自然。矢印の向く方向。大切なヒト。②#18禁

〈 クミの場合 〉


月曜日。

先週の月曜は始業式が終わったあと
ヨースケさんと運命的な出会いを果たして、
あんなことやこんなことをした。

詳しく話すのは恥ずかしすぎるから
前のお話読んでね。笑

出会い方は衝撃的でえっちだったけど。
でも今までの、色んなのを全部ぶっ飛ばしてくれるくらい、
ヨースケさんは優しかった。

結局、昨日もこないだもお母さんは帰ってこなかった。
今までだったらリリとかに心配かけちゃダメって、
お父さんいないのもお母さん帰ってこないのも、
慣れたフリして。
バカなフリして。
実際慣れたと思ってたし、そこまでお利口じゃなかったし。
でもなんかそんなのも、麻痺してただけだった。
ヨースケさんは、そんな無意識の麻痺すらも、
空の向こうまでぶっ飛ばしてくれた。笑
全部さらけ出させられて、包んでくれた。

だって、今日ほんとに心の底から平気だもん。
それがはたしていーのかはわかんないけど。笑
でも、わかんない未来より、
幸せな今があるから、それを味わいたい。

『・・・んっ・・・』
クチュクチュクチュ・・・

・・・そしてヨースケさんは、スゴかった。
一週間経った今でもカラダ全体で覚えてる、
忘れられない、
今一番鮮明な記憶。

『んんっ・・・・・!!!』
ビクンッビクンッビクンッ!!

・・・さて。ガッコ行こ。


2学期がはじまって最初の、週末明けの月曜日。

ここは、とある中核都市に隣接する
山間の町の高校。

『クミおはよー。』

『あっ!リリおはよー!』
・・・あれ?
リリ、なんか雰囲気違う・・・
・・・そっか。なるほどねぇ。

『ねぇクミ、あとでちょっといい?
報告したいことあって・・・』

やっぱり。
ちょっと焦らしてみる。
『えっ、そんなのここでいーよぅ。』

『ううん。ちゃんと伝えたくて。』

『え?ンライでもなく?
(ンライ=SNSの一種)』

『うん。
こーゆーのはちゃんと言葉で伝えた方がいーと思ったんだ。』

へぇ・・・。
よっぽどいー人と出会ったんだねぇ。
だって、
リリにしては珍しい。
こーゆーの結構ナイショにしがちだから。
まぁおたがいさまだけど。
でもわたしは、
特にリリのことなら
割とちょっとした変化にも気づく。
わたしの勘をナメないでよねー。
なんでもお見通しなんだから・・・


『・・・・・っ!!!
えぇーーーーーーっ!!!ケイくんとぉーーーーーー!?????』

『ちょクミ声おっきいてば・・・』

いやちょっとケイくんは反則でしょ・・・
びっくりしたぁ・・・。
ケイくんは、
わたしたちがいる化学部=帰宅部の
2コ下の後輩。
かわいくて、リリのお気に入りだった。
リリがいっつも誘惑して面白がってるのも知ってるし、
ケイくんがリリのこと好きなのは
多分部員全員が気づいてる。笑

でも、リリのこれだけの変わりようは多分そんだけじゃないはず。
・・・だけど、
そんなの聞くのも野暮だし触れないであげよう。
リリがしあわせならそれでいーし、
それに、
触れたら多分あたしのことも話さなきゃいけ
『で?クミは?』

『へぇ?』

触れんのかい!!!笑

・・・まぁしょうがない。
わたしとリリの仲だもん。
そりゃ気づくよね。笑


わたしとリリの出会いは小3のときだった。

お父さんが女つくって出てっちゃって、
お母さんもあんま家に帰ってこないから、
家賃もったいないからって、
お母さんの実家のあるこっちに転校してきた。
当時はまだ色々わかんなかったから
こっちの同級生の色々聞いてくんのに困ってた。
そんなとき、
ちょっと離れた場所にリリがいた。

ちょっとガッコの人間関係ミスったみたいでハブられてたみたいだけど。
当時のわたしには、
そんなリリとの距離感が心地よかった。
なんにも前のこと聞いてこないし、
適度な距離感。
家でひとりぼっちなことも、
リリといると気が紛れて、救われた。

初めて家に呼んだとき、
隣のおばちゃんが何か話したんだろーね。
ちょっとだけリリが優しい雰囲気に変わったけど、
そんときもなにか詮索してくることはなかった。

なにかしてくれたわけでもないけど、
わたしにとってリリは、
ここまでの人生の支えだった。
隣にいてくれるだけで。
・・・いや大げさか。笑


リリがちゃんと報告してくれたこともあって、
わたしもヒミツをちゃんと報告した。

・・・伝えすぎた。笑
「展開がエロすぎて入ってこん」って。
確かにね。笑

でも、ヨースケさんは
リリと同じくらいわたしを助けてくれたんだよ?
それはホント。
だから、
いつかリリにもヨースケさんに会ってほしいなぁ。
リリにはケイくんもいるし、今ならだいじょぶ。


ンライッ

あ、ヨースケさんからだ。
噂をすれば。

【今日またこないだのとこ泊まるけど。
クミも来る?】

え。ちょ。
・・・あヤバい思い出しちゃた。

『どしたのクミなんかえっちな顔なってるけど。笑』

ヤバいヤバいヤバい。

『例の、ヨースケさん?』

『う、うん。』
ヤバい。

『そっかぁ。
いつかあたしも招待してくださいって伝えといてよ。』

あっ。なるほどねー。
ケイくんも誘って。
おもしろそう。
あとはヨースケさん次第。

とりあえず返信。
スススッ・・・スッ
【いく!】

続く→


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