短編小説『エンドロールの後は』
金曜日。
週の退屈な業務を終わらせ、多くの人は夜の煌びやかな繁華街に駆り出し、疲れをアルコールでかき消していく。俗にいう華金というやつだ。一方で、自宅に家族が待つ人は足早に帰宅している。人々はその二分化された選択肢しか知らないようだ。仕事仲間か、家族か。それが世の常識である。
「二瀬、お前も飲みに行くか?」
中本が二瀬に声をかけた。二瀬は面倒だという顔を出さずに、取り繕った顔で丁重に断った。
「誘ってくれてうれしいけど、あいにく予定が入ってるわ。ごめん。」
「おっけー。また誘