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記録とか、記憶とか、

今の時代、ゲイですっていうのは、それほど隠すことでもないと言われるかもしれない。
でも、それでもなお、僕は自分のセクシャリティをオープンにしていない。
自分のことをここに書いていくことで、誰かの目に留まることで、こういう人もいるんだなっていうことを理解してもらえたらいいなと思ってnoteを始めることにした。
たまに有料記事にすることもあると思う。
個人的なことだったり、公にしたくないことも書いていくので、もし気になる人がいたら、有料記事もご覧ください。


生い立ち

地方の、ベッドタウンと呼ばれれば聞こえはいいかもしれないけれど、車社会が当然のような、いわゆる田舎で生まれ育った。
おとなしい子どもだったと両親は言う。
自分でもおとなしかっただろうなと思う。
人見知りの激しい子どもだった気がする。
それは大人になった今でも変わらないけれど、人見知りが激しくて、母親の後ろに隠れているような、そんな子どもとして育った。

うちには姉と妹がいる。
男は僕一人だ。
田舎あるあるだろうけど、両親、そして祖父母から言われていたのは「うちの家系を継げるのはお前だけだ」ということ。
この苗字を絶やすことなく、これからもずっと、維持していくために、僕はいるんだと教育される。
由緒正しいお家柄というわけでもない。
よくありふれた苗字だ。
でも、この苗字を継いでいくのは、僕の生まれてきた意味なのだと教えられて育った。

女の子と結婚して、子どもを産んで、育てていく。
幼少期、そこに疑問はなかった。
むしろ、早い段階で結婚して、若いお父さんとして運動会で活躍したいとすら思っていた。
「お前のお父さんかっこいいな」と、まだ見ぬ自分の子どもが友だちから言われているのを想像した。

初恋は小学生のとき、同じクラスの女の子だった。
スポーツが得意な子だった。
目が大きくて、ショートカットで、よく笑う、活発的な、クラスでも学級委員をするような子だった。
可愛いなと思った。
これが人を好きになることなのかなって考えた。

その子が別の男の子と付き合ったという話を耳にしたのは中学生の頃だった。
中学生になっても、僕はまだその子のことが気になっていた。
でも同時に、その子が別の男の子と付き合っていることに安堵もしていた。
なぜかはわからない、でも、安堵していた。

その子が付き合うことになった男の子を目で追うようになるのに時間はかからなかった。
スポーツができて、みんなの輪の中心にいつもいるような、活発な男の子だった。
サッカーが上手だった。
笑顔がキラキラしていた。
授業中、その子と一緒のチームになるとドキドキした。
その男の子と喋りたいと思った。
その男の子に触れたいと思った。
その男の子と付き合うって、どんな感じなんだろうと考えた。
手を繋ぐのだろうか、一緒に帰るのだろうか、学校が休みの日は一緒にお出掛けするのだろうか。
女の子に対して、嫉妬するような感情が芽生えていることに、まだ気づいていなかった。

認識

中学校を卒業して、高校に入学した。
地元から少しだけ離れた高校に入学した。
ぜんぜん知っている人がいないような、まっさらな気持ちで始められるような高校生活だった。

高校生になると、誰と誰が付き合うとか、どこまでやったとか、そういう話に華が咲く。
僕も同じように、その話題に入るべく、同じ部活の女の子に告白して、付き合うことになった。
初めての彼女だった。

一緒に部活に行って、一緒にお昼を食べて、一緒に休日を過ごした。
周りのみんなから、野次が飛ぶ。
照れるように笑いながら、彼女と一緒に過ごす。

びっくりするくらい、楽しくなかった。
ほんとうに、ちびるくらい、楽しくなかった。
女の子と手を繋いでも、女の子の身体を触っても、どうして僕はこんなことをしているんだろうって、冷静に自分を見つめていた。

付き合って2ヶ月が経とうとしていたとき、彼女の友人経由で、罵られた。
「ほんとに男なの?意気地なし」
キスもしてない、家に呼ぶこともしない、相手の家にも行かない、連絡も全然しない、そういう、僕の行動すべてに対しての言葉だった。

だよねって思った。
こんな、付き合っているのに、恋人がするようなことを何もしていない関係なんて、意気地なしだと思われても仕方ないよねって。

付き合って3ヶ月目、僕は彼女と別れた。

それから時は過ぎて、高校2年生になった僕は、アルバイト先のカフェで知り合った大学生のお姉さんとよく一緒に行動することが多くなった。
その人のことを好きとか嫌いとかじゃなくて、当時応援していたアイドルが一緒だったからだ。
そのアイドルのコンサートに行ったり、グッズを買ったり、とにかく、一緒に行動することが多かった。

