さんぽとドリフとスケバンと。
東京スケバン散歩プレイリスト《さんぽ音楽_vol.1》、
つくりました。
ほんの1か月くらい前には「やっとコロナも自粛生活も終わるねー」「今年こそみんなで集まれるねぇー」などと話していたのに。涙。去年の暮れあたりは「オミクロン株ってたいしたことないみたいだから、用心すれば大丈夫みたいよ」なんて言っていたのも懐かしい。わたしの周りでも、感染された方、あるいは身内や仕事関係者の感染で濃厚接触者になった方がぐんぐん増えています。その勢いがあまりにもすごいので、なんとなく自分もじわじわ包囲されているような感覚になります。それで、根拠もなく不安にかられて突如へこんだりすることの多い日々です。が。とにかく、もう、できることは全部やってるわけだし。あとはもう、誰がいつ感染してもおかしくない状況が終わるまで、今までどおりに気をつけて暮らしてゆくしかないですね。がんばりましょう。
で。しばらくはまた、外出の機会も少なくなってしまいそう。でも、家にひきこもっているわけにもいかないし、できる限り外に出て、用事がなくても毎日ご近所散歩くらいはしなければ…と思っておりますが。なかなかねぇ。こうもえんえん続くと、さすがに心も折れますよね。
気がつくと、近所に買い物にゆく時にもしょんぼりうつむいて歩いているわたくしがおります。
が、そんなことではいけない。スケバンたるもの、こんな時こそ元気に楽しく街をパトロールしなければ!と、思い、街歩きのBGMとして《おさんぽが楽しくなるプレイリスト》っていうのを作ってみましたよ。
わたし、1日1時間の散歩に出かけるのを日課にしているのですが。
ランニングでもなく、ガチなハード・ウォーキング・エクササイズでもなく、おばちゃんがテクテク歩く時に気持ちいいテンポを作ってくれて、しかも、こんな時期なので、どれだけへこんでいる時にも強制的にニコニコさせられるよーな曲がたくさんのプレイリストがあったらいいなーと思って作ってみたんです。
そしたら、ちょっといい感じのができたんですよ。
自分で言うのもなんだけど、これはなかなかの傑作ではないかと。
まぁ、世代限定っつーか、ツボ的にはかなり世代を選ぶっつーか、アレなんですけど。サブスク時代になってからいっぱい作ったプレイリストの中でも、これは最高のやつになったかも。と、それくらいうれしいので、もし同じツボで一緒に楽しんでくださる仲間がいたらいいなーと願いつつシェアしてみます。
選曲はぴったり1時間。そこがちょっと便利です。
1時間のおさんぽミュージックとして、みなさまのお出かけのお供にもらえたら光栄です。気に入ってもらえたら♡などしてもらえるとさらにうれしいです。
『さんぽ音楽_vol.1』@Spotify
さて。このプレイリストの選曲&構成のテーマは、ずばり…
《荒井注在籍時代のドリフ・ソングをベースとした『8時だョ!全員集合』インスパイアドの、ジャンル・クロッシング・ソングブック》
…です。おわかりいただけるだろうか。
荒井注がいた頃のちょっとヤバいオトナな色っぽさと、まだまだ美少年の面影が残る加トちゃんのイノセンスをコアに擁するワントップ体制時代のドリフ感をベーシックに、カオスなまでに雑多でありながらひとつの筋が通ったコメディ&音楽バラエティ・ショウとしての『全員集合!』のエッセンスを時空を超えて攪拌することによりサブスク時代の2022年の音楽シーン上に再構築する試み。
みたいな。
で、せっかくなので、以下、「えー、これのどこが面白いっかってーと」というめちゃ野暮な説明もつけ足してみたいと思います。以下、自分メモ用に書いていたら、またしても超長くなってしまいました。本当に長くて野暮なので、もしプレイリストを気に入ってくれたら、そのうち暇な時に読んでやってください。
●日本人のDNAとしての名曲…「盆回り」!
