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借り曲①: Beady Eye - "The Beat Goes On"

出会ってから今に至るまで様々な個人的感情を一方的に詰め詰めにしたことで、もはや曲に対して頭が上がらない。「借りができる」ほど好きな曲。そんな「借り曲」を紹介していきます。

今回の「借り曲」はコチラ。

ギターの兄・Noel Gallagherとボーカルの弟・Liam Gallagherの2人が中心となり活動、兄弟の仲が悪すぎて2009年にケンカ別れで終わりを迎えたイギリスの国民的バンド・Oasis。そのメンバーを引き継ぎつつ、Oasis解散後すぐにLiamを中心として結成されたバンドがBeady Eyeです。Oasisほどの人気を獲得することはできず、2014年に解散してしまいました。そんな彼らの"The Beat Goes On"という曲が、本当に良い曲。甘い旋律に載っかる、Liamの優しい歌声。Oasis初期の伸びやかだけど噛み付くようなキレの鋭い歌声と比べて、ツノが取れた印象を受けます。

この名曲、冒頭の歌詞はこんな感じ。自分の中でうまく消化することができず抱えていた体験・感情をすり寄せずにはいられないんです。

Thought that I died today, walked off the stage
今日死んだかと思った、ステージを降りて
Faded away up through the clouds
雲を抜けて霞んでいった
To the gig in the sky and when I arrived
天空で開かれるライブへ向かっていく、そして着いた時には
The angels were singing a song
天使たちが歌を歌っていたんだ
Yeah, you know the one, are you singing along?
そう、あの曲だよ、一緒に歌ってくれるかい?

https://genius.com/Beady-eye-the-beat-goes-on-lyrics(和訳は筆者)

うつ病と診断を受けたのは去年の11月。その前にも、様々な精神的不調から来る不思議な体験に見舞われました。お医者さんに相談しても理由は分からず、恐怖だけが付き纏いました。そんな体験の内のひとつが、逃走したいという感情から息ができなくなり、泣きじゃくりながら近所の公園に駆け込んだ体験。助けを求めた友達に電話で支えてもらいながら、気持ちが静まるまで公園で座り込みました。救ってくれた友達への心からの感謝と共に思い返すのが、落ち着いてから手記に殴り書きした「怖かったぁぁぁぁぁぁぁぁ」というメモ。素っ頓狂なこのメモを思い出す度、本気で「俺は死んだ」と思ったあの瞬間の記憶が蘇ります。

この曲の歌詞の中で特に好きなのがコチラ。

And it's not the end of the world, oh no
こんなの世界の終わりじゃない、違うに決まってる
It's not even the end of the day
まだ1日の終わりでもないじゃないか
So long, so long
それじゃあ、またね
Someday all the world will sing my song
いつか世界中が俺の歌を歌うだろう
Still life remains
まだ命の灯は消えちゃいない
Somewhere in my heart the beat goes on
心のどこかでビートは続いているんだ

https://genius.com/Beady-eye-the-beat-goes-on-lyrics(和訳は筆者)

このままいったら僕は死ぬんじゃないか。先程の例に限らず、そう思った瞬間が何度かあります。死ぬことしか考えられなくなり、どうしようもなくなった時、「とりあえずこの瞬間を生き延びよう」と言い聞かせて歯を食いしばりました。朝になっても地獄からは抜け出せない、それでもまだ命は続いていく、俺は生きている、生きていくんだ。これからも苦しい、歯を食いしばる日は訪れることでしょう。そんな時に心のどこかでビートを鳴らし続けたい。きっとこの曲が支えてくれるはず。

Liamはこの曲にどんな想いを込めたのでしょうか。バンドが解散して、自分の喉の調子も元に戻らなかった彼が見出したかった希望が、この曲に込められているように感じます。彼が歌い上げる希望は、この曲を聞く人の灯火であり続けることでしょう。

読んでくれている皆さんのビートも、鳴り続けますように。

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