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ノンサッチ自警団新聞/ダヴォン・タインズ&THE TRUTH『ROBESON』



【ノンサッチ自警団新聞🗞️ダヴォンとロブスンが出会う刻】今もっとも注目されるバスバリトン、ダヴォン・タインズが自らの音楽ユニットTHE TRUTHと共に伝説の歌手/俳優ポール・ロブソンの人生と溶け合う。大きな、大きな意味でのソウル音楽の未来が見える。
この豊かな音宇宙、あえて説明するならば“クラシカル・アメリカーナ・エレクトロ-ゴスペル・アシッド・トリップ”と評されると聞いて、うまいこと言うものだと納得。

特に日本では「オール・マン・リヴァー」などは知られていても、クラシックとポピュラーの死角で活動の全貌が語られる機会の少ないロブスンだが。先月末、未発表曲を含む1925年から58年までの録音作品を集大成した史上初の大規模全集『自由の声: コロムビア、RCA、HMV&ビクター録音全集』(14枚組)が出たばかり。あまりに何もかもに秀でた、神話のような経歴も商品紹介サイトでは詳しくまとまっているのでご興味ある方はぜひ。

実は、日本のウィキを見たら…詳しく書いてあるように見えて、微妙にかいつまんであったり、偏った情報を挟み込んだりと、かなり恣意的なミスリードが目について、あまりの酷さに見るのも悲しい。黒人音楽家の活動家の元祖というとハリー・ベラフォンテが有名だが、彼のメンターでもあった人。今、あらためて再評価、いや、正しい評価の波がやってきているというのに。

ダヴォン・タインズは、今季のメトでジュリア・ブロックと共にアダムズの『エル・ニーニョ』に出演。2018年にサーリアホのオペラ『オンリー・ザ・サウンド・リメインズ』世界初演をフィリップ・ジャルスキーとのW主演で歌って世界的な注目を集めた若手。特に現代オペラ作品を得意としている。また、自身もクリエイターとして作曲や演出を手掛ける。まさに、ブラック・オペラ・ルネサンスの時代を象徴するひとり。そんなタインズのソロを、ブロックに続いて出すノンサッチ。さすがです。

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