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愛知県津島市・宝町の駄菓子屋 〜いつでもおいで。いつでも待ってるよ。駄菓子屋す〜さん〜
愛知県津島市。
主祭神・建速須佐之男命(スサノオノミコト)が対馬よりこの地に移り、鎮まったのが欽明天皇元年(西暦540年)の事。
壮麗にして荘厳
今やその信仰は天下を巡り、全国約3千ある天王社の総本山。
市名の由来ともなったのが、
そう!我らが誇り、津島神社なり!
中世以降。
伊勢⇔尾張を結ぶ木曽三川(木曽川・揖斐川・長良川)の要衝津島湊としても。
津島神社の鳥居前町としても、さらには佐屋街道の宿場町としてもミラクルに発展!
かのジャイアン……もとい織田信長公を経済的に支え続けた、その栄華を世人評して曰く【尾張一の豊かな町】または【信長の台所】と。
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津島信仰の中心でもある
宵祭も朝祭もファンタスティック!
天満天神祭(大阪)・厳島管絃祭(広島)と共に日本三大川祭りにして、ユネスコ無形文化遺産に登録された尾張津島天王祭を筆頭に。
勇壮な山車や神楽が町を練り歩く尾張津島秋まつりや、東洋一の美しさ尾張津島藤まつりなど。
箱根駅伝のスター・三代目山の神こと神野大地さんをスクスク育てた土壌は、祭事・神事を大切に守り続ける津島人スピリッツあってのこと。
人口約5万9千人。
名鉄(名古屋鉄道)の名古屋駅より最速で20分強で行ける、伝統と文化に彩られた町。
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日本三大川祭り【尾張津島天王祭】は圧巻
今回の舞台は、名鉄尾西線・津島線のターミナル駅【津島駅】から徒歩数分の場所にある長屋的古民家。
子供達が外から家の中に入るたび、
『おかえり~』と温かい声が聞こえてきます。
声の主は、御年63歳(2023年現在)の砂川博道さん。
年を聞いて思わず『えぇぇぇぇええ〜』とおったまげてしまうほど若々しく、笑顔が素敵な砂川さんの通称は『す~さん』です。
子供達からも『す~さん』とか『す~』とか愛情たっぷりに呼ばれているので、当ブログでもそう呼ばせて頂きます。
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す~さんカッコいい~!
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『おかえり』が温かい
各SNSでは以前から繋がっており、著書【全国駄菓子屋探訪】でもお世話になった関係性もあり、『はじめまして〜』という気が全くしない筆者とす〜さん(笑)
『わ〜!!
ホンモノの土橋さんだ。
お会いしたかったですよ!嬉しいな〜。
午前中は、(推挙されて)ボランティア登録をし
に津島市の福祉協議会へ行ってきて、歓迎して頂
いたばっかりだったのです(笑)
良い事って続くな〜。
さあどうぞ、中へ』
突然の訪問にも関わらず、快く迎い入れてくださり、たくさんお話してきました。
【熱中時代】の北野広大先生の様な、人懐っこい話し方に一気にす〜さんワールドに引き込まれてしまいましたYO
年季の入った日本家屋の玄関を開けて靴を脱いで、さあ入店!
フワ〜と広がる日本家屋独特の香り。
い草というか、なんというか、こういうオイニ〜好きなんだよな~(笑)
幼少期、おじいちゃん・おばあちゃんの家に入ったかの如く、懐かしい感覚に包まれる筆者。
『ここ(古民家)の大家さんがとても良い方でして。
「どうせ古いし、好きにリノベーションしてOKだ
よ。お金は出せないけど(笑)」って。
少しずつちょこちょこDIYしながら、こんな感
じになりました。』
とても器用にリノベされている室内を見て、『昔から工作が好きだったんだろうな〜』と思いましたが、す〜さん。DIY系はズブの素人でだったらしく…
『大体はYoutube先生で学びました〜(笑)』とのこと。
今でも子供達とのやり取りを通じ、イメチェン・リノベをしているのだとか。
幾つになっても、新たなことにチャレンジできる好例。
素敵ですやん!
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セルフ補強にセルフプロデュース
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お隣の三重県・尾鷲生まれのす~さん。
その優しい笑顔の中には、職と家族を失い電気・ガス無しの車中泊生活をしてきた、相当ハードな記憶が隠されていました‥
そして、そんな生活に泳ぎ疲れていた時、流れ着いた先が津島だったという訳です。
前述のナイスな大家さんにも巡り会えて、【駄菓子屋す〜さん】をオープンさせたのは、2017年の事。
『今は笑って話せますが、正直キツかった〜(笑)
自分の居場所が無いって本当にツライ事。
それがわかっただけでも良かったですが。
だから、誰でもいつでも来れる【居場所】を創り
たかったんですね。
これが僕のぶれない軸。しっかり持ってます。』
いつでもおいで。
いつでも待ってるよ。
【駄菓子屋す〜さん】のコンセプトは、す〜さん自身のぶれない軸(信念)そのものなのです。
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創業当時は疎らだったという子供達ですが、今は多くの子達が日々集まってきて、楽しく時を過ごしています。
それもす〜さんの人柄と、ここの居心地の良さがドッキングした帰結なのでしょう。
『子供達と一括りにしがちですが、考え、性格、
家庭環境だって、当然一人一人違うんですよ。
不登校の子もいます。
悩みや問題を抱えてる子もいます。
いっぱいいますよ。
今はキツイと思う。
ツライとも思いますが、そういう事って、長い
人生のほんの一時の事なんですよね。
何かしら、自分の軸になるものがここで見つかれ
ば本望です。
そこさえしっかり持てれば、あとは、なんとでも
なるから、あんまり気にしないで!って(笑)』
なんくるないさ〜スピリッツの中にも、ぶれない軸・芯の強さが伺えますね。
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スゴい上手だよね〜
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津島版『二十歳の約束』なり
ソフト排他的というか。
よそ者に冷たいというか。
子供達は別として、創業当時は他所から来たす〜さんに対し、ここ津島にも由緒正しき町の住人あるあるの、よそよそしい風が吹いていたそうです。
『す〜は家族じゃん。
だから、絶対に卒業式、来てもらいたいな。』
ある女の子が、家族以外見学を認められなかった小学校の卒業式時にす〜さんに言った言葉が先ず素敵すぎる件。
さらに、そうした背景を汲み取った近隣小学校の校長先生が教職員の代表として『ご活動、色々と伺いました。ぜひ卒業式に参加してください!』と言いに来てくれたのだとか。
『あれは、嬉しくて泣けてきたな〜(笑)
そうした小さな事の積み重ねで、地域住民の中に
も理解者が少しずつ増えてきてくれて。』
学校や学童・塾など⇔家庭以外にも、町の中に子供達の居場所が存在すること。
そうしたサードプレイス(第三の場所)の存在は、競争関係では全く無くて、むしろ相互補完関係なのです。
それを学校関係者や地域住人も理解してくれ、さらなるパートナーシップの強化に繋がる‥
なんとも三方良しで、素敵な関係なのでしょうか!!
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素敵ですやん
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大人から子供への間接的なプレゼントである『わらしべチケット』制や。
子供達の遊び場で、ナイスな住職さんのいる帝護山照蓮坊境内での『お寺でフリーマーケット』+『お寺で縁日』。
他にも『音楽会』や『人生語り』など、皆が楽しめる企画やイベントが盛り沢山。
このあたりは、各SNSで要チェックされたし!!
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相互感謝が世界を救う)
『少し外歩きませんか??
津島の御案内をしますよ。』
帰りがけ、思いもかけないす〜さんプロデュースの津島観光させてもらった筆者。
個人的に津島アンバサダー野称号を贈りたいレベルの、最高のオ・モ・テ・ナ・シ(笑)。
本当にありがとうございました。
『また必ずお会いしましょう!
今度はゆっくり遊びに来てください!』
再会を約してからの別れ。
悲しくつらい経験を経て、津島という歴史ある湊町で居場所を見つけ、その恩返しとばかりに子供達の居場所を守り続けるす~さん。
その物語はこれからも続いていくことでしょう。
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