【ライトノベル?】Vオタ家政夫#12
クビになったVtuberオタ、ライバル事務所の姉の家政夫に転職し気付けばざまぁ完了~人気爆上がりVtuber達に言い寄られてますがそういうのいいので元気にてぇてぇ配信してください~
12てぇてぇ『良く噛み締めて食べるってぇ、大切な事なんだってぇ』
【60日目・るいじ視点】
「おじゃましまーす☆ わあ、キミが弟君だね! やっほー!」
なんだろうか、最近ずっとオフコラボがウチで行われている。
俺は良いよ。幸せだから。
俺のごはんを推し達が美味しそうに食べてるんだぜ、嘘みたいだろ……。
けど、謎じゃん。
姉さんの同期は勿論のこと、最近では先輩後輩関係なく来始めた。
今日は姉さんの先輩、塩ノエさん。
黄色髪の塩対応系Vtuberだ。
所謂、生意気ヤンチャお嬢様属性というか、結構、辛辣な言葉をファンに突き刺して盛り上げる配信を行っている。
中の人は、割とポップで明るい人って印象だ。
「いやあ! 最近、うてめの家でオフコラボした子、みんな上り調子だしさー! 折角だから、あたしもあやかろうと思ってね!」
「開運スポットじゃないんですけどね」
「いーじゃん! うてめなんか今ウチでトップなんだよ! もう少しで登録者数100万に届きそうなんだよ! みんなもどんどん伸ばしていってさあ! すっごいよ!」
正にマシンガントークと言ったノエさんの喋りが止まらない。色んな切れ味が鋭いのがノエさんのトークの特徴だ。
入ってから、ずっと喋り続けている。ほんと楽しい人だな。
俺は、笑いながら二人の会話を聞き、料理を盛り付け持っていく。
「お待たせしました」
「キター! ウテウトフード! おいしそー!」
「えーと、今日はですね、豆腐ステーキと、温野菜サラダ、べジブロススープです」
「やったー! いただきまーす!」
ノエさんは、食べてる間もずっと喋り続けて、盛り上げてくれていた。
けれど、
「ノエさん、めっちゃトーク好きなんでずっと聞いていたいですけど、ごはん、食べて下さいね。このあと、配信もありますし」
「あ、え、うん……」
ノエさんのリアクションが鈍る。
「あの、余計なお世話かもですが、今日のメニューは低カロリー食になっているので、遠慮なく食べてもらえたら……」
「え……?」
ノエさんは以前の配信で、体重の話題を取り上げられて、相当ファンに塩を塗りこんでいた。
けれど、最近はコメントに上がっていてもスパッと切って、次の話題にいっていた。
「俺としては、太ってはいないと思いますが、美味しく遠慮なく食べてもらって、元気にいつもの大好きなノエさんの配信見せてもらいたいので……あの、一応、レシピなんですがカロリー量も書いてありますので」
俺の差し出したレシピを見ると、ノエさんは俺を見て、ごはんを勢いよく食べ始める。
「あ、あの、よく噛んで食べてくださいね」
「……ぅん」
ノエさんは俺に背中を向けて食べ始めたが、ノエさんと向かいあう状態になっている姉さんは微笑んでいたのできっと……。
「ゆっくり味わって食べてもらえると嬉しいです」
「……ぅん」
ノエさんは、顔が見えなくなるぐらい器を思いっきり持ち上げていたけれど、戻すまではすごく時間がかかっていて、俺はその素直じゃないノエさんがてぇてぇなあと思いながら、彼女の後頭部から見えるもぐもぐするほっぺを眺めていた。