今年の元旦、わたしの聴き初め音楽はピンク・マルティーニの「ズンドコ節」でした。なので、最初は「ピンクのズンドコ(自主的な邦題)」を含めて洋楽邦楽ごちゃまぜミックスのプレイリストとかいいなぁ、と思っていたのですが。ドリフって、音楽的にも存在感が強いんです。ちょっと他にないタイプの圧がある、というか。ドリフを入れたプレイリストを作ると、どうしてもドリフがホスト的な存在感になるんです。これがドリフの先輩グループであるクレージーキャッツだと、ノスタルジック・ジャズっぽい洋楽や邦楽を織り交ぜた今どきのシティポップス・リヴァイバル的な雰囲気のプレイリストができちゃったりするんですけど。ドリフは、その音楽性が独特すぎるんです。それで、他と混じるのが難しい。原点にあるのが軍歌とカントリー、というのも要因かもしれません。コント・グループとして楽器を持つ機会がめっきり少なくなった後も、あくまで「バンドとして音楽を奏でる時のアンサンブルを人間関係に翻訳する」という形でのコントを作り続けてきたグループだったんだなとあらためて気づきました。
ていうか。そもそも、この曲↓を1曲目にしたらサブスク時代だろうが何だろうが、どうしたってすべてがいかりや長介の指揮系統に入っちゃいますよ。そのことを、この歳になって思い知るドリフ第一世代のわたし。
それにしても、この曲(しかも、オープニング部分のみ)がCD化されていて、しかもサブスクにも入っていることを知って驚いた。これはもう、まぎれもなく日本人のDNAとして染み込んでいる曲ですね。老若男女(←上限・下限ある老若男女ですがw)、この曲が流れてきたら脳内に自動的にいかりや(敬称略)の「行ってみよう!」が流れるのではないでしょうか。というわけで、この曲、万歩計のスイッチをオンにして、さんぽをスタートする時に最高の曲だと思います。
もうひとつ、CD化/サブスクになっていることを知って衝撃的だったのは11曲目に入れたこっち。前半コントの終わりで流れる舞台転換のテーマ。これが音源化されているとは驚いたー。うれしいー。
この曲、これまで半世紀にわたり「♪じゃじゃじゃじゃんじゃかじゃんじゃん」としか呼んでいなかったし、この国においては、それで通じなかった相手はいなかった。が、いかにも便宜的な感じとはいえ(11)「盆回り」というタイトルがあったんですね。この音楽の浸透ぶりは、もはや日本語における「多国語では表現できないニュアンス」の感情表現として辞書に載せてほしいくらい。日常生活の中の「ダメだこりゃ」の場面で、何百回何千回となく口ずさんできたメロディ。
この曲、めっちゃ使えますよ。
返事するかわりに、この曲スマホで流すとか(笑)。
そして。この曲の後に(12)南野陽子「はいからさんが通る」を入れたのは言うまでもありません、この曲で舞台転換した後はアイドルの歌というのがデフォルトだからです。この曲の後にナンノちゃんの歌声って、理屈抜きにものすごく落ち着きませんか。スッと、腑に落ちる感じがしませんか。“「盆回り」からのアイドル・ポップス”がひとつのセットになっている…というところまで、すでに日本人のDNAに織り込まれている気がします。
アイドル・ポップスの曲を何にするかは、『全員集合!』に出ていたアイドルまたは“世が世なら出ていたであろうアイドル“という前提でかなり真面目に考えました。結果、ナンノちゃんと(3)松田聖子「Rock'n Roll Good-bye」。聖子ちゃんはシングル曲ではないのですが、そのあとに(4)伊東四郎&小松政夫「デンセンマンの電線音頭」がくることを考えると、なんとなくしっくりきたので。「電線音頭」におけるキャンディーズ的な、芸能界とカレッジチャートの中間地点みたいな曲ってイメージかも。
