矢印の向く方向。繋がる思い。結合点。 後編

わたしの名前はリンカ。
とある中核都市に〜・・・
高校の一年生。

わたしは、かわいい。
それは自他ともに認めるところ。
どこにいても男のコたちもおじさんも、
みんなわたしを見て振り返る。

ホントはSNSを使って
世界にわたしのかわいさをアピールしてもいーんだけど、
結局そーゆー売り出し方ってどっかで限界がくるっぽい。
だから理想はスカウト。
「こんな片田舎にこんな美女が!」って
衝撃的じゃない?笑

で、選んだのが軽音楽部。
運動部のマネージャーってなんか泥臭いし、
汚いユニフォームとか洗濯したりとかでしょ?
そんなのわたしに似合わない。
なによりこの高校には
「RANDY」がいる。

「RANDY」は色んな大会とかにも出てて
地元では若いけど割と有名な存在。
ツアーに来るインディーズのトップの人たちにも一目置かれてる。
そして、ギターでリーダーのカズイさんのお気に入りが、わたし。
地元のライブでは、
そのインディーズの人たちに
わたしのことも売り込んでくれてる。
そんなことしなくても目には止まると思うけど、
使えるもんは確実に使わないとね。笑

で、
しいてゆうなら
ボーカルがよくなればもうひとつ上にあがれる。
ってカズイさんがゆってた。
ベッドの上で。
・・・使えるもんは使わなきゃ。笑

それから間もなくして、
ボーカルのタイチは脱退した。
理由は女の取り合いだって。
わたしじゃん。
まぁしょうがないよね。
よくある話。

・・・ここまでは計画通りだった。

新しく加入したのは、ケイイチ。
同じ学年の隣のクラスのコ。
歌唱力は、まだ荒削りだけど
タイチよりも遥かに上。
カズイさんと並んでも見劣りしないくらい
スタイルも悪くない。
ギターも猛特訓してるみたいだし、
「RANDY」としては明らかに
1ランクどころか
2ランクも3ランクも上がる。

・・・でも。

許せないのは、
わたしに対して何の興味も示さないところ。
最初は、カズイさんに遠慮してるのかなって思ったけど、
少しいればわかる。
2人きりになっても何も話してこない。
それは、
照れてるとか奥手とかじゃない。
明らかに、関心がない。
この、わたしに対して。

多少性格が悪いのは自覚してる。
でもそれを上回るこの見た目があるから、
そうそう嫌われることはない。
でもまだ、嫌われるならいい。

・・・無関心が一番キツい。
気づいたら
彼を目で追ってる自分がいた。
悔しい。振り向かせたい。
ただその一心だった。
カズイさんもそんなわたしに気づいていた。
でもカズイさんは、
それよりも「RANDY」のステップアップを望んだ。
タイチのときにはあんな取り合ったのに。
音楽ってそんないいものなの?
そう思ったけど・・・

ケイイチの場合は違った。

ケイイチには付き合ってる人がいた。
音楽に負けたんじゃない。
女に負けた。
それがめちゃめちゃ悔しくて、
どんな女なのか、3年のクラスに確認しにいった。

・・・・・はぁ?

全然わたしの方が上じゃん。

そう思ったら、
意味がわかんなくなった。
いてもたってもいらんなくなって、
そのまんま気持ちをぶつけた。


『わたし、ケイイチくんが好き。
ねぇ、あんなおばさんのどこがいーの?
早く別れてわたしと付き合ってよ。
わたしと付き合ったらみんなに自慢・・・』
『そーゆーとこだよ。』

『・・・え?』

『好きな人がいなかったら付き合ってたかもしんない。
かわいいって思ってたかもしんない。
でも僕は、周りに自慢するために誰かと付き合うわけじゃない。
それに・・・』

『なによ。』

『僕の好きな人もだいぶ無邪気なヒトだけど。笑
自分が好きな人が大切に思う人を、
下に見たり、おばさんて言ったりしない。
人をけなしたりしない。
相手の気持ちも考えないで「早く別れて」なんて絶対に言わない。
・・・そうゆうことだよ?リンカちゃん。』

・・・なにそれ。
意味わかんない。
同い年なのにわたしに説教する気?

ムカつくんだけど。

・・・ムカつくのにっ・・・

なんかすごい刺さって、
涙が止まんなくなった。

『あぁぁごめんリンカちゃん・・・!
泣かせるつもりはなかったんだ・・・
ゴメンてぇ・・・!』

・・・あぁなるほどそーゆーことか。
わかった。


わたしは、初めて人を好きになった。


慌ててんのかわいい。笑

有名になることは諦めないし、
この性格は簡単には直せないけど。
いつか表面も内側も魅力的になって、
この人を振り向かせたい。
そう思った。

・・・てか、
そんなケイイチくんを振り向かせたリリさんてどんないい女なんだろう・・・
いつか研究してみたいな。


『ケーイくぅーん!!!』

『えっリリさんクミさん、待っててくれたのー?』

『てかどこ探してもいないし・・・
まさか浮気してないでしょーね・・・』


『するわけないよー
僕にはリリさんだけだよ?』

『えっなによちょと・・・急にかっこいいじゃん。』

『そう?
てゆうかさ、敬語やめてい?』

『えっ・・・う、うん・・・
え何ちょっと・・・音楽はじめてカッコよくなった?』

『そんなの関係ないよ。笑
僕はずっとリリさんのそばにいるよ?』

『えっちょっ・・・なにぃ?
ゲイぐぅん・・・・・好ぎぃ・・・』

・・・あーなんか・・・いーなぁ・・・
わたしもヨースケさんとえっちしたくなってきたぁ・・・
・・・いーなぁ・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?