「パーメット」及び「GUND」考察
パーメット
太陽系内に偏在する鉱物から発見された元素。個々のパーメット間で情報を共有する性質があり、パーメットを素材や推進剤などに混合させ制御することで様々な技術が開発される。パーメットを人体に流入させる身体機能拡張技術は宇宙に進出する基盤と考えられている。
GUND
パーメットを利用した身体機能拡張技術。GUND技術を軍事転用したシステムは「GUNDフォーマット」と呼ばれ、これを搭載したモビルスーツは「GUND-ARM」と総称される。
1 基本性質
「個々のパーメット間で情報を共有する性質」
とあることから、伝達/制御系の情報素子として優秀な素材であることは確定でしょう。
個人的には、
「太陽系内に偏在する鉱物から発見された元素」
という部分に関しては懐疑的ですが、ある程度流通させても問題ない位には採掘可能な物質ではあるのだと思います。
2 応用技術
「パーメットを素材や推進剤などに混合させ制御することで様々な技術が開発される」
という部分に関しては、ミノフスキー粒子と同じく、仮想元素を導入することで、現状の科学技術では実現不可能なことが実現できるためのギミックとして導入されているという理解で良いでしょう。
3 身体機能拡張技術(人間拡張/人間強化)
従来のガンダムシリーズとの決定的な違いは、
「パーメットを人体に流入させる身体機能拡張技術は宇宙に進出する基盤と考えられている」
という点です。
「人間拡張」(Human Augmentation)/人間強化(Human enhancement)とは、一時的か永続的かを問わず、現在の人間が持つ認識および肉体能力の限界を超えようとする試みを意味します。
また、「人間強化技術」 (human enhancement technologies, HET) は、単に病気や障害に対処するために使うものから、人間の能力や特性を強化するために使うものまであります。一般的には、ナノテクノロジー、生物工学、情報技術、認知科学を集約してヒトの能力を向上させることを指すのに使われているようです。
本作品では、「パーメットを利用した身体機能拡張技術」を「GUND技術」と総称し、その技術を軍事転用したモビルスーツを「GUND-ARM」と呼称するようです。
4 「GUND-ARM」の本質
「GUND-ARM」は、「モビルスーツを身体拡張として扱う技術」です。
言い換えるなら、「運動や認知等の身体機能を拡張すること」が本質で、その「拡張した機能は戦闘でも有利になる」という位置づけです。
従って、「ARM」は「兵器」ではなく、「腕(身体拡張)」と解釈するべきで、
「GUND-ARM」=「GUND技術で拡張した新たな身体」
と訳するのが正しいことになります。
5 ルブリス/エアリアルの自我の位置づけ
現時点では「プロローグ」におけるルブリスの振る舞いや「ゆりかごの星」のエアリアルの一人称の語りについては、様々に解釈が可能です。
ただ、個人的な妄想も混みで言うならば、
「パーメットを構造化することで脳と同等機能を獲得した末の鉱物系知性体」
という仮説を推したいと思います。
分かりやすいイメージとしては、漫画「ARMS」に出てきた
「ARMS」=「ナノマシン状鉱物系生命が知性と人格を獲得した存在」
が近いでしょう。
6 「トランス・ヒューマニズム」の理想としての「人機融合」
「トランス・ヒューマニズム」(Transhumanism)とは、新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想を指します。
「プロローグ」の発言を見る限り、カルド・ナボ博士は、筋金入りの「トランス・ヒューマニスト」だと評価できます。
ただ、
「パーメットを利用した身体機能拡張技術」=「GUND技術」を「GUND-ARM」として応用した
というのは自然な流れですが、
「構造化パーメットが自我を獲得した」
ということまで当初から想定していたかは疑問です。
ただ、人間の身体でも、「自律神経系」という名前の通り、24時間年中無休で自律的に活動する部分システムが既に存在する訳ですから、
「拡張した新たな体=GUND-ARM」の「自律神経系」=「構造化パーメット知性体」
位の認識で、特に問題を感じていなかった可能性は高そうです。
その意味では、
「GUNDフォーマット」で強化した人体+「GUND-ARM」+「構造化パーメット知性体」
という組み合わせは、
「人類の進化した姿」=「トランス・ヒューマニズム」の理想としての「人機融合」
の体現だったとは言えそうです。