見出し画像

いつも心にGジャンを。

ジョン・メイヤーとダン・オーバック、時々トニー・ジョー・ホワイト

7月16日にリリースされる、ジョン・メイヤー待望のニュー・アルバム『SOB ROCK』が楽しみでなりません。

どう楽しみかというと、それはもうジャケットをご覧いただければわかる。

画像1

中古盤ではない。なんと、これから出る新譜のジャケットです。

「ま、まままさか、ヨット・ロック!?」
と思った人、たぶん、ほぼほぼ正解です。

今回は、ジャケ買い精度200パーセント。
2021年のヨット・ロックって、こういうことか。
ただし、シティ・ポップスでもなければAORでもない。
ロック。
だって、ジョン・メイヤーだもの。
ただし、いつの間にかちょっと遠くに行ってしまっていた類のロック。
みんながよく知ってるし、なじんでいるし、いつでも手をのばせばそこにあるアタリマエのものだと思っているけど、いざ欲しいと思った時には見つからなくて「そういえば、どこに行っちゃったんだろう」と恋しくなるような。そんな音楽が詰まったアルバムになるみたいですよ。

現時点、アルバムから4曲がEP『Last Train Home』として先行ストリーミング配信されているのですが。タイトル曲をはじめ全曲それぞれ素晴らしくて、まいっちゃいました。ジャケどおり、80年代の匂いぷんぷん。私の世代には心地よい郷愁たっぷり、若い人にはすごく新鮮なはず。そして、そんなコンセプトの中でのメイヤー節はよけいにセンチさが際立っている。単に古い味わいをほじくっているだけではないのが、彼らしい。最近のそういった音楽にありがちな、ややナナメにかまえて照れ隠しに半笑いでパロディっているような部分は皆無。本気。

で。現在、Apple MusicとSpotifyでEPのジャケとして公開されているスペシャル・コラボのアートワークがまた、最高すぎて泣ける。胸キュン。

画像2

21世紀になってからというもの、こんなにもNICE PRICEシールが似合う新譜があったでしょうか。
しかも、この値札シール!これはアップルのですが、Spotifyのほうはちゃんと緑のシールでロゴもついているのよ。凝っているー。

「Last Train Home」のMVも公開されたばかりですが……これがまた!

完璧です。
ライダーズの着こなしの、現代にしてはややルーズフィット気味の絶妙さとかも。
こう、髪型の微妙にふわっとしすぎ感とか(いや、これはデフォルトかw)。
完全に80年代MTVジェネレーションのトキメキ。
このMVが終わると、若き日の小林克也が出てきそうな。あるいは、ピーター・バラカンと森川由加里が出てきそうな。

しかし、こうしたシチュエーションで見るとますますメレンキャンプっぽい。
ああああああああーーーー。
素敵すぎて、クラクラします。
たまらんです。

そう。誤解を恐れずに書いてしまうけれど、本気でダサい
何度でも書く。
本気でダサい

しかも、いい意味で

いい意味でダサい

現代において、これだけのクオリティで「いい意味で、本気でダサい」という音楽がいったいどれだけあるというのだ。しかも、ジョン・メイヤーだぞ。

このジャケットを初めて目にした時、私の脳裏に浮かんだのは《覚醒》という2文字だった。泣かせた女は星の数、世界一と言っても過言ではない超モテモテ男だったジョン・メイヤーであるが、それなのに、なぜかデビュー以来ずっと「私服がダサい」がトレードマーク。いや、正確には私服だけではないな。ステージ衣装も、ジャケ衣装もダサい。専門家に聞いたところ、彼のファッションは公私ともにトップクラスのスタイリストやデザイナーがついていて、なので、実際はめっちゃオシャレということらしいのですが…。なぜか、公私共にダサいと言われる。なのに、テイラー・スウィフトもケイティ・ペリーもハリウッド女優もスーパーモデルも虜にする男。

それはつまり…服に負けるのではなく、服が負けるんだよ。


どんな服でもおしゃれに着こなすのがスーパーモデルの仕事ならば、どんな服もダサく着こなすのが新・世界三大ギタリスト(誰が考えたかしらないが、これこそダサいからもう死語にしよう)にして、現在はなんと「グレイトフル・デッドのひと」にまでなってしまった当代最高のブルースマンすなわちジョン・メイヤーの仕事といえよう。

長年ずっと、私はジョン・メイヤーの私服(←正確にはステージ衣装も準・私服としてカウントする)のダサさを愛してきた。
そのダサさに耽溺してきた、といっても大げさではない。
私が会った何人かのメイヤー萌えの女子にも聞いてみたところ、誰ひとり「やめてください、メイヤーの私服はカッコいいです」と怒った人はいなかったので、たぶん、それはそれでアリなのだと思う。
カッコいい私服が見たいなら、若いアイドルでもメンズノンノのモデルでも見ていればよいのだ。

ある意味で何もかもを手に入れた男であり、さらには母性本能をキュンキュンさせる濡れ子犬の瞳をした超ハンサムでもあり、なのに「なぜか私服がダサいw」と言われ続けるというのはもう、ある種の圧倒的な天性だ。ダサいの天才。冷静に考えてみればわかることだけど、そんな男だからこそ、あの音楽が生まれるのだ。

ジョン・メイヤーの私服のダサさとは、ひょっとして眠れる獅子のような……つまり、彼の奏でるブルースと同じように、たとえば、なにか、薄っぺらい消費社会へと堕落した現代社会に対する物凄い武器になりうるのでは、と、常々思っていた。私だけではない、たとえ無意識下だったにせよ、彼を愛する人々の多くは薄々感じていたのではないだろうか。

ただし、今回は、事情がやや複雑だ。
今回の「いい意味でダサい」は、これまでの「ハイ・ファッションの装いなのにダサい」状態とは違う。80年代だったら最高にカッコよかったはずなのに、今は「ダサかわいい」とか「古さが逆に新鮮だよねー」とか言われるような美学にあえて真っ向から挑み、結果として、それを最高にカッコいいものにしてしまったのだ。どんな服にも負けない、天性としてのダサ才能と、コンセプトとしてのダサさ…の合わせワザ。

言うなれば、ジョン・メイヤーの弾くロバート・ジョンソンはなぜあんなにカッコいいのか…という問いに対する回答がここにあるのではないだろうか。

というわけで、ほとんどジャケの話しかしていませんが、前述のようにジャケ買い精度200パーセントなので、まだ4曲しか解禁になっていない段階なので断言はできないものの、これはたぶん音楽にもまるまる通じることと思います。

このダサさは《覚醒》の証だ。そうとしか思えない。

アルバム・タイトル『SOB ROCK』のSOBとは、つまりサノバ…の略ということでよいのでしょうか。今回、ジョン・メイヤーのめざすところが“最高にカッコよくて気持ちいい、ダサいロック”であることを期待しつつ、アルバムのリリースを楽しみに待ちたいと思います。

公式サイトにはすでにマーチャンダイズもあるのですが、これまた最高なんです。

画像3

フットルースか(笑)。

着る勇気はないけど、最高です。

ところで。
私は昔からジョン・メイヤーのGジャンについて話しだしたら止まらないのですが。彼のGジャンの着こなしにおける"ピュア‘’の発露ぶりたるや、対抗できるのはジェームズ・ディーンか、デビュー当時の光GENJIしかいないのではないかと思う。それくらい、神がかっている。

Gジャンの着こなしっていうのは“少年性”のリトマス試験紙だ。

表層的に若々しく“永遠の少年”を装うことをしなくても、たとえ見た目は立派に成熟したオッサンであっても、Gジャンを羽織った瞬間に内側から染み出してくるものがあるんだよね。個人的にはヴィンテージの高価なGジャンを着ていても、どーしてもジーンズメイトで買ったエドウィンに見えるような大人に憧れる。なんていうか、絶妙なダサさがあってこその気高くピュアな少年性というか。

ま、そういう意味では、今回もメイヤーさんの最高のGジャン頂きましたよ!

画像4

最高でしょう。

この、襟の立てかたからして最高。昨日今日の襟じゃない。
これにかなうGジャン・アダルトは、ダン・オーバックくらいしかいないのでは。

あれ、そういえば、なんか既視感がある……と思ったら。

画像5

あっ! オーバック先生!

なんと、中のシャツまで同じではありませんか。

こうなったらジョン・メイヤーとブラック・キーズでコラボして、21世紀のジーンズ・ロックの金字塔を打ち立ててほしい。そんな妄想も湧いてきます。

と、へらへら笑いながら、ダサいとかGジャンとか書いていたら、この夏、おそらく自分史上もっともダサいファッションアイテムが到着。

ダン・オーバック先生のEASY EYE SOUNDから、待ちに待った3点セット。

画像6

いやー。やばい。想像以上だ。素敵すぎる。

トニー・ジョー・ホワイトTシャツが素敵。是非ともGジャンに合わせてコーディネイトしたい、テッパンのGジャン・ジャケ柄

あまりにもうれしくて、おしゃれブロガーの毎日ファッションコーディネイトSNSみたいな写真を撮っちゃいました。

去年の夏は、毎日、ポール・サイモンのフェアウェル・ツアーのキャップをかぶって散歩に出かけた。今年の夏は、このEASY EYEキャップにトニー・ジョーTで出かけよう。そして、時の流れにも揺るがないダサさを磨くんだぜ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?