ある時、アイドルのコンサートが遠方であった。
一緒に行かないかと誘われた。
ホテルに泊まろうと言われた。
僕は素直に、頷いた。

コンサートが終わって、夜、ホテルに到着する。
シャワーを浴びて、ベッドで待機する。
コンサートの感想を言い合うため、僕は興奮していた。
彼女も当然、コンサートの興奮が冷め止まなかった。

肌と肌が触れた。
いつも、普通に触れ合っている肌と肌なのに、ちょっと、違う雰囲気になった。
彼女が、僕の腕を掴んだ。

あ、そういうことか、と思った。
これ、セックスするんだなって。
初めて女の人とキスをした。
初めて女の人の裸を見た。
初めて女の人の身体の中に指を入れた。
高校2年生の冬だった。

恋するということ

アルバイト先の大学生と初体験を終えてから、僕はいっそう、女の子への興味をなくしていった。
キスして、ハグして、セックスして、それで、終わった。

高校では、大学生と初体験したっていうことでみんなの先をいってる存在になっていた。
けど。
気になるのは同級生の男子たちだった。
運動ができて、みんなの中心にいるような男子に目を奪われ続けていた。

先輩に恋をしたのは、だから必然だった。
1つ上の先輩だった。
音楽が得意な先輩で、学祭でライブをするような人だった。
癖毛で、ひょろっとしていて、笑うと八重歯が見える先輩だった。
先輩に会いたくて、昼休み、先輩のいそうな場所をうろうろした。
先輩と喋りたくて、いつもうずうずしていた。

男の先輩だった。

この気持ちは、打ち明けなかった。
打ち明けてはいけないことだと思った。
男が気になるなんて、おかしなことだと思った。
だから、自分は変なのだと。

なのに、どうして、いつも、僕は男の人ばかり気になるのだろう。
女の子よりも、男の人ばかりに目がいってしまう。
学校でも街中でも、いつも気になるのは男の人だった。

自分がわからなかった。

目覚め

大学は、親元を離れて一人暮らしすることになった。
受かった大学が、家からは通えないような場所だったから。
地元の大学へ進学しないのかと散々言われたけれど、僕は一人暮らしをしたかった。

初めての一人暮らしで、まずやったこと。
それは、パソコンで、男の人同士がセックスしている動画をみることだった。
いわゆるゲイポルノだ。
男の人と男の人が、愛し合っている姿を見続けた。
学校から帰宅すると、パソコンでずっと、そういった動画を探し続けていた。

男の人と触れたいと、切に願った。

薄々勘付いてはいた。
自分は女の人より、男の人に興味があるのだと。
でもそれを、見て見ぬふりしていた。
だって、女の人と結婚して、子どもを産んで、育てていくのが、僕の使命だから。
それ以外の選択肢を持つこと自体、いけないことだったから。

一人暮らしをしてから、親の目がなくなって、僕はどんどん、男の人同士の恋愛に興味を抱き始める。
男の人と、抱き合いたい。

でも、どうやって?

当時、どうやったら男の人と出会えるのかわからなかった。
だって、いわゆるゲイという存在は、僕からしたら遠い世界の住民たちだったから。
どうやったら男同士の出会いがあるのかわからなかった。
だから、必死に探した。
そして行き着いたのが、発展場だった。

初体験

男の人と初体験するために、僕は発展場と呼ばれる場所に向かった。
事前にどういうシステムなのかを調べ上げて、ドキドキしながら向かった。

この初体験のことは、また別の機会にでも書こうと思う。

やっぱり、僕は男の人が好きなんだと実感したのが、この発展場での初体験だ。
男に触れること、男に触れられること、男とキスすること、それらすべてに興奮した。
認めるしかなかった。
僕は、ゲイなのだと。

そして今

不細工だと罵られることもなく、イケメンだと称賛されることもないような容姿に生まれたため、僕はたぶん、かなりの男の人とセックスしている方だと思う。
かなりの人数って、どれくらいなんだろうと感じるかもしれない。
ざっと計算して、4桁はいっている。
これを書いている今日も、男とセックスした。

ゲイとして生きていて、不便だと思うこともある。
逆に、良かったと思うこともある。

性生活に関していえば、良かったのかもしれない。
ゲイの世界にもカーストは存在する。
むしろ、一般的な、いわゆるノンケの世界よりも、カーストは厳しいかもしれない。
だから、不細工でもイケメンでもない風貌な僕は、カースト上位でも下位でもないところにいるから、結構な頻度で、セックスをする。

セックスに関しても、また別のタイミングで書いていけたらいいなと思う。
ゲイとして、僕がどんな性生活を送っているのか。
それを読んで、何か得るものはないと思うけれど、興味のある人がいたら、読んで欲しい。

長くなった。
簡単に自己紹介ができたらいいなと思っていたのに、長い文章になってしまった。

でも、これが、30代のゲイの、素顔だ。
よかったら、これからも読んでほしい。

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