このプレイリストでいちばん好きなのが、この↑折り返し地点です。この「盆回り」を聴きながら、「ダメだこりゃ!」つって踵を返す。その瞬間。自分だけのひそかな快感、めっちゃ楽しいです! 世界中の誰ひとり、今、わたしがドリフの「盆まわり」で踵を返しているとは思っていないだろうと考えると…ちょっと興奮します(笑)。
●ズンドコの奇跡
ドリフのシングル曲は、(2)「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」(6)「誰かさんと誰かさん」(9)「ドリフのズンドコ節」(16)「ドリフのバイのバイのバイ」(19)「ドリフのピンポンパン」の5曲を選びました。
もともと初期ドリフの曲は、多くが軍歌や民謡を元ネタにしています。なのでデフォルトで「あがる」のです。そこに、かなり音楽的に踏み込んだ洋楽的アレンジという「遊び」を入れているのが面白い。日本のトラッドを洋楽的にするという、ある意味ではっぴいえんどの逆というか。特に川口真先生のアレンジがすごい。「誰かさんと誰かさん」では1910フルーツガム・カンパニー的なネイティヴ・アメリカン風のテイストを入れてみたり。発想として、かなり渋谷系の原型っぽい気がします。ピチカート・ファイブやコーネリアス的な。ドリフの音楽パフォーマンスというのは、ものすごくドメスティックで庶民的で、クレイジーキャッツのハイソサエティ感とはパッと見は対照的と位置付けられてきました。でも実際には、クレージーとは正反対のベクトルながら、音楽的にものすごい深掘りをしているんですね。子供の頃にはそんなこと全然気がつかず、ケツだのオナラだのチューだのというワードにひゃーひゃーしているだけのアホな子でしたが。こうしてオトナになってあらためて聴いてみると、ものすごく新鮮です。
わたしの中でドリフ・リバイバルが起きたのは、日本でもおなじみの米国ラウンジ・ポップ・グループ、ピンク・マティーニがカヴァーした(20)「Zundoko-Bushi」でした。由紀さおりさんとのコラボレーションも見事だった彼ら、この曲をとりあげるとはさすが。目のつけどころが素晴らしい。カヴァーというより、ほぼ完コピです。リード・ヴォーカルをとるのはバンドのメンバーで日系米国人のティモシー・ニシムラ。日本語ができる人ではないけれど雰囲気ばっちりで、特に、いかりや(敬称略)の高圧的アトモスフィアをデタラメ日本語で見事に再現する間奏が最高です。
CD版もいいけど、この↑2013年のライヴ映像版が最高です。「ドリフのズンドコ節」は、民謡(で軍歌)を洋楽っぽいゴーゴー・サウンドにアレンジした曲…なのだが。実際にどういう洋楽かというと、実は「どこの国にもない架空の洋楽」。日本のトラディショナルなのに洋楽っぽい、でも決して洋楽ではない。このライヴ映像からは、その不思議なねじれ感がいかにピンク・マティーニの心をとらえたかが伝わってくる。コーラスは中心メンバーであるチャイナ・フォーブスと、ストーム・ラージ。ソロとしても有名な実力派シンガーの彼女たちが、ものすごく楽しげに♪ぱぱや、ぱぱや〜ってコーラスしている姿がいい。われわれ日本人にはおなじみの♪ぱぱや〜というムード歌謡ふうのコーラスは、実は日本独特のへんなフレーズ。その響きがたぶん、ものすごく斬新でツボにはまってると思われます。あと、「それっ!」という掛け声でバンドが一体となるところなども、言葉や音楽性は違えどもドリフらしい「あがる」感は伝わっているんだなーと。
と、ピンク・マティーニも素晴らしいのですが。こうして本家ドリフ版の(9)「ドリフのズンドコ節」と並べてみると、やっぱりドリフの破壊力というのは桁はずれに…というか、別ベクトルで凄すぎる。
「ドリフのズンドコ節」の完成度の高さ(高いというか、奇跡のカオスぶり)は何度聴いても震えます。ドリフ・ソングの最高傑作だと思う。
がっつりエグい音圧で知られるピンク・マティーニでさえも、グイグイ迫ってくるドリフの“圧”の強さにはかなわない。音楽的な“音圧”だけじゃなくて、なんか目に見えないオーラみたいな圧もすごいのです。この曲の白眉は、やはりオリジナル・ヴァージョンに出てくる♪サバドゥビヤサバドゥビヤですかね。加トちゃんが、トランス状態のように絶唱する♪サバドゥビヤ。何なんだ!? 謎。
さすがのピンク・マティーニも♪ぱぱや〜の面白さは拾えても、サバドゥビヤ・トランスまではコピーしきれなかったようだ。
↑荒井注のダダ漏れの色気が、もう、ほぼほぼゲンズブール(個人の感想)。
まぁ、軍歌という見地からすれば、これ、非常にビミョーな話題になっちゃいますが。ていうか、そもそもドリフ・ソングがクレージー・キャッツほど後世に評価されてこなかったのも、ベースに軍歌があることが大きいのでしょう。が、それでも、あえていうならば、音楽スタイルとしての軍歌を、「あがる」という目的のみに限定して平和利用するというのはすごいアイディアだったかと。
なので、気がめいる昨今、気分をアップする「おさんぽ音楽」として悪くないな、とも思った次第です。
●大滝詠一のノベルティ仕事
大滝詠一さんというのは、まぁ、基本クレージー・キャッツの人なので、このプレイリストに入れられるのかなーと悩むところではあったのですが。前述した聖子ちゃんが「電線音頭」につながるくだりとか、(8)「針切じいさんのロケン・ロール」とかは、大滝さんの芸能界仕事としてのノベルティ路線という感じで、うまくおさまった感じがします。
「針切じいさん〜」は、当時、ちょっとオトナの事情が絡みすぎているのを間近で見ていたので個人的には“ナイアガラ・ワークス”の印象が薄かったんですが。やっぱり、植木さんの歌も大滝さんのコーラスも素晴らしくて、まるちゃんもいて、さくらももこさんもいて、楽しい曲だなーとあらためて思いました。
●アイドル枠とニューミュージック枠、そしてボーダーライン枠
ナンノちゃんや聖子ちゃんが“アイドル枠“だとすると、『全員集合!』の歌のゲストには“ニューミュージック枠”の歌のゲストもいて、そういえば、当時、小川美潮さんもチャクラで出ていた記憶があります。私がCharさんを初めて見たのも『全員集合!』だったし。だから、時代的には竹内まりやさんあたりが出ていたとしても不思議ではない(事実は未確認)。そういう意味でもすごい番組だった。
で、わたしの考える“ニューミュージック枠としてうっかりアウェーの『全員集合!』に出てみたが、良い意味で意外としっくりおさまった枠“というイメージで、名曲(10)杉真理「バカンスはいつも雨」を入れてみました。
もう、わたしの妄想プレイがひどすぎてすみません。実際に杉さんは出演されていないような気がしますが。とにかく、デビュー当時の原田真二さんが出ていた感じとか、あるいは、もしあの頃に藤井風さんがいたらふつうに出演して少年少女合唱隊コントまでやらされていたかもなぁー…みたいなイメージの総括としての「バカンスはいつも雨」です。この曲は(11)「盆回り」の前、つまり前半最後の曲になりますが。この中盤あたりはものすごくじぶん好みの濃い流れの曲順になったので、聴きながら歩いている時にもつい「ぬはははは」と笑ってしまいそうになります。あぶない。とりわけ植木さんと杉さんという、大滝さんがプロデューサーとしてかかわったおふたりが「ドリフのズンドコ節」を挟んでいる…というのは意図的ではなく後で気がついた図式なんですが、なんだか空の上で「にやっ」とされているような並びでちょっとうれしくなりました。
『全員集合!』の歌ゲストは、歌謡曲枠とニューミュージック枠の他に“ボーダーライン”という枠もあって…それはつまり、その後のポップ・シーンの原点ともいえるスタンスになるわけですが、そのスタンスを象徴するのはやはり、当時はナベプロに所属するスタァだった沢田研二やアン・ルイスといった人たちではなかったかと思います。今になって思えば、コントの後でいきなり先鋭的な洋楽ふうのパフォーマンスがあったりして、それをドリフ目当ての昭和の小学生たちが客席で口をあんぐりあけて見ているのは、めちゃめちゃシュールな光景でした。ある意味、演出や戦略では生みだすこのできない、真のカルチャー・ショックのるつぼでしたね。今になって思えば、ですが。
そういう新しい文化の発信基地であり続けたナベプロへのオマージュとして、(5)沢田研二「晴れのちBLUE BOY」を入れました。この曲のソングライターは、同じくナベプロの系譜にも連なってきた大沢誉志幸。デンセンマンの次に、バウワウワウばりのジャングルビートでジュリーが踊り出てくるってめっちゃカッコいい図ではないですか。もちろん、そんな光景は現実に存在したことはありませんが。
なお「デンセンマンの電線音頭」はプレイリスト的にはちょっと違和感がある気もしないでもないですが。わたし、この曲をずっと探していたので、サブスクに入ったのが嬉しくて入れちゃいました。
●コリー・ウォンとドリフの親和性。
それにしても。
このプレイリストを作ってみていちばんの収穫といえば、なんといってもこれ。
コリー・ウォンとドリフ。
ピンク・マティーニは別として、このプレイリストの中での唯一の洋楽といえば(7)(14)コリー・ウォンと(17)ヴルフペックということになります。先述したように、本当はもっとたくさん洋楽も入れたかったのですが、やってみると“架空の洋楽”であるドリフ・ソングスと現実の洋楽との親和性は意外と難しいんです。それで、洋邦ごちゃまぜは断念しました。が、そんな中でコリー・ウォンのギターだけは、あまりにもばっちりだったのです。
特に、志村けん加入後のファンキー〜R&B路線時代のドリフとの親和性が高すぎる。このプレイリスト、初期の荒井注在籍時代にできるかぎりこだわっています。志村加入後というのは、笑いのグルーヴやスピード感もがらっと変わって、キレっキレの笑いが身上となり、それにともなって音楽的にもぐっとファンキー路線にかじを切るんです。「ヒゲのテーマ」のような。それはそれで興味深いところながら、今回は「注の色気と加トちゃんのイノセンス」にフォーカスしたプレイリストなので、ファンキー編は次の機会にしようと思い、志村加入後の時代は極力避けておりました。
が。今、わたしのウォーキングBGMのマイブームであるコリー・ウォンのギターはどうしても入れたかったのです。となると、困ったことに、コリー・ウォンのファンクと荒井注の昭和な色気はどうしても相性が…昭和と平成の違いかしらん。( ; ; )。
そこで。1曲、志村加入後の曲を投入してみたのです。
ヴァン・マッコイの「ザ・ハッスル」を下時期にした志村時代の名演(16)「ドリフのバイのバイのバイ」を、80年代TVショウでハコバンが演奏するテーマソング風をイメージしたコリー・ウォンの(14)「Cory and The Wongnotes Theme」と、ヴルフペックの(17)Test Drive(Instrumental)で挟んでみた!
ああ。見事にはまった。
これだ!これだったのだ。
挟んでみてわかる、コリー・ウォンのギターの「♪生麦生米生卵」感!
そうか、コリー・ウォンってドリフだったのか。
いや、もちろん、ドリフじゃないですけどね(笑)。それくらい言いたくなるほどの、この親和性の高さ。すげー。感動しました。たしかに、考えてみるとコリー・ウォンの魅力って「♪いっちょめいっちょめ、わーお」みたいな感じありますよね(←ものすごくいい意味で、愛をこめて書いてます)。日本でコリー・ウォンが大人気なのも、もしかして日本人の中にある志村ドリフのDNAが感応しているのかも…とすら思ってしまった。それくらい、ファンキー系ドリフ・ソングとコリー・ウォンのギターは合う。ヴァン・マッコイと「バイのバイのバイ」を並べても、おそらくここまでのカタルシスは得られないと思います。
コリー・ウォンのギター・プレイの孤高感、唯一無二のオリジナリティが、ドリフの“架空の洋楽”というアイデンティティと呼び合っているのでしょうか。もう、頭おかしいことを書いていると自分でもわかっているのですが、とにかく、ドリフとコリー・ウォン、最高としか言いようがないです。
ああ、いつか加トちゃんケンちゃんfeat.コリー・ウォンで「ヒゲのテーマ」を見てみたかった。
コリー・ウォンはもうひとつ、なにげに「針切じいさんのロケン・ロール」の前にも最新ソロ・アルバムからの曲(7)「Guitar Music」が入っているのですが。これは“曲”というか、なんつーか、まぁ、お聴きになっていただけばわかると思うんですが…わたしはこの曲にはぜひ「こんな“Sparkle”はいやだ」という邦題をつけてほしいと思っております。そんな曲です。で、それを大滝プロデュース作品前に持ってきてみた次第(笑)。ちょっと「ヒゲダンス」感もあるので、そういえ意味でもドリフ濃度の高い曲といえるかもしれません。オレの考えでは(笑)。
ふと思い立って、ヴルフペックと「ドリフのピンポンパン」に(16)高中正義「MANBO NO.5(DISCO DANGO)」も並べてみたんですが。これもいい感じになりました。実際に並べてみて、聴いてみると新発見があったりするのがプレイリストの楽しいところですね。
しかし、なんといっても、このプレイリストを作った自分をほめてあげたいと思うのは、ドリフでもなければコリー・ウォンでも大滝詠一でもない。わたしがみなさまに「ああ、ノージくんだね」と褒めてもらいたいと願うのは、やはり、コリー・ウォンとドリフの間に(15)落合博満・信子夫妻「そんなふたりのラブソング」を挟んだくだりである。
もちろん、ただ好きだから入れたというわけではない。
『全員集合!』には若いアイドルやニューミュージックの歌手だけでなく、演歌や歌謡曲の大御所たちもたくさん出演していた。キャンディーズとCharと三波春夫が同じ地平に立つさまをお茶の間から眺めることができる国民的人気番組があったからこそ、われわれ昭和の子供たちはさまざまな音楽をジャンルに関係なく楽しむことを共通認識として学ぶことができたのではないか…と思うのです。て、そんなことはどうでもいい。とにかく、そういうオトナの演歌とか歌謡曲の人たちが出てきた時に、楽しくてノリのいい曲を歌ってくれるとうれしかった。楽しいから。なので「北酒場」とか「浪花節だよ人生は」みたいな立場の曲も1曲入れたかったのですが、そこに細川たかしでも北島三郎でもなく落合博満を持ってくる自分が大好きです。
コリー・ウォンからの落合博満。そのココロは、どちらも“俺流”でしょう。
なんちて。
そんなことを考えながら、ご近所をぐるぐる散歩していると1時間くらいあっという間です。みなさまも、いちどぜひお試しください。
●おまけ
↑サブスクにはなかったのですが、やはり最後はこの曲を置いておきます。
「いい湯だな」といえば『全員集合!』の元気なエンディングテーマで、「歯みがけよ」「宿題やったか?」ということになってしまいましたが。もともとの、小唄っぽい感じも粋でいいですね。その粋な感じにおいては、決して歌がうまいとはいえない注の歌声がなんともよいです。注がセンターになって、その両脇をドリフの音楽面での柱だった加トちゃんと工事がびしっと支える…の図式になるところがめっちゃ好き。なんだばかやろう。