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死ぬ前までに食べたい100の美菓 走井餅
先日、NHKの歴史番組に出てきた走井餅。安藤広重の東海道五十三次の絵にも出てくる。
東海道五十三次は宿場町のことで、宿には客をもてなす菓子があり、東海道五十三餅と言われるくらいに、名物の餅がある。例えば安倍川餅など。
広重の絵には大津宿の名物として走井餅が描かれているが、走井餅は京都府八幡市と滋賀県大津市がある。
大津の走り井餅は「追分走り井餅」と書き、京都府八幡市の走井餅は「やわた走井餅」と区別されている。
京都のやわた走井餅は、餅の中にこしあんが入った白い餅で、その姿はほとばしる水滴を表した形とか刀の荒身を模した形と言われている。
由来は走井餅を食べれば道中剣難を免れるとされ、旅人たちがこぞって縁起をかついだ餅とも言われている。さらには剣難を逃れ、開運出世の縁起を担いだものと伝えられている。
名前の由来は、万葉のころから伝わる走井の名水で作ったことにあり、明和元年(1764)、大津で創業したとされている。
湧水「走井」を用いて、初代井口市郎右衛門正勝が餡餅を作ったとされ、その名水は成務天皇の産湯に用い賜れるほどの名高い水で、また刀の荒身を模した独特の形は、平安時代に名を馳せた刀鍛冶・三條小鍛冶宗近が走井で名剣を鍛えたという故事にちなんで、剣難を逃れ、開運出世の縁起を担いだものと伝えられている。
明治43年(1910年)6代井口市郎右衛門の四男嘉四郎によって、昔ながらの製法で伝統の味を継承され、石清水八幡宮の門前名物となっている。
店のHPによれば、大津では明治天皇へ、やわたへ移ってからは昭和天皇へ献上された由緒深い餅となっている。
刀の荒身を模した形といえば、江戸吉原の土手の茶店で売られたのが発祥のきんつば焼きもまた、刀の鍔を模したと言われる。
名水で作られた美味しいお菓子、美しいお菓子をもっと探してみよう。名水もまた、美菓の古道か。