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まだ見えぬウクライナ侵攻の終局を前に振り返る

今回は「ウクライナ危機後の世界」から一部エッセンスを取り上げます。
この書籍は、2022年6月に発売されたものなので、当然ながら、2022年11月末現在の事象までは捉えられていないことにご留意下さい。
刻々と状況が変化する一方、ある意味、この戦時下に妙な慣れを感じてしまっている人も少なくないはず。
そうした状況を少しほぐす意味で、振り返りとして捉えて貰えれば幸いです。

この書籍には7人の論客が登場します。
ユヴァル・ノア・ハラリ、ジャック・アタリ、ポール・クルーグマン、ジョセフ・ナイ、ティモシー・スナイダー、ラリー・ダイアモンド、エリオット・ヒギンズ

224ページのインタビュー形式なので、数時間で読める内容になっています。

今回は、一番有名であろうユヴァル・ノア・ハラリ氏のインタビューから一部エッセンスを取り上げてみます。

平和の色合いは国家予算に現れる

ここ数年の世界中の国の軍事費は、国の全予算のうち5〜6%程であった。

仮にプーチンがこの戦争に勝てば、世界中で軍事費が急増するだろう。

これは独裁政権の国だけではなく、民主主義国家も自衛のため軍事予算の増加が求められる。
既にドイツは国防予算を増加させた。

信用の喪失による文明の崩壊

信用が崩れると、国レベルであれ、国際レベルであれ、文明が崩壊する。
個人的に知らない人同士が集まっているのが国である。

これを維持していくには信用が不可欠だ。
それは「個人同士の信用」ではなく、「制度に対する信用」を指す。

この信用こそが国全体を形作る。
制度に対する信用の喪失は文明の終焉を意味する。

もしこの戦争が国家間同士の信用度の下落につながれば、その経済的な帰結は恐ろしい。

自国を壊滅させる可能性のある国を信用し、協力して取り組むことは簡単ではない。

プーチンがこの戦争に勝利し成功すれば、気候変動などの環境問題解決に向けた国際的努力は崩壊するだろう。

重要なことは、プーチンがこの戦争で負けること
世界中の国が暴力に勝ち目はなく、プーチンと同じことをすれば、罰せられるという教訓を得ることだ。

民主主義と権威主義の対立構造にしてはならない

権威主義を破壊するために結束する方向性は間違えている。
あくまで武力行為に対して結束すべきだ。

中国がどう出るかは世界が注目している。
世界経済的に見ても、中国なしでは国際貿易は成り立たないほど、中国はグローバルに組み入れられている。
やってはいけないことは、中国とロシアを一つの陣営にいれて、一括りにしないことだ。

ロシアのレジームチェンジはあくまでロシア人にかかっており、西側諸国は、ウクライナ人の自由を守ることにを目的とすべき


プーチンがロシア帝国を再建し、ウクライナを支配するには、出来るだけ血を流さず勝利し、憎しみは小さくするような占領につなげる必要があるが、実際には、プーチンがやっていることは、ウクライナ人とロシア人の間に憎悪を生み出す種をまいていることだ。
このことは、これから何十年も何世代も暴力の連鎖が続くことを意味する。

これはロシアの戦争ではなく、プーチンの戦争である

今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。

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