能地 祐子

さまざまな種類の音楽を聴いて、いろんなことを言う仕事をしています。本を読んだり映画を見て、いろんなことを言うのが趣味です。

能地 祐子

さまざまな種類の音楽を聴いて、いろんなことを言う仕事をしています。本を読んだり映画を見て、いろんなことを言うのが趣味です。

マガジン

  • ノンサッチ自警団新聞archives

    米ノンサッチ・レコードを愛するノンサッチ自警団が不定期発行しているニュースレター〈ノンサッチ自警団新聞〉のバックナンバー書庫です。since2019

  • 東京スケバン日記

    ただひたすら日記です。

  • REVIEWS

    音楽や映画や本や、その他いろいろなレヴューです。

最近の記事

ノンサッチ自警団新聞/ダヴォン・タインズ&THE TRUTH『ROBESON』

【ノンサッチ自警団新聞🗞️ダヴォンとロブスンが出会う刻】今もっとも注目されるバスバリトン、ダヴォン・タインズが自らの音楽ユニットTHE TRUTHと共に伝説の歌手/俳優ポール・ロブソンの人生と溶け合う。大きな、大きな意味でのソウル音楽の未来が見える。 この豊かな音宇宙、あえて説明するならば“クラシカル・アメリカーナ・エレクトロ-ゴスペル・アシッド・トリップ”と評されると聞いて、うまいこと言うものだと納得。 特に日本では「オール・マン・リヴァー」などは知られていても、クラシッ

    • 【ノンサッチ自警団新聞】ローリー・アンダーソン『AMELIA』

      ローリー・アンダーソンの新作『AMELIA』 はアメリア・イアハートのラスト・フライトを題材に、彼女のフライトログを頼りに物語が綴られていく。 あまりのリアリティに何度も苦しくなりながらも、その世界観にとりつかれて、繰り返し繰り返し聴いてしまう。 飛行機のエンジン音には、ルー・リードのギター・ドローンが、ローリーのヴィオラなどと混ぜて使われていると知ると、また様々なことに思いを馳せながら聴いてしまう。 参加しているミュージシャンも、ローリー様の想いを実現するための最高のメン

      • パリ・オリンピック閉会式

        パリオリンピック閉会式 オリンピックは時差がでかい。 「あのオリンピックは昼間の仕事をおろそかにする言い訳にしまくってたなー」とか、「あのオリンピック期間中はずっと昼夜逆転していたなー」とか、「あのオリンピックは毎朝6時起きの超ヘルシー生活を送っていたなー」とか、過去のオリンピックを振り返ると競技のことよりも時差のことばかりを思い出す。まぁ、これも、その気になればオリンピックに合わせて生きられる自由人ならではの贅沢ってことかもしれないが。午前3時に始まる競技など見られるはず

        • おかげさまで。

          おかげさまで。 いやぁ、しかしまぁ、それにしてもだな。 「2024年、おまえは大滝詠一が還暦にあつらえたナイアガラ印のちゃんちゃんこを着て『ロンバケ』の次のアルバム『EACH TIME』の40周年再発アナログ持って新宿ロフトの前で踊ってるよ」と、パーキングエリアで口笛吹いて夜を感じてる10代の自分に教えてやりたい。 きっと、何ひとつ信じないだろう。 とにかく、おかげさまでそんなことになっている。 ナイアガラ・エンタープライズのご厚意により、鈴木雅之さんも野宮真貴さん

        マガジン

        • ノンサッチ自警団新聞archives
          30本
        • 東京スケバン日記
          65本
        • REVIEWS
          28本

        記事

          速報!キャロライン・ショウ&ソー・パーカッションの新作、本日リリース

          【ノンサッチ自警団🗞️速報】ついに!キャロライン・ショウ&ソー・パーカッションのコラボ第3弾『Rectangles and Circumstance』がリリースされましたので、とりいそぎのお知らせ。いやー、もう、なんなんだこれは。何拍子かさっぱりわからないくらいややこしいのに、めちゃ楽しい。かっこいい。どこのどなたに向けてというわけではないですが、どこかにいる誰かに届けたくて思わず速報を出すほどに最高すぎました。 パンチ・ブラザーズが好きな人にも、テイラー・スウィフトが好きな

          速報!キャロライン・ショウ&ソー・パーカッションの新作、本日リリース

          追悼 デイヴィッド・サンボーン

          ウッドストック系とかラテン系の人脈とも親密で、かつ都市生活者の哀愁を帯びた洒落たフレージングが魅力的なサンボーンの音色が、「平日はバリキャリ都会人、週末は高級リゾートにひとっ飛びしてテキーラとコケーンでハメをはずす」的な80年代のヤッピー幻想の象徴としてのSNLを体現する音になった。 “サタデー・ナイト・ライヴ”のスタジオセットが醸し出す“都会の秘密パーティ”的なしつらえと、あまりにも贅沢で洒落たハウスバンドの演奏は、今では「笑っていいとも!」のセットと同じ意味合いでしかな

          追悼 デイヴィッド・サンボーン

          ダイアナ・クラール 愛のJAPAN TOUR 2024

          5月8日。 TOKYO DOME CITY HALL。ダイアナ・クラール様、2019年以来の来日公演初日でございました。 いやー、素晴らしかったです! シックなピンストライプのジャケット、ボンタン・ズボンのポケットに手を入れて泰然と登場されたお姿は、もう、青田赤道か清水宏次朗かってくらいカッコよかった。しびれた。というか、びびった。 今回はなんといっても、ベースにトニー・ガニエ、ドラムスにマット・チェンバレン。という、ディラン濃度高めトリオでの来日。高めというか、ダイアナ

          ダイアナ・クラール 愛のJAPAN TOUR 2024

          Council “BRIGHT FORMS”

          Gabriel Kahane + Pekka Kuusisto = COUNCILつい先日、4月14日にサントリー・ホールでおこなわれた、フィンランドのヴァイオリニスト、ペッカ・クーシストさんと都響の共演が「すごかった!」と評判だ。今回の公演で、クーシストさんは指揮者としても日本デビュー。 演目はヴィヴァルディ『四季』とベートーヴェンの7番。特に『四季』での弾き振りが素晴らしかった模様。うっかり出遅れてチケット買えませんでしたが(涙)、そりゃ素晴らしかったに決まっている。19

          Council “BRIGHT FORMS”

          【ノンサッチ自警団新聞】RINGDOWNデビュー

          【ノンサッチ自警団新聞🗞️名曲速報!RINGDOWNデビューのおしらせ】  キャロライン・ショウとSSWのダニ・リー、公私のパートナーであるふたりによるシネマティック・ポップ・デュオRingdownがついにメジャー・デビュー 。あまりにも超絶キュートでポップで最高すぎるので、とりいそぎお知らせの号外🩷  そして、6月にはキャロライン・ショウ&ソー・パーカッションのグラミー賞コンビによる新作も出ます。先行曲が解禁となったので、こちらもとりいそぎお知らせまで。前作に引き続き、

          【ノンサッチ自警団新聞】RINGDOWNデビュー

          映画『ブルックリンでオペラを』のオペラ備忘録

          映画『ブルックリンでオペラを』(4/5公開)映画『ブルックリンでオペラを( 原題 : She Came to Me)』。  『ゲーム・オブ・スローンズ』のピーター・ディンクレイジが大スランプ中のオペラ作曲家・スティーヴンを演じ、その妻で精神科医のパトリシアを演じるのはラブコメ女王アン・ハサウェイ。スティーヴンが散歩の途中で立ち寄ったバーで出会う、不思議な船乗り・カトリーナにマリサ・トメイ。  ブルックリンに暮らし、犬の散歩もイヤイヤなひきこもり生活のスティーヴンが5年ぶりに

          映画『ブルックリンでオペラを』のオペラ備忘録

          ジェイムス・テイラー @ 東京ガーデン・シアター

          4月6日(土)ジェイムス・テイラー @ 東京ガーデン・シアター キャロル・キングとの来日から数えると14年ぶり、ワン・ナイト・オンリーの来日公演。ほぼ、キャリアスパニングなグレイテスト・ヒッツ・ライヴ。さらには曲についての説明もけっこうたくさん丁寧にしてくれた。前半、私がソニー時代でいちばん大好きな「That’s Why I’m Here」を歌ってくれて、その前には、この曲の2番の歌詞は友人のジョン・べルーシが死んだ時のことなんだ…という話もしてくれた。ジョニ様の降臨にも

          ジェイムス・テイラー @ 東京ガーデン・シアター

          オーケストラ・ニッポニカ

          こんな不思議なことってあるのでしょうか。 という話を書きたいんですが。 とりあえず自分メモで支離滅裂です。 すみません。 ご存知の方もおられるように、私、英国Boosey Hawkesより個人輸入した“「バルトーク:管弦楽のための協奏曲」(1943)のポケットスコア柄トートバッグ”を愛用しております。この柄を見ていただければわかるように、まぁ、基本、音楽家の方が楽譜を入れるバッグです。 そんなわけで、説明するまでもありませんが、本来、「ツェルニー30番から黄色いバイエル

          オーケストラ・ニッポニカ

          日記。

          世の中、クソみてぇなやつもいるし、宝石みたいな人もいる。 でも、自分が変えられるのは自分だけで、クソを宝石に変えることも、宝石をクソに変えることもできない。 どんなにお金持ちで偉くても愚かな人もいるし、どんなに貧乏で偉くなくても聖人のような人もいる。 まぁ、聖人になれる人は少ないのかもしれないけれど、聖人のような人になりたいと願って生きることくらいは誰にでもできる。 うっかりクソにさわったら、自分までクソの一部分であるかのように錯覚をするよりはずっと素晴らしいじゃない

          黒田記念館 特別室

          黒田清輝の絵画を所蔵する黒田記念館では、切手で有名な「湖畔」、連作「智・感・情」、「舞妓」、「読書」という黒田の代表作が新年と春と秋の年3回、それぞれ2週間ずつ“特別室”で一般公開される。たった年3回、ですよ。つまり、たいがい「あ!そういえば!」と気づいた時には終わっている。それを「縁がなかった」と諦めるのは簡単だが、自分が本当にその絵を見たかったのならば「あ!そういえば!」はありえない。縁とは努力の先っちょにある、自分でつなげるものだ。と、ようやく特別室に行くことができたの

          黒田記念館 特別室

          【ノンサッチ自警団新聞🗞️ ヴァガボンが選ぶノンサッチの5枚】

          【ノンサッチ自警団新聞🗞️ ヴァガボンが選ぶノンサッチの5枚】 ノンサッチ創業60周年企画、まさに“レコ版Tiny Desk Concert”と大好評(←わたくしに)のyoutube企画、メアリー・ハルヴォーソン、ティモ・アンドレスに続く第三弾が公開されています。今回は、昨年9月にノンサッチからの2作目『Sorry I Haven’t Called』をリリースしたシンガー・ソングライターのヴァガボン。これでいいのだ!ライヴやMVなどではクール・ビューティーなイメージがあるけれ

          【ノンサッチ自警団新聞🗞️ ヴァガボンが選ぶノンサッチの5枚】

          追憶のマンハッタン・レコード

          おしゃれな繁華街にある、おしゃれなヤング洋品店のRodeo Crownsの前を通り過ぎようとした時、店頭のディスプレイに目がとまった。 「こ、こ、これは!?」 思わず二度見で立ち止まった私に気づいたショップスタッフの女子が、キュートな笑顔で教えてくれた。 「渋谷にある、マンハッタン・レコードというレコードショップさんとのコラボなんですよ♡」 うおー。 もちろん、現在のマンハッタン・レコードはもはやオレたちの考えるマンハッタン・レコードではないことは知っている。が、と

          追憶のマンハッタン・レコード