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懐かしのあの味探訪。いその(第2)で食べた【マル】と同じ味! 〜東京拉麺『しんちゃん とんこつラーメン』〜
〜このコラムを台東区・東上野にあった駄菓子屋ゲーセン【いその】に捧ぐ~
『マル1つ入れて〜!』
10数台のアーケードゲーム機が奏でるそれぞれのBGM・・・
そのメロディーの寸隙をぬって、千の風に‥、まるで、千の風になって店内に優しく響く『マル1つ入れて〜!』というおじちゃんの言霊。
『マル』とは、子供向けのミニラーメンの事。
その元ネタは丸い形状だった事に由来すると思われる、いわば通り名の様なもの。
他にもシカクが焼きそばだったと記憶しているが、シカクについては味を含め、正直うる覚えである。
その声の向かう先は、店の奥の小上り。
おそらく自宅の台所だったであろう。
慣れた手付きでミニラーメンにお湯を入れてくれる二人の女性。
ナイスコンビネーション!!
おじちゃんの奥さんとお母さんだ。
ここは東京下町・台東区。
春のうららの隅田川沿いに広がる浅草・蔵前エリアと対極に位置。
上野の山の裾野に広がる寺社町としても名高い東上野・松ケ谷にあった駄菓子屋ゲーセン【いその※(第2)】
🚘が2台位入るであろうか?
ガレージを改装した(であろう)店内。
入口付近⇒アルミの机とパイプ椅子に座り、時折タバコをふかすおじちゃんの対面に広がる島式の駄菓子ワールド。
店の奥側⇒1回50円。
10数台のアーケードゲームが壁に沿って置かれる、動線はほぼ中央のみなゲーセンワールド。
その2つの世界観が、不忍池⇔ハスの花が如く、見事にマッスルドッキングしていたのが【いその】だった。
余談だが、近所に元々昔からあった駄菓子屋【第一】があったが故、地元の子達は第2の駄菓子屋という意味で【第二】と呼んでいた。
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その輝きよ、フォーエバーたれ!
世界的な観光地・浅草や、江戸期にその反映を支えた両替役人【札差】の蔵が建ち並んだ蔵前などを擁する、東京下町台東区の隅田川沿いで生まれ育った私。
友達と自転車を駆使し、行動エリアが爆裂に広がっていったのは、小学5年生の頃だった。。
その辺りのこと。
行きつけの駄菓子屋・駒形【ババヤ】での思い出や、お隣墨田区の駄菓子屋もんじゃ【よこた】で一つ年上のパイセン方につけられた人生初の情けない黒星ストーリーなどは、私が監修を努めた
ツゥーバージン社出版
【全国駄菓子屋探訪】
のコラムに詳しいので、重ねて御参照されたし!
と、ちゃっかり宣伝も打った所で、昭和64年(平成元年)、他エリアの駄菓子屋ゲーセン【いその】の思い出を語らせてもらうことにする。
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昭和64年(1991年)台東区。
東京23区の中で最も面積の小さい台東区の西側(浅草が東側)に広がる東上野がその舞台。
駅で言うと東京メトロ銀座線【稲荷町】駅が最寄り駅。
由緒正しい【下谷神社】を中心に寺社仏閣が多く建ち並ぶハイソなエリアとしても知られている。
その東上野エリアが本拠地。
区内最強⇔都内屈指の実力を誇る少年野球チームの名門【サンジュニア】に通い始めた小学校のクラスメート達※により、私達にもたらされたのが駄菓子屋ゲーセン【いその】の情報だった。
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ガラの悪さと混雑っぷりは天下無双。
酔客・競馬Men's・893にアウトロー達と、国内外から訪れる善男善女(観光客)が無意識の内に共存していた、カオス全盛だった浅草界隈の盛り場事情。
数軒あったゲームセンターは、体感ゲームやメダルゲームが主流で、アーケードゲームは1回/100円がデフォ。
私の学区内には駄菓子屋と簡易的なゲーセン(1回/20円〜50円のアーケードゲーム)が合体している、いわゆる『駄菓子屋ゲーセン』は皆無だった。
だから【いその】の情報を聞いた時、一気に興奮して『しゃかりきコロンブス』状態になった事は言及の必要性は無いだろう。
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自宅から自転車で15分強。
食品サンプル・食器・調理道具など、ここに来れば何でも揃うと言われている【かっぱ橋道具街】を超えて、上野方面へ向かうと見えてくる【いその】。
店の前には多くの自転車が置かれていれば満員御礼のサインだった。
【忍者龍剣伝】
【チャンピオン・レスラー】
【大魔界村】
【天地を食らう】など
今にして思えば、当時もかなりナイスガイなラインナップを誇っていたが、後に【NEOGEO】や超名作【ファイナルファイト】も加わるのだから、その重奏感たるや‥
アーケードゲームも駄菓子屋ゲーセンも共に、黄金期だったと言えよう。
では、当時のゲームBGMを思い出していてたく意味でも、【昭和のおじさん】様のYou Tubeを見て頂きながら、【いその】で食べたマルの正体について考察を垂れていきたい。
下は駄菓子を買いに来る小学生から、中高生はもちろん、大人(げなく50円を積む)リーマンさんに至るまで幅広かった【いその】の客層。
当たり前だが、1ゲー=50円とは言え、小学生が何回もできる金額ではなく、祖父母から貰うお小遣いと言う名の臨時収入や、お年玉が入った時期しかゲームもやりまくれず、基本的には皆がやっているのを見ている事がメインだった。
駄菓子をちまちま食らいながら、ゲーム画面を覗き込む‥
おそらく全国各地の同世代の聖闘士達が似たような経験をしてきたと思うが、10円20円の駄菓子でなぜあんなに粘れたのだろうか??
その粘り腰、令和の御代にも必要だよな〜と思いつつ、話が横道に逸れまくっていることを素直にわびたい。
そんな中、いい匂いを辺りにまき散らしていた、『マル』を食べてる者どもは、周囲より羨望の眼差しを受けていたのだった。
私も初めて『マル』を食べた日の、背徳感とも言えるあの感動を忘れない‥
ところで、今現在の話。
駄菓子屋などで売られている、いわゆるミニラーメンは2メーカーに大別される。
東京拉麺㈱
世界で初めてミニラーメンを開発。『ペペロンチーノ』や『しんちゃんラーメン』シリーズで有名な栃木県足利市のメーカー。
おやつカンパニー
『ベビースター』や『ブタメン』シリーズでお馴染み。世界に冠たる三重県津市が誇るメーカー。
共にフレーバー・バリエーション・コスパ・美味しさに定評があり、歴史と伝統に裏打ちされた言わずとしれたレジェンドメーカーである。
【いその】全盛の1990年代は、今より多くの駄菓子メーカーがあった時代。
ラメックやローカル系を含め、ミニラーメンメーカーも相当数あったと推定される。
私の味覚と情報網をもってしてもこれが『マル』である!と確証できず、他メーカーの、しかもすでに終売している可能性も否めないのだが、かなり近しい味のミニラーメンに出会ったので報告しよう。
東京拉麺プレゼンツ『しんちゃんとんこつラーメン』。
この味、この香り、『マル』とほぼ同じだ!
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【いその】では、アーケードゲームをやっている際、順番待ち(マーキング)の為に50円を机上に置いていたのだけど、あれって全国共通だったのかな〜とか思いながら、お湯を入れて待つこと3分。
柔らかなとんこつスメリングを嗅ぐわいながら、【いその】を彩った名物キャラ達に思いを馳せる。
工場勤務の工員(推定)、当時二十歳くらいだったのに私らと仲良し(タメ口聞いてた)だったメガネの『カンちゃん』
画面内のキャラを動かすたび、手のみならず、体・顔をもハードに動かす、16ビット界の猛将『くび男爵』
歴史の知識は古今無双。
【天地を喰らう】に断り無しに突如劉備玄徳で入ってくるも、投石機みたいな罠にハマり、20秒持たずに散った、ゲームが鬼下手だったとんかつ屋の倅・Iくん(我々のクラスメート)など。
懐かしき思い出達と邂逅しながら食べる『しんちゃん とんこつラーメン』の美味しさよ‥
丸い形状ではないけれど、間違いない。
この味だよ。
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地元の、むしろ、地元外の東上野・松ヶ谷周辺の同世代、中年街道まっしぐらの皆様。
ネオジオのクイズゲームをやっているとき、後ろから答えを言ってくるメガネをかけたヒョロっとした同世代の少年には本気でムカついてましたが、それもいい思い出。
【マル】同等の味がする【しんちゃん とんこつラーメン】
【いその】のおじちゃん・おばちゃん方に心の中で敬礼しつつ、あの頃を思い出してみるのも、これまた中年のもつ矜持なのではなかろうか?