第6話「鬱陶しい歌」感想
1 「21年前」
ベルメリアとプロスペラの会話から、
・前日譚「プロローグ」が本編の21年前
という可能性が浮上しました。
この結果、
21年前に4歳の誕生日を迎えたエリクト:現在25歳
スレッタ:経歴上は17歳
ということになり、別人説の可能性が高まってきました。
勿論、
・コールドスリープ等、肉体年齢を数年間止める措置が取られた。
・その間の記憶は本人にはない。
等の可能性は排除できないでしょう。
従って、現状では続報待ちということで、判断保留としたいです。
2 市民ナンバー
・「強化人士4号」は整形等で全身を偽装した別人。
・エアリアル奪取が成功していれば、市民ナンバーを獲得し、別の容姿と経歴で再出発できる可能性もあった。
等という事実が判明し、
・市民番号が存在しない「人間未満」扱いされる人々が存在する。
・それらの人々が「人間扱いされる機会」を求めて、容姿や経歴すら捨てて非合法の活動に従事することがある。
・それらの人々を「使い捨て」にして闇から闇へ葬ることのできる絶大な権限を1企業が保有している。
等という
ペイル社=サイバーパンクの暗黒メガコーポ
が確定しました。
私が管見する限り、ペイル社の今回の所業を見て、相対的に他の二社がマシと判断する向きも多いみたいですが、
・ジェターク社:「自律兵器禁止」を無視して完全自律AI操縦のMSを開発している。
・グラスレー社:ヴァナディース機関を全滅させた「カテドラル」所属「ドミニコス隊」にMSを供給し、その後もベネリットグループの中核企業として躍進した。
等から考えて、
「水星の魔女」世界の企業は、ペイル社と同等の非人道的行為を行うのが普通
と判断した方が良さそうです。
その意味で、
・シャディク・ゼネリ:グループ内御三家グラスレー社CEOの「養子」
についても、
「強化人士4号」と同じか、それ以上の重い背景
があっても不思議ではないでしょう。
3 「魔女」の派閥
プロスペラとベルメリアの会話において、
・ヴァナディースの遺志を継承する/しない
という発言がありました。
前後の会話から考えて、
・プロスペラ=継承しない派閥
・ベルメリア=継承する派閥
と解釈するのが妥当のように感じました。
以前から、私の見解としては、
・「水星の魔女」世界における「魔女」=「トランス・ヒューマニスト」
と解釈していますから、
・カルド・ナボ博士系統=ヴァナディース機関系統=「GUND-ARM」(身体拡張)派
とは別系統の技術を追求する派閥が存在するということになります。
そして、
・エアリアル本体だけでなく、ガンビットそれぞれが自律行動をしている可能性がある。
・スレッタがガンビット達を「みんな」と呼んでいる。
・ガンビット達によるパーメットリンク干渉フィールド発生の後に、エランが少女たちの笑い声を聞き、スレッタが「いつもより良く声が聞こえた」と発言。
等の描写を見る限り、
・パーメット製人造脳式自律知性
を追究する技術系統が、もう一つの魔女の派閥ではないかと推測できます。
4 「パーメット」再考
パーメット
太陽系内に偏在する鉱物から発見された元素。個々のパーメット間で情報を共有する性質があり、パーメットを素材や推進剤などに混合させ制御することで様々な技術が開発される。パーメットを人体に流入させる身体機能拡張技術は宇宙に進出する基盤と考えられている。
前日譚「プロローグ」から今回までの描写を見る限り、「パーメット」という新元素が「水星の魔女」世界の超技術の核心です。
しかしながら、公式サイトで確認できるのは、
・個々のパーメット間で情報を共有する性質がある。
・パーメットを素材や推進剤などに混合させ制御することで様々な技術が開発されている。
・パーメットを人体に流入させる身体機能拡張技術(GUND技術)が開発されている。
の三点のみで、そもそも
「パーメットとは何か?」
という説明はありません。
そこで、今までの描写やメタ的な観点からの妄想も踏まえて、私なりの推測を述べると、
・「パーメット」=特殊な加工を施せば、「量子的もつれ」を維持する元素
です。
これだけだと具体的なイメージが湧かないでしょうから、SF的ギミック風に言うならば、
・「パーメット間の情報共有」を利用した「超光速通信」や「太陽系規模の情報ネットワーク構築」が可能。
・「超光速通信」と「太陽系規模の情報ネットワーク」を基盤とする「量子コンピュータ」による「膨大な情報容量と超高速演算」が可能。
ということです。
言い換えるならば、現状の科学技術では実現不可能な
・人間の脳細胞約900億個による複雑な相互作用のエミュレートが可能≒記憶や人格の「模倣再現」が可能
ということになります。
ここで注意してほしいのは、敢えて
「模倣再現」
と表現している点です。
私が管見する限り、
・エアリアル本体にエリクト
・ガンビットそれぞれに別の子供達
という対応で、
「人格が取り込まれている」
というような推測が見受けられます。
しかし、比喩表現としてならともかく、SF的考察として考えるならば、
・「魂」のような形而上の存在は仮定しない
→「人造脳」による記憶や人格の「模倣再現」
という「オッカムの剃刀」の原理を尊重するべきでしょう。
哲学的議論をしだすとキリがないので、簡潔に言えば、
・オリジナル=生物的脳の複雑な相互作用で構成される「記憶や人格」。
・コピー=パーメット製人造脳の複雑な相互作用で構成される「記憶や人格の再現」。
は別物であるということです。
その意味で、カルド・ナボ博士がルブリスを「赤ん坊」と表現したのは、
・ルブリス=無垢なパーメット製人造脳搭載機体。
・「赤ん坊」=誰かのコピーではなく、学習と交流によって独自の人格を芽生えさせる。
つもりだったのではないかと推測可能です。
逆に言えば、
・エアリアル+ガンビット=誰かの人格をコピーしたパーメット製人造脳登載機体
という可能性が高いとするならば、
・カルド・ナボ博士とは別系統のトランス・ヒューマニスト(魔女)の設計思想及び開発技術に基づく機体
ということになる訳です。
5 「人類精神転写」?
ここからは脚本家の過去作品からの類推ですので、妄想全開の話となります。
前述したように、
「パーメット」=「量子もつれ」を維持する元素≒超高性能な量子コンピュータ用素子
だと仮定すれば、
・「太陽系規模のパーメット超光速通信情報ネットワーク」構築
が可能であり、その膨大な情報容量と超高速演算速度を以てすれば、
・「記憶や人格の模倣再現」
も不可能ではないことになります。
そして、現時点では
・エアリアル+ガンビットのパーメット製人造脳に複数の人格が模倣再現されている
可能性が示唆されているだけです。
しかしながら、「太陽系規模の超高速通信情報ネットワーク」であれば、
人類精神昇華=人類全員の心をパーメットリンク・ネットワークに転写する
ことも理論上は可能なのではないか予想できます。
言ってみれば、
・コードギアスの「Cの世界」(死者を含む人類の集合無意識)≒太陽系規模のパーメットリンク・ネットワーク
だということです。
従って、
・「ラグナレクの接続」=人類の集合無意識の強制的融合による「嘘のつけない世界」実現
に匹敵する
・「人類精神昇華」=全人類の心をパーメットリンク・ネットワークに転写し、疑似的な「不老不死と仮想現実提供による楽園」実現
のような陰謀とかを目指せることになる訳です。