タピオカタブラ

タブラ(ウルドゥー語: تبلہ‎, ヒンディー語:तबला, tabla)は北インドの太鼓の一種である。正確にはタブラ(高音用:tabla)とバヤ(低音用:baya)という2種類の太鼓であり、組み合わせてタブラ・バヤ(タブラーバーヤン)とも呼ばれる。指を駆使し複雑で多彩な表現が可能である。

胴は、高音のタブラは木で、低音のバヤは銅や真鍮などの金属でできている。胴の底は閉じており、壷や器のような構造になっている。皮はヤギ革であり、高音のタブラは中央に、低音のバヤは中央よりやや前側に、鉄粉を穀物の粉などと練りこんだ、スヤヒと呼ばれる黒いものが塗られている。これにより容易に倍音を発生できることがタブラの大きな特徴である。皮は、革紐で胴の底部と結び付けて張る。紐の結びかたを変えたり、紐と胴の間にはさんだコルク栓サイズの木の小片(グリ)の位置を動かすことなどで張力を調整し皮のチューニングを行う。チューニング時には小型のハンマー(ハトリ)も用いる。曲の調によってそのつどチューニングを変える。

また左手の腹をつかって太鼓の張力を変えることで音程を上下させることができ、タブラ独特の風情の一つとなっている。
(「タブラ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年6月3日 (月)13:27 URL: https://ja.wikipedia.org 表記統一の為一部修正し、引用)

そして、なぜか、カシオの入門用ミニキーボード SA-46には、インドの太鼓タブラのGEとNAの音が出るボタンがある。ボンゴやコンガではなく、タブラの音が出るボタンが二つ備わっている。

タブラのスヤヒ(煮た米のでんぷんと鉄粉)という打面の中心にある丸い黒い部分が、昨今、好飲されているブラックタピオカ(キャッサバのでんぷん)に似ている。また、沢山のタブラが並んだ時、それを一層感じる。

上記を根拠に、タブラブームの兆しを読みとったある男が、文部科学省に日本におけるタブラの普遍性と重要性を説き、忖度し、タブラの普及を画策する。 ジョージ・ハリスン贔屓でビートルズマニアの官僚との出会いが好機となり、男のロビー活動は成功した。

小学校の音楽教育では鍵盤ハーモニカか、タブラかの選択制となる。全国的にタブラ指導者、技術者の不足から、タブラに関する需要が高まる。音楽大学では、タブラ科というコースを新設。流行りのポップミュージックは、こぞってタブラの音を取り入れるようになる。

カエルの合唱をKaida(カイダ)のボルにした替え歌が、小学生の間で流行りはじめた。無限に歌い続けられることが面白いようで、炎天下の中、泡を吹くまで止められない子供たちが続出した。学校から保護者へ、替え歌を自粛するよう呼びかけるプリントが配られた。

タブラばかり叩いて、ろくに勉強をせず受験に失敗した学生に対して使われた『タブラ浪人』という言葉が流行語になる。その他には、『タブラ離婚』『タブラ狩り』など、タブラに関する社会現象が多数生まれた。いわゆるタブラ景気が到来したのもこの頃のことだった。

タピオカは、飲んだら無くなるが、タブラは、一生ものの知恵と技術、もはや、タピオカなんて誰も見向きもしない。
掃除機みたいに、ミルクティの中から黒い粒を吸い取る遊びより、鮮やかに花開く未だ知らぬchakradhar(チャッカルダー)を習得したい、タブラには練習後の甘いチャイのご褒美が待っている、誰もがタブラを選んだ。

流行に敏感な若者たちは、タブラ演奏時に楽器の下に敷くドーナツ型の座布団の柄で個性を主張する。女子の間では、Marimekko(マリメッコ)やminä perhonen(ミナ ペルホネン)の布などで手作りするのがトレンド。彼氏の分も作って、月に一度の合同練習会で、同じ柄のドーナツ型座布団を使って、交際していることを口に出さずに暗に周囲に知らせ、その恋が終わると元の柄に戻す、という奥ゆかしい恋愛文化が生まれる。

「どうして、私が縫ったそのUNIKKO(ウニッコ)柄のドーナツ座布団まだ使ってるの?」とかの女は言う。
「いや、まだ俺は好きだから、」とかの男は言う。
「わたしも」とかの女は言う。
「Kali(カーリー)だと思ってる、この時間は。Sam(サム)を強調するための」とかの男は言う。
「わたしも」とかの女は言う。

翌月、二人は再び同じ鮮やかなピンクのUNIKKO柄のドーナツ座布団を使って練習に参加した。周囲はそれを見て二人が復縁したことを知るが、口には出さなかった。その日、二人の情熱的なTihai(ティハイ)は教室の誰よりも遠くまで響いていた、3回目の復縁だった。

ソーダやフルーツの匂いのするタルカムパウダー、動物の絵が書いてあるグリ、superme(シュプリーム)のハトリ、Samsonite(サムソナイト)社製のタブラケース、ファッション小物も充実し始める。

タブラのトレーディングカードは、入荷したらすぐに売り切れ、巨匠、流派、工房タブラなど、細かな分類で網羅され、直筆サイン入りの当たりカード、それから、巨匠が実際に使用していたタブラの皮の切れ端がラミネートされている特別なカードも存在する。トレーディングカードの世界では、ベースボールカードに並ぶ一大ジャンルに急成長する。

ブランド米で作ったスヤヒを使用した国産タブラは、米と金物の町 新潟県のふるさと納税のプレゼントである。

ボタンを押すと、光ってタブラボルが流れるキーホルダーが人気になり品薄のため、格好の転売商材となる。

タブラは口伝で習うため、人と人とが実際に顔を合わせる機会が増え、見守り社会の促進にも貢献する。

特約付き養老タブラ保険への加入は、国民の義務となる。皮の破れと張替えを保証してくれる、無事故無違反で一時金が貰える。

タブラ景気はRela(レーラ)さながら、誰もついてこれないくらい高速に発展してゆくので、手放しで喜べないこともある。

タブラ増加に伴う深刻なシタールおよび、ハルモニウム不足が毎年発生する。

街に溢れかえっていた美容室、保険対応のマッサージ屋、処方箋薬局などが、相次いで閉店し、タブラショップになった。

この好景気は、「タブラによってもたらされたアポカリプス」ともいえる側面があり、物議を呼んでいる。

「あっ見て!またタピオカタブラだよ!!」とかの女は言う。タピオカ屋の跡地に入ったタブラショップのことを表す若者言葉だ、ブームが過ぎ去った後もしぶとく生き残っていたタピオカ屋が、ようやく閉店し始めたのだ。1日のうちに、それを5軒見つけると願い事が叶うというジンクスがある。隣で並んで歩いていたかの男もつられて呟く、タピオカタブラ。それは、6月の夕方、灰色の雲がべったりと覆い尽くした空は低く、タブラの湿気が気になる季節だった。



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