への報いといえるのかもしれませんね。
その後は今後のナンバリングで描かれるとは思いますが、これ一本だと前作に輪をかけて、次回作への含みを持たせた、いわゆるクリフハンガーのような形になっている。週一のドラマや漫画ならともかく、間が数年空くこともザラなCSゲームではあまり多用されるべきではないかな……。

おわりに

やたら広報に力が入っていた1に比べると、ボリューム面では少々劣る今作。コンパイルハート特有の、2で主人公とメインキャラクターを豪快に変える手法も健在で、二作を比べてしまうと少々粗が目立つ部分も多く、賛否が激しく分かれるのも納得ではあります。
こういうのがやりたい、を詰め込めるだけ詰め込んだのだろうなと、容易に察することが出来ます。
それで言うと1の時点で薄々感づいてはいましたが、ライターがお漏らし描写好き過ぎるだろ。一回目ではそこまで気にせず、二回目で軽く引き、三回目には「ああまたやってる(笑)」という風に、執拗にねじ込まれると段々面白くなってきますよね。
主題歌は入りがインパクトあって良いのですが、EDは前作のように何回も聞く必要が無かったため、若干印象に残りづらかったかなと。
2の登場人物に集中させる作りだったため、しいな達のその後とかを期待しているのであれば不満も残る内容だったとは思います。ただ、闇落ちエンドやデスエンド、その他数々のスプラッター的要素など、前作よりもさらに煮詰まった、いい意味で悪趣味なシナリオを堪能できるゲームだったと思います。
お読みいただきありがとうございました。











2周目

痺れる。このゲーム、リディアを好きにさせることに死力を尽くしている。そりゃあ常盤を差し置いて個別エンドがありますよ、って感じ。
私のこのゲームの評価を、上り龍の如く引き上げているのが2周目に入る時の演出。ジルエッタには妹がいて、それがリディアだという衝撃の事実が明かされ良い感じに脳がシェイクされている中での別バージョンOP。否が応でもテンションがぶち上がります。
そして始まる2周目、定期的に挟まれるリディアの独白と姉妹のストーリー。こんなもん1周目から見せられたら絶対にワーズワースのストーリーに集中出来ないので、多少むず痒さが残る展開だとしても2周目からの解放で正解でしょう。
デスリク1のみでは少々分かりづらかった、リディアの正体と行動原理が掘り下げられており、イベントそのものが前作の副読本として機能していました。正に彼女こそが"BUG FIXER"
リディアがいた世界に娯楽がないのを知ると、アニメやゲームにあれほどまでにのめり込んでいたことや、あの過剰なまでの萌え語りにもキャラクターの性格以上の意味が生まれ、もう彼女の出てくるシーンは全てしんみりしながら見る事しか出来なくなりました。

かつては引いてたこのシーンも、今では本っ当に楽しかったんだろうなと思い心が……

日本のアニメや漫画が好きな外国人はそれなりに居るという事実を隠れ蓑のように使った、見事なキャラ造形に感心しました。後大分水梨くんのこと好きね、まあそりゃそうか。
そんなわけでリディアに関するストーリーは非常に気に入って、好きなキャラランキングも彼女が2位に上り詰めたわけですが、反面ジルエッタが何故あんな感じになっちゃったのかは今一分かりづらかった。なんとなくこうじゃないかって考察はありますけどね。
他の2周目要素で言えば、リリィたちのサブイベントは結構良かった。ルシルのシナリオだけは深夜に書いたのかな?

EXエンドは……うん、特大クリフハンガーなんだけどそれよりも一言。

バーカ!!!


総評としては、確かに1よりも劣る点や、続編前提のシナリオなどよろしくない部分も散見されますが、私は2周目OP演出でほぼ全てを許しました、はい。コンパイルハートお得意の、突き抜けた良さで欠点(と一般的には見なされるような部分)を帳消しにしてくる、ガラパゴスRPGの名に恥じない作品だと思います。私はcodeZに備えます。
今度こそ、お読みいただきありがとうございました。

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