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デスリク1 感想 

はじめに

cero"Z"の新作が出るという事で、非常に盛り上がっていた『Death end re;Quest』。前々からやりたいとは思いつつも中々手を付けられていませんでしたが、ちょうど出血大セールも行われていたので、面白かったら予約してみようかなと思いプレイしました。
以下、感想。

グロ描写について

グロいゲームという事は知っていたので結構身構えていましたが、ceroDの制約もあり、死体を直接、はっきりとは絵起こしされてないなど、想像していたよりもキツいシーンは少なかったかなという感じです。
ただこれはCGを伴うデスエンドを1週目ではほぼ回収できず、回収が作業になってしまった事も原因の一つかもしれません。文章だけのデスエンドは選択肢を間違えたらほとんどすぐ死ぬので、何かギャグみたいなスピード感になってしまってるやつもありました。セリカの船のやつとか。
とはいえ蜘蛛と火山の奴は……ねえ……凄かった。小蜘蛛に生きたまま身体を食われる自分を想像したら怖くなっちゃいました。火山も声優さんの演技が凄かった(小並感)。痛さ、辛さが想像しやすいデスエンドは総じて印象に
残ったので、結局は個人の想像力次第なのかもしれない。

ストーリー

非常によかったですねぇ……本当に。
バグだのプログラムだのAIだの、科学的な盤面でのストーリーだと思っていたところにぶち込まれるオカルトだの宗教だのと言った妖しい雰囲気が、自身の脳の軸をどこに持っていればよいのかと、登場人物と共に揺さぶられる感覚がマジに気持ちよろしおす。
別のゲームの話になってしまいますが、私パワポケ12の電脳野球編とか、カオスチャイルドみたいな作品が無茶苦茶好きなんですね。
当然それに似た雰囲気のある今作も好きで、日常がどんどんオカルトに侵食されていく現実編の良さったらもうね……
終盤はメタフィクション的な展開で、これはまあ好き嫌いが分かれる部分だと思うのですが、個人的にメタフィクションと一番相性の良いメディアはゲームだと思っていて、何故かって言うと全てを能動的に、順番に行わなければ進まないからです。操作して敵倒すだけでなく、文章を読み進めるのも自分でボタンを押さなければいけない。マンガや小説だといきなり100ページ目から読むことだってできますが、ゲームは基本そうはいかない。どんな結果になろうとも、プレイヤーが起こした操作によって、そうなっている。
そんな風に考えているので、『死の王』と画面越しに言われたときは「おお」ってなりました。
自分の操作でシイナ達を頃して、一通り楽しんだ後に厨二的ながらもカッコいい呼び名を与えられてテンションが爆上がりでした。
一つ凄く良いなって思ったのは、中盤のしいなの「キャラクターが頑張っているのを見て、私も頑張ろうって思えるようなゲームを作りたい」(要約)って発言が、終盤の水梨くんを筆頭としたキャラクター達の、どんなに辛く苦しくても諦めない姿勢に掛かってくる所。これはメタフィクション要素を含んだからこそ更に深く効いてくる、素晴らしい構成だと思いました。

キャラクター

メインキャラと気になったサブキャラクターについて一言二言ずつ。

二ノ宮しいな
終始かわいそうだった。キャラクターが苦しむ描写って、斬られたり撃たれたり殴られたり、外的要因に依る苦しみが多いと思うのですが、彼女についてはそれ以外にも、吐いたり腹痛だったりお花摘みだったり、生理的な苦しみがやたら多い。ライターの癖を感じた
あと、公道でパンツって大声で言うのはやめた方がいいと思う。

山村百合紗
レズレズアンドレズ
多分、ギャグ要因なんだと思う。シイナ絡みで暴走する事はあっても、基本的に温厚なので、ブチ切れるシーンは名場面だと思う

森久保ひなた
ロリ枠。設定年齢より大分幼く見える言動だけど、両親のアレコレで心が壊れてたって事なんでしょうか。
個人的に、現実での悲しき過去が開示された3人の中では、一番くるものがありました。子供って案外大人に気を遣ってるよなあって、しんみりしました。

樋泉楓
メガネ美人。本当に好き。守銭奴の悪徳商人かと思いきや、情に厚くて義理を通す素晴らしい人物、守銭奴なのは間違いありませんが。父親とはあまり仲が……みたいな事言ってた割に、携帯の待ち受け(恐らくプリクラ)に『パパ』と書いてるのは昔撮ったものだからでしょうか。
何よりも、クレア・楓どちらの姿でも凛とした佇まいで、金は裸よりも尊いと言い切るリアリストなのも好き。
自分の失われていた感情に気づくシーン、あれちょっと主人公過ぎやしませんかね?
唯一の欠点は、結婚しようと思ったらあのお父上に挨拶せねばならない事でしょう。

至言

スヴェトラーナ・天羽
名前が良いよね、スヴェトラーナ天羽。ルシルのフルネームより先に覚えたくらいには語感が良い。この子も現実、ゲーム双方でかわいそうポイントが高い。どうでも良いけど、バイリンガルで美人の小説家とか爆裂的な人気が出そう。
ぶんちゃっちゃ〜♪

クロエ・アーロン
強い。とにかく強い。RPGのチュートリアルで、ゲーム側から「このキャラは強いので入れましょう」って言われるキャラは初めてです。
キャラクター性の話をしますと、もの凄くカリスマ性があって、実力も伴ってるんだけどちょっとズレてる、という性格が、真のスター感があって良かったですね。

水梨新
よく、ギャルゲーは主人公の男が魅力的なキャラでなければならないと言われますが、デスリクがギャルゲーかはさておき非常に魅力的なキャラクターだったと思います。ヒロイン同様、もしくはそれ以上に酷い目に遭いますが、その時はこっちが辛くなるくらいには良い男だったかと。
早くしいなを貰ってあげて下さい。

常盤澄香
負けヒロイン。清々しいほどに。出番で言えば現実編のメインヒロインと言っても良いはずなのに、個別EDがない深刻なバグが発生していたのが本当に悔やまれる。

リディア・ノーラン
そこそこ面白いキャラだと思っていたので、例のイベントは結構ショックだった。オタク会話が結構本気で気持ち悪いの、ライターの手腕だと思いました。

普通にセクハラだと思う

明日風凛
小学生の格好と、拷問シーンにドキドキしました。

棟方夏生
プレイ中は脳が科学ADVモードになっていたので、いつ裏切るのかとヒヤヒヤしていましたが、終始味方のユーモラスなおっさんで安心しました。

ルーデンスの皆様
リプカはともかく、他はなんか味方みたいな着地をしたのが意外でした。新作にも平気で出るみたいやし……ルーデンスの名の通りこの世を遊んで暮らすのかもしれない(適当)。

ゲーム性

RPGって、最終的な作りが同じようなものになってしまうから大抵独自要素を入れると思うんですね。例えば同じコンパイルハートだと、メアリスケルターの血が飛び散るシステムとか、ネプテューヌだと女神化とか。
デスリクもその2つを掛け合わせたような、というかメアスケのジェノサイド/ブラッドスケルターの派生みたいなグリッジスタイルが1つの要素ですが、もう1つの大きな独自要素であるノックバグが、このゲームを非常に面白い物に変えていたなと思います。ピンボールじゃんと思ってたら、本当にピンボールが出来るのには驚きましたが……
バトルジャックシステムも、インストールジャンルが特に独創的で面白いシステムだと思いました。
ペインエリアは流石に長かったですが、最後まで飽きずにプレイできる、楽しいバトルシステムだったと思います。

おわりに

このゲーム、最初はもっとゆっくりクリアする予定でした。5月末から初めて、11章あると知ってからは大体3カ月くらいかかるかなと思っていたのですが、早く次の展開が見たいとガンガン進め、結果1ヵ月でトロコンしました。
現実編の種明かしに、ワールズオデッセイ編のNPC達の過去が絡み合って生まれる中盤から終盤にかけての加速感は、寝る間を惜しみたくなるほど。
公式の広報含め、プレイしているとやはりグロ、陰鬱要素が目立つのですが、そういった情報が先行し過ぎているのはもったいないと感じるほどに、ストーリーやキャラクター性、ゲームシステムが秀逸なゲームでした。
もちろんそういった表現に耐性が無ければ結構キツいのは確かなので、賛否が分かれたりマイナーの域を出ないのは理解できますが……それでもあの「会えた!」のシーンにはそういったアレコレを乗り越えるだけの価値がきっとある。
曲もよかった。OP曲の『Caliguli syndrome』、ED曲の『シオン』はもちろんのこと、挿入歌の『You&I』が非常に染みる。アイリスとシイナの抱擁シーンのを見ているときの安らかな気持ちは、全ての凄惨なデスエンドを見たからこその幸せな体験だと思いました。
ただやっぱり、リディアEDといいちょっと情報不足な部分があったように思え、ここは続編への準備というか下ごしらえなのかなと。
総じて、このゲームでしか味わえないような独自の魅力が多く詰まったコンパイルハート渾身のガラパゴスRPGでした。ありがとうコンパイルハート……
お読みいただきありがとうございました